サーニャさん崩壊シリーズ番外編「Скажите в Слове(言葉で伝えて)」


「あーやっぱダメだ!わかんねー!」

「ん?こんなとこで何やってんだ、エイラ?」
「なんだシャーリーか……。」
「なんだとは失礼だな。」
「オラーシャ語の勉強してたんだけどさ、何回読み直しても全然わかんねー。
 語形複雑過ぎっていうか活用多過ぎっていうかまずキリル文字が読めないっつってんだろ!!」
「あたしに当たられても困るんだけど。」
「なまじっか文法を理解してもまともに発音できる気がしねー。
 何だよzheーって。zheーだぞ、zheー。平仮名にできないじゃないかー。」
「ヒラガナ?」

「なあシャーリー、なんかこう急激にオラーシャ語が喋れるようになる裏技とかないのかよー。」
「知らないって!大体そんなに急いで勉強する必要あんのか?」
「当たり前だろ!この戦争が終わったらすぐにでもオラーシャに行って、
 サーニャと2人でサーニャの両親を探すつもりなんだ。
 現地の人と会話できなかったら話になんないだろ?
 サーニャにばっか頼って自分は何もできないなんて、ただの役立たずはイヤなんだ。
 私はサーニャの支えになるんだ。言葉くらいどうにかできなきゃな。」

「その意気だよ、エイラ。」
「え?」
「投げやりなこと言って悪かった。そうだよな、他でもないサーニャのためだもんな。
 お前ほんといいやつだよ。よし、あたしも協力してやるよ!」
「ホントか!?」
「ああ。どうせ非番だしな。それにあたしもオラーシャ語ってちょっと興味あるし。」
「シャーリー……。ありがとな。」
「いいってこと。」

────────

「……ダメだ、やっぱり言えねー。」
「そんなことないって。お前さんならできるはずさ。
 サーニャのためと思えばそれくらい簡単だって。」
「私が言ってんのは、なんで例文が、こっ告白っていうか口説き文句なんだよ!?」
「その方が感情を込めやすいだろ?オラーシャ語は韻を踏んで覚えろ、ってここに書いてあるし、
 もっと長い文を声に出して、音で覚える方がいいんだって、きっと。」
「ホントかよー……?」
「いいからほら、もっかい言ってみ?ここにサーニャがいると思ってさ。」
「余計緊張するって。」
「じゃあ誰でもいいから。ほら、"Ty nuzhna mne"……」
「Ты нужна мне……」
「"Ya ne mogu zhit bez vas"」
「Я не могу жить без вас……」
「あのな、そんなんじゃあサーニャには伝わんないぞ?」
「余計なお世話だ!」
「わかった、じゃあまずはスオムス語で言ってみろ。それなら誰かに聞かれても平気だろ?
 それで感じを掴んだら、次はその感じでオラーシャ語で言うんだ。」
「……ナルホド。よし、い、言うぞ。」
「ばっち来い!」
「Sanya...Minulla on teita hyvin tarkea kertoa」
「いい感じだ!」
「Tulkaa minun kanssani, jos te haluatte」
「うん、うん!」
「Mita te pidatte minusta?」
「そこでこのフレーズ!」

「Я ЛЮБЛЮ ТЕБЯ!!!!」

ドサッ

「エイラ……」
「げっ、サーニャ。」
「どどどうしたんだサーニャ、ままままだ3時だぞ。」
「やっぱりイェーガー大尉とそういう関係だったんだ……。」
「(あちゃー……)」
「シーツの髪の毛はやっぱりそういうことだったんだ……!!」
「ちょ、ちょっとサーニャ───」
「私だけを見てくれないエイラなんていらないっ!!」
「違うんだサーニャ誤解だ!!これは別にやましいことをしていたわけじゃ……!!
 ああああごめんなさい!謝るから!謝るから銃を下ろすんだサーニャァァァ!!」

────────

「言ってくれれば私がいくらでも教えてあげるのに……。」
「ごめんよサーニャ。ちょっとびっくりさせたかっただけなんだ。」
「вруша」
「うん?」
「ふふっ、いいの。その代わり、エイラの国の言葉も教えて?」
「スオムス語を?なんで?」
「私、結婚したらスオムスに行きたいな。そうしたら言葉は必要でしょ?
 それで、エイラの住んでた街にお家を建てるの。
 白い壁の小さな家に小さなお庭があってね、煙突が出てて、暖炉にはいつもポトフのお鍋がかけてあるの。
 それから二階には寝室があってね、暖炉の真上にあるからいつも温かいの。
 もちろんベッドも枕も一つしかいらないよね。だから残りの空間は子供部屋にして、
 大きくなったら机と本棚と、ぬいぐるみを買って───ねえエイラ、ちゃんと聞いてる?
 どうして恍惚とした表情で遠くを見てるの?私を見て、私を。
 ねえ、エイラってば。」
 
「私とサーニャの子供……フフッ……フフフフフフ……」





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