無題
日が沈み始めた夕方頃。
「エイラさん、なんだか元気がないわね」
うっ…!
食堂でリーネが作ったお菓子を食べてたら、いきなりミーナ中佐に突っ込まれた。
「べ、別にそんなこと……」
元気ないっつーか、ただ複雑なだけだ。
朝起きてサーニャの部屋行ったら、サーニャのベッドでバルクホルン大尉が一緒に寝てたりしたから。
大尉は、サーニャには何もしてないって言ってたし、何かするような人物じゃないから疑ってはいないけど。
でも……サーニャ、あんなにべったりくっついてたし……ううぅ…
「エイラさん?」
「はぇっ!な、なんだよ?」
「…やっぱり、何かあったんじゃない?」
中佐はじーっと私の顔を見てくる。
ど、どうしよう…
「おーいミーナぁ、ちょっとちょっと」
その時、食堂の入り口からハルトマン中尉が中佐を呼んだ。
「今行くわ、フラウ。…エイラさん、何か悩みがあったらなんでも相談して頂戴ね」
「あ、あぁ。ありがとーございます」
中佐は食堂を出ていった。
ふぅ…セーフセーフ。
もうちょいしたらサーニャが起きてくるだろうから、部屋に戻るか。
帰り際、チラッとサーニャの部屋を覗いたら、まだ寝ていた。
昨日、風強かったかんなー。疲れてんだろーな。
そんな疲れてるサーニャと、一体何してたんだよ大尉は。
そんな事を思いつつ、部屋に戻ってタロットで適当に暇を潰していたら。
ガチャ、とドアが開いた。
あれ、サーニャ起きたのかな。
ん、でもあの人影は…
「!バルクホルン大尉…!」
おいおい、なんでこいつが私の部屋に入ってくんだよ。しかもノックもしないで。
びっくりしすぎて声をかけられないでいると、大尉はなんかフラフラしながら私の方まで来た。
「おい、何してんだよ…?」
…なんか、生気が抜けきったよーな目をしてるぞ、こいつ。
そのまま大尉は、私のベッドにばふっと倒れた。
朝、夜間哨戒から帰ってきたサーニャが、間違えて私の部屋に入ってくる時みたいに。
「…?」
何がなんだかわからず、私は大尉の顔を覗き込んだ。
大尉は、これまたサーニャみたいに、すーすーと寝息を立てて熟睡してる。
どーしたんだよ、一体。
起こそうとして、大尉の肩に手をかけたら…
大尉の首筋に、……その、キスマーク…とかいうヤツをいくつも見つけちまった。
「うわ、おいおいマジかよ…」
くそー、起こさなきゃなんないのに顔が熱く…
「んん…」
肩に手をかけたまま固まってたら、大尉が身動いだ。
「うう…やめ…エーリカ……ぁ、ミーナ…まで混ざるな…だれかたすけ…うぅ…」
呻くように呟いた大尉の寝言で、思い出した。
朝、サーニャの部屋での事件を見た時、隣にハルトマン中尉もいたな。
「後でお仕置きだね」とか言ってた。
さっき中佐を呼びにきたのは、まさか一緒に……
……ちょっとだけ、同情するな。
私はまだエーリカやめろとかミーナそんなとこさわるなとか呻いてる大尉を引っ張って、ベッドに寝かせた。
ちょっとくらいなら、貸してやってもいっか。
ホントの本気で今日だけだかんな。
ちゃんとした体勢になって落ち着いたのか、大尉は寝言を漏らさなくなって寝入ってるみたいだ。
こいつの顔、じっと見るの初めてだけど…
綺麗な顔してんだな。サーニャほどじゃないけど。
ふと、サーニャが朝言ってた言葉を思い出した。
『バルクホルン大尉…すごく綺麗で、可愛かったんだよ』
「……」
ちょっとだけイタズラしてみよっかな。
こいつが私の部屋に来たのが悪いんだし。あ、サーニャにはもちろんそんな事しないぞ!
私は大尉の胸に手を伸ばした。さすがに脱がしたら起きるかもな。
軍服の上から、むにっと胸を掴んでみる。
…すご、なかなかおっきいじゃんか。
私は胸を揉むのは嫌いじゃない。てゆーか好きだ。おっきい胸はそれだけで正義だ。
サーニャは別だぞ!
「…んっ…」
大尉は小さく声を漏らした。
なんか、いつもと雰囲気が違う。可愛い…
ちょっと服を捲ってみたら、腰の辺りと、太もものズボンに隠れるギリギリくらいに、いくつか首筋と同じ痕があった。
ここ攻められまくったってことだな。なんてゆーか、あの二人すごいな…
カールスラントは敵に回さない方がよさそーだ。
「ぅ、あ…」
痕を指でなぞってみると、また大尉は声を漏らした。当たりか。
そのまま、胸と弱そうなとこをいじってたら、大尉は脚をもぞもぞ擦り合わせ始めた。
「…エー、リカぁ…もぅ……」
触ってるの中尉だと思ってんのか、こいつ。
こんなへろへろになるまでされといて、結局好きなんだな。
私はちょっと迷ったけど、大尉の脚の間に触れた。
「ふぁっ…」
う、ズボンが湿ってる…見かけによらず結構お好きなんじゃないか、このカタブツ。
「あ、ぁん、はぁ…」
ズボンの上からなのに、私の指の動きにいちいち喘ぐ大尉。
…なんだよ、ホントに…綺麗じゃんか。可愛いじゃんか。
「っく、ァ…も、だめぇ…」
…ヤバい、止まんなくなりそーだ…
「…あぁっ、……ふあっ!?」
「うわっ!」
すると、突然大尉は目を開けて起き上がった。
「あ…こ、ここは…」
「わ、私の部屋だけど…」
「エイラ…?」
キョロキョロと部屋を見回す大尉。…触ってたの、バレたかな。バレてないよな…
「す、すまない…自分の部屋に帰ってきたつもりだったのに…くそ、エーリカとミーナめ…」
ぶんぶんと頭を振ると、大尉は私を見つめた。
「寝床を借りてしまってすまない、エイラ……図々しい頼みだが、この事は誰にも言わないでくれないか」
すがるように見つめられた。よっぽどあの二人、すごいんだな。
まあ、元々誰にも言う気はないけど…
「じゃ、10分間胸揉ませてくれ」
「は…はあっ!?」
これは代償って事で。
あ、浮気じゃないかんな。サーニャが一番だかんな!