初恋
まばたきするのが惜しい
手持ち無沙汰な午後の昼下がり
ベッドの上で本を読む私、その横で夜間哨戒の疲れを癒す君
お気に入りのぬいぐるみを抱いて満足そうに眠る
どんな夢を見ているのだろう
本の内容なんて私の頭の中に入ってこない
今日も傍らで眠る君を見つめるのに忙しい
身じろぎして寝返りを打つ君
私の部屋着の裾が引っ張られる
私の好きな色に好きな君の印の入ったお気に入りのパーカー
「エイラ」
次にそんな言葉が君の可愛らしい唇から発せられる
私の名前だ
それだけで私の頬は赤く染まる
そんなささいな出来事に、君の小さな仕草にいつも私は惑わされる
大好きだよ
君を守りたい
胸をつく思いはひと時も絶えることはない
私はこれからもずっと君に思い焦がれるだろう
君が大好きなんだ
君を守りたいから私は飛ぶんだ
いつか真っ直ぐ君を見て言える日が来るだろうか
☆
まばたきするのが惜しいな
強く睡魔が襲う日が昇って間もない時刻
ハンガーで毛布に包まるあなたを見つけた、とても簡単に
だって私の飛行脚を片付けようとしたら、あなたが居たの
待っててくれたのかな
そう思うと顔が綻んでしまう
今日も眠るあなたを見つめるのに忙しい
だって起きてる時のあなたはすぐ顔を逸らしてしまうから
私の気配に気付いたのか目を開けるあなた
「おかえり、サーニャ」
あなたは急いで身繕いしながら笑顔で言う
そんな仕草がとても愛しい
そしておずおずと差し出される手
「部屋かえるゾ」
私の顔を見て言ってくれたらもっともっと嬉しいのにな
不器用に与えられるあなたからの行為(好意)を感じるたびに小さな私の体は熱くなる
好き、大好き
だけどいつもあなたに守られてばかりだな私
息を飲む想いはいつも絶えることはない
あなたへのとどまることのない気持ちに心が溢れてしまう
好き、あなたが大好き
いつかこの想いを伝えられるだろうか
伝えたいな
あなたのことを守れる私になりたい
いつかそんな私になれるだろうか
なりたいな
私は今日もあなたの体に身を寄せる
2人の間に距離が出来ないように
おしまい