誓いの日
さーにゃ、なかないで。
わたしはずっとさーにゃのそばにいるよ。
ずっと、ずっといっしょだ。
―――――
ん…、あぁ、夢か。
なんか変な夢だったな…。
……寝直そ。
微妙な気分は寝て直すもんだよな~。
朝礼…はいいやー。
あれ、枕…あんなとこまで飛んでら…。
私ここまで寝相悪かったか…な…。
「っテうわサーニャ!いつのまに!?」
「んぅー…ん…」
「マテ私のお腹は枕じゃナイ!」
「う?…ん……」
「胸もチガ…!」
「わたし…ねむいの……」
「う、うぅ…キョウダケダカンナー!」
「…エイラ…静かにして……」
「あ、ゴメン…」
くー!かわいいなーもー!
これじゃあ動けないじゃないかぁー。
もうダメだな。朝礼行けそうにないよ。
ゴメンナーみんなー。ニヒヒ…。
私は眠れなくなっちまったけどな!
幸せだからいいけど。
あー、時間よ止まれー、止まれー。
「うみゅぅ…?あっ!エイラ!」
「ぬわっ!どーしたサーニャ!」
「大変!今日は早く起きなきゃ!」
「え?ナンデ?」
「だって今日は…! …いいから早く起きて!」
「うへぇ、わかったヨ…」
なんなんだよ、いったい…。
せっかくの朝が…。サーニャが…。
「なー、いったいどうしたんダヨ~。眠くないのカ?」
「今日は寝てる場合じゃないの。早く行こう」
ちぇ、朝礼出る気無かったのになー。
…
なんでこういう時に限って朝礼長いんだよ…。眠い…。
なに?朝飯?わかったからひっぱんなって。
「サ、サーニャ…?」
「エイラ、あーん」
「いや、あーんじゃなくテ…」
「あーんして?」
「自分で食べれるシ…」
「あーん…」
「うぅ……あーん!」
おいお前ら!こっちみんな!
私もなんでこうなってんのかわかんないんだよ!
「サーニャ!自分の分食ってナイじゃんカ!ハイ、口開けて」
「あー…。…やっぱりダメ、今日は自分で食べるの…!」
「えぇ?」
本当に今日のサーニャどうしたんだ?
お前らはニヤニヤしてんじゃねー!そんな目で見んな!
ふぅ…やっと食べ終わった。
食べさせてもらうのは慣れそうにないな…。まだドキドキ…。
「なぁサーニャ、今日なにがあったんダ?」
「気づいてないのね、よかった…」
「なにに?」
「何でもないの。これから訓練でしょ?」
「あ、うん…。でもサーニャはなにもないダロ?休んできなヨ」
「ううん、私はやることがあるから…。いこ?」
「うん…」
わからん…なんだろ?
ストライカーをつける手伝いもするし、見送ったと思ったら走ってどっか行っちゃうし…。
うーん…謎だ…。
「おいエイラ!集中せんか!」
「あ、はーい。スミマセン」
ちぇ、それどころじゃないんだがな~。
…
やぁっと訓練終わったー。
さて、サウナにでも…。
「エイラ!」
「おお、サーニャ。今からサウナに行くケド一緒に…」
「今日はお風呂行こうよ。ね?」
「え、あぁいいけどサ…」
「決まりね。さ、行こう」
「エイラ、頭だして」
「は?」
「洗ったげる」
「ナ!?いや、いいっテ!」
「ほら早く」
「頭洗うのは私できるシ!」
「ダメよ、私が洗うの…。…エイラ、ちょっと座ってくれる?」
こうなったら聞かないんだよな、サーニャは…。
おとなしく座って……、いぃっ!?
「サ、ササササーニャ!前!前!」
「前?」
「前に立たれるト!」
「だって髪洗うんだもの…」
ものすごい目のやり場に困る…。
ちょっとだけなら…。イヤダメだダメだ!
「動かないで…」
「押さえつけんナァァァ!当たってる!当たってるっテ!」
ヤバいクラクラしてきた…。
でもこのあと背中も流すとか言いそうな気が…。
「体も洗ったげるね」
よ そ う ど お り !
サーニャノリノリだなぁ…。
「エイラ、立って」
「ハイ…。ちょまっ、マテそこはっ…!ひゃぅ!」
「しっかり洗わないと」
「やっぱり自分でヤル!もう身が保たナイ!」
「ダメ!私がするの!やさしくするから…ね?お願い」
そこまで言われると…。仕方ないな…。
「ありがと。じゃあ続きするね」
「うん…。…ふぁっ!そ、そこだけは自分でスル!」
はぁー。今日はいったいなにが起こってるんだろう。
サーニャは私を部屋においたら出るなーとか言ってどっか行くし…。
運勢が良いのか悪いのか…。いや良いはずだけど。
なんたってサーニャにお世話されてるんだからな~。理由はわかんないけどな!
サーニャに体を洗われるなんて…ふふ…。
なんかサーニャの匂いがする気がするし…ニヒヒヒ…。
「エイラ」
「うわぁ!サーニャ!」
「なにしてたの?」
「い、いやナニもしてないヨ?」
「そう?じゃあ食堂に行こう。みんな待ってるよ」
「お、おう」
あれ、みんなが待ってる?先に食べてたりもするのに?
