無題
私はカールスラント空軍131先行実験隊“ハルプ”第3飛行中隊所属、ヘルマ・レンナルツ曹長。
ある日、軍に届いた一通の手紙を持ち、私は空へ飛び立った。
憧れのあの方に、会うために。
目的地であるブリタニアのストライクウィッチーズ基地に着くと、ヴィルケ中佐が出迎えてくれた。
「わざわざストライカーで飛んできてくれたの?トゥルーデ、きっと喜ぶわよ」
中佐の言葉に、胸の奥がきゅんとした。
トゥルーデ…ゲルトルート・バルクホルン大尉。
私が理想としている憧れのウィッチ。
上官の命令に忠実で、自分にも他人にも厳しく、戦闘の指揮も実戦も凄腕だけど決して威張り散らしたりする事はない。
私生活も真面目で、とても優しい。スタイルが良くて、凛々しくて綺麗な顔立ち。
全てが私の憧れ。
そんな大尉の妹さんからの手紙が、軍に間違って届いていたので、渡しに行くと建前を作って会いにきたのだ。
大尉は妹さんをとても大事にしているから、早く読んでもらいたかった。
中佐の言う通り、大尉は微笑んでお礼を言ってくれた…
しかも一晩この基地にいさせてくれる、って…
帰ったら怒られてしまうかもしれないけど…来て良かった…!
ウィッチーズの皆さんに挨拶をした後、基地の色々な所へ連れ回されたのだけど、余りのだらしない人の多さにびっくりしてしまった。
ハルトマン中尉程ではないといっても部屋の散らかり方がとんでもなかったり、寝坊常習犯にサボり常習犯…
宮藤さんという扶桑のウィッチは、何故か私の胸をじーっと見てきたりして…!どうせ私はないですよっ!
ハルトマン中尉の部屋も少しだけ覗いてみたら、軍にいた頃と変わらない酷い有り様だった。
これじゃあバルクホルン大尉の気苦労も絶えないだろう。
…どうして、大尉は…
「ヘルマさん」
「は、はいっ!なんでしょうヴィルケ中佐!」
突然中佐に呼ばれ、考えを中断して姿勢を正した。
「今夜は、トゥルーデの部屋で寝て頂戴。就寝時間になったら部屋へ行ってね」
「わかりま…へっ?」
思わず変な声を出してしまった。
今、中佐は何て……トゥルーデの部屋?寝る?
それは…それはつまり、バルクホルン大尉と二人で夜を過ごすってこと…?
ど、どうしようどうしよう!一晩一緒だなんてそんなおそれ多い事…!
「じゃあ、ゆっくり休んでね」
「は…はい!」
ああっ、中佐…ありがとうございます!!
就寝時間。
大尉の部屋へ行った私は緊張しっぱなしだった。
おさげを解いた大尉は、女性らしくていつも以上に綺麗で…
ドキドキに震える手で軍服を脱いでいると、突然ハルトマン中尉が入ってきた。
私や大尉が注意してもどこ吹く風、それどころか…
「じゃおやすみ」
大尉の頬にキスをした。私の目の前で…!
二人が、そういう…恋仲なのは、薄々感付いていた。軍にいた頃からずっと大尉を見ていたから。
でも、どうして。何故大尉は、あんなにだらしないずぼらな人を選んだのだろう。
中尉は撃墜数も凄いし、素行は悪くても優しいし嫌な人じゃない。でも私は、大尉に認められるような立派なウィッチを目指して頑張っているつもりだ。
私は大尉に好かれたい。もっともっと近くにいたい。
でもいくら頑張っても、大尉の隣はあの人なのだ。
中尉は部屋を出る時、私の顔を見て微笑んだ。
“トゥルーデは渡さないよ”
そう瞳が言っていた。
負けるものかと、私は勇気を出して大尉に甘えてみた。
…でも、やはり大尉は私を妹のようにしか思ってくれていないみたいだ。
それでも、家族のように思ってくれていると考えれば…嬉しい。
「お…お姉ちゃん…」
大尉が望んだ呼び方をしてみる。
そうしたら、大尉はいきなり強く抱き締めてきた!
