初恋


まばたきするのが惜しい
手持ち無沙汰な午後の昼下がり
ベッドの上で本を読む私、その横で夜間哨戒の疲れを癒す君
お気に入りのぬいぐるみを抱いて満足そうに眠る
どんな夢を見ているのだろう
本の内容なんて私の頭の中に入ってこない

今日も傍らで眠る君を見つめるのに忙しい
身じろぎして寝返りを打つ君
私の部屋着の裾が引っ張られる
私の好きな色に好きな君の印の入ったお気に入りのパーカー
「エイラ」
次にそんな言葉が君の可愛らしい唇から発せられる
私の名前だ
それだけで私の頬は赤く染まる

そんなささいな出来事に、君の小さな仕草にいつも私は惑わされる
大好きだよ
君を守りたい
胸をつく思いはひと時も絶えることはない
私はこれからもずっと君に思い焦がれるだろう
君が大好きなんだ
君を守りたいから私は飛ぶんだ
いつか真っ直ぐ君を見て言える日が来るだろうか



まばたきするのが惜しいな
強く睡魔が襲う日が昇って間もない時刻
ハンガーで毛布に包まるあなたを見つけた、とても簡単に
だって私の飛行脚を片付けようとしたら、あなたが居たの
待っててくれたのかな
そう思うと顔が綻んでしまう

今日も眠るあなたを見つめるのに忙しい
だって起きてる時のあなたはすぐ顔を逸らしてしまうから
私の気配に気付いたのか目を開けるあなた
「おかえり、サーニャ」
あなたは急いで身繕いしながら笑顔で言う
そんな仕草がとても愛しい
そしておずおずと差し出される手
「部屋かえるゾ」
私の顔を見て言ってくれたらもっともっと嬉しいのにな

不器用に与えられるあなたからの行為(好意)を感じるたびに小さな私の体は熱くなる
好き、大好き
だけどいつもあなたに守られてばかりだな私
息を飲む想いはいつも絶えることはない
あなたへのとどまることのない気持ちに心が溢れてしまう
好き、あなたが大好き
いつかこの想いを伝えられるだろうか
伝えたいな
あなたのことを守れる私になりたい
いつかそんな私になれるだろうか
なりたいな

私は今日もあなたの体に身を寄せる
2人の間に距離が出来ないように

おしまい


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