うわ、わ、やわらかい…!
下着だけになった私の体に、大尉のすべすべした肌が直接押し付けられて…
その柔らかさと甘い香り、中尉への嫉妬とか色んな感情がごちゃ混ぜになって…
「…ご…ごめんなさいー!!」
私は大尉をベッドに組み敷いていた。
「私…私、もう我慢できません!」
「え、ちょ…どうし…」
「バルクホルン大尉…!」
ああ、憧れの方、しかも上官にこんな事。ごめんなさい大尉…
そう思いながらも、私は衝動を抑えきれなかった。
「ふ、ぁっ…」
首筋をつぅっと舐めると、大尉は可愛らしい声を漏らした。普段の凛とした声からは想像もできない。
私は頭の中、いつか見せてもらった本に載っていた「こういう事」の知識を思い出しながら行為に挑んだ。
私には必要ないだろうと思っていたのに。でも何であんな本持っていたんだろう…シュナウファー大尉は。
「や、そこ…んん…」
胸を触ったら、大尉は過敏に反応した。
私にはない大きくて柔らかい胸…思わずそこに集中する。
「あっ、んぁっ…だ、め…ひゃうッ…」
大尉…すっごく可愛い…
ごくっと息を飲み、大尉の脚の間に触れる。
「あ、…」
すると大尉は無意識なのか自分から少し脚を開いた。
…まさか、大尉は慣れている…?それはつまり、中尉と…
「っ…」
頭をぶんぶん振って考えるのを止める。そして大尉の脚を更に広げた。
初めて見る、憧れの方の秘められた場所。暗くてよく見えないけど、きっととても綺麗なのだろう。
「ぁん…」
触れたら、ぴちゃっと水音が響いた。
濡れてるって事は…私に感じてくれているんだ。
どうしよう、本には書いてあったけど、変に指入れたりしたら痛いかも…
「ん…ぅ…」
大尉がなんだか色っぽい声を漏らす。もしかして待っているのだろうか…
私は考えて、指は入れず入り口の辺りを擦った。上部にある肉芽をきゅっと摘んだら、大尉が大きく震えた。
「ひっ!や、そんな、あぁっ!」
今までで一番激しい反応。
私は夢中になってそこへの愛撫を繰り返した。
「や、あんっだめぇ、はあ…、エー…リカあぁ…!」
大尉はびくんと腰を跳ねさせ、そしてぐったりしてしまった。
これが、絶頂を迎える…っていう事かな。
「申し訳ありません、大尉…」
そう呟いたが、返事はない。代わりに穏やかな寝息が聞こえてきた。
「…でも、ちょっと酷いです」
いくら顔が見えないとはいえ、最後に中尉の名前を呼ぶなんて。
結局大尉も、中尉の事が大好きなんだ。
思い知らされたような気がするけど、何故かちょっと清々しい気分でもあった。
「…大好きです、バルクホルン大尉…」
私は眠る大尉の肩に寄り添って、少しだけ泣いた。
――――
翌日、カールスラントへ帰る私を皆さんが見送ってくれた。
「軍へは私が連絡しておいたから。気をつけて帰ってね」
「また来いよ~」
「今度はゆっくりあそぼーね!あ、でもあんまし怒っちゃやだよ」
皆さん本当にいい人達だ。…軍人としては、ちょっとだらしない人は多いけど。
「レンナルツ、手紙本当にありがとう。軍の皆によろしく言っておいてくれ」
「はいっ!」
大尉は、昨晩の事は覚えていないようだ。ちょっとだけ、ラッキーかもしれない。
「では、失礼致します!」
ストライカーを発進させた。あっという間に空が近くなる。
小さくなった基地を振り返り呟いた。
「…私、負けませんよ。ハルトマン中尉」
今はかなわなくても。
いつか、大好きな人の隣に。