珍しいこともあるもんだな。
「じゃあエイラ、入って」
「ん?あぁわかっタ」
「誕生日、おめでとう!!!!」
「ちょっとエイラさん!なんで避けるんですの!?」
「クラッカー?は被るものらしいですよ!」
「い、いやゴメン…。つい…ナ」
パーン!という音と飛び出してくるものをとっさに避けてしまった。
けど仕方ないだろ!私の能力なんだから!
でも…そっか、今日は私の誕生日だったんだな。
「エイラ、誕生日おめでとう」
「サーニャ…。ありがとナ」
「よーし、じゃあ食べるぞー!見ろエイラ!サーニャが作った料理だ!」
「ボルシチだよー!いっぱいあるよー!」
「お前らもサーニャに感謝しろよナ~」
「私と芳佳ちゃんはケーキを作りました~」
「リーネに宮藤もありがとナ」
「愛されてるよね~エイラ。朝からいちゃいちゃして料理まで作らして…」
「うむ、なかなかの夫婦っぷりだったぞ!はっはっは!」
「ふっ!?ってハルトマン!少佐ってバ…!」
ほらサーニャが真っ赤になって下向いちゃったじゃんか…。
あーもうかわいいなー!
「はいはい、じゃあ乾杯しましょう」
「では私が…」
「トゥルーデにできんの~?」
「うるさいっ!…こほん、では、エイラの誕生日を祝って乾杯!」
「かんぱーい!!」
……
ふー、あいつらはしゃぎすぎ…。
風が気持ちいー。
「エイラ」
「ん、なんだ?サーニャ」
「今日1日エイラがいつも私にしてくれてることをやってみたの」
「あぁ、嬉しかったゾ。恥ずかしかったケド」
「ほんと?」
「うん。サーニャの優しさが伝わってきたヨ」
「うふふ、ありがと」
「それでね…」
「ん?」
「エイラが普段どんなに大変だったかがわかったの…」
「大変じゃないサ。私が勝手にサーニャにくっついてるだけだしナ」
「ううん…!私は何もせずにエイラに甘えてた。本当にわがままだった…」
「そうか?」
「うん。ごめんね」
「謝るなヨ…。私は好きでやってんダゾ?」
「でも…」
「これからもするつもりだシ」
「エイラ…」
「でも…いつまでもこんな私じゃ嫌われちゃう…」
「私がサーニャを嫌いになるわけないダロー」
「だって…わがままなんだよ?いつかエイラは私の相手するのに疲れちゃう…!」
「大丈夫だっテ」
「そしたら、エイラはどこか行っちゃう、それはイヤなの…!」
「サーニャ…」
「あ…ご、ごめんね…。またわがまま言っちゃった…」
サーニャ…気にすることないのに…。
それに私がどっか行っちゃうだなんて…。
「サーニャ」
「エイラ…」
「サーニャ、泣かないで」
「…うん……」
「私はずっとサーニャのそばにいるよ」
「ずっと、ずっと一緒だ」
「エイラ……エイラ…ありがとう……」
「な。だから泣かないで、サーニャ」
ん…これどっかで…。ま、いっか…。
今は、この子が笑えるように…。
…
「あ…エイラ、これ…誕生日のプレゼント」
「お、ありがとう。あけていいカ?」
「うん」
「……おお、ダイヤのマークのネックレスか。可愛いじゃん。サーニャ、ありがとナ」
「うん…。そうだ…エイラ、つけたげる。かして」
「おう、じゃお願いしようカナ」
つけやすいように背中向けてっと。
ん?おいサーニャなんで回り込む?
「動いちゃダメよ、エイラ」
「え?あぁハイ」
この体制は…まさか。
サーニャが近づいてくる…。やば、心の準備が…。
「はい、つけたよ」
「あ、あれ?あ、いやありがと。どう…カナ?」
「うん、似合ってるよ」
ち、違った?それっぽい感じしたのになー…。
「ふふ、エイラかわいい」
「な、なんだヨー、いきなりー」
「だってかわいいんだもん」
「私よりサーニャのが…か、かわいいゾ…」
「うふふ…ありがと」
「ねぇ、エイラ」
「なんだ?」
「これからも…よろしくね」
「ああ、こちらこそ。よろしくな」
「ずっと、ずっと一緒だよ」
「うん、もちろんだ」
「エイラ」
「ん?」
「ありがとう」
……いま、だったのか。
…サーニャのやつ、焦らしてくれちゃってさ。
さっきちょっとフライングしそうになったじゃんか。
「サーニャ…」
「エイラ…あったかい…ね…」
「サーニャ?」
「すー…すー……」
「そっか、今日は1日中起きてたもんな」
「ありがとう。サーニャ」
さて、部屋に戻ろう。
今日は特別に腕枕でもしてやっか。
なぁサーニャ、これからも安心して私に甘えてきてくれよ。
私は逃げたりサーニャをおいてどっか行ったりしないから。
ずっと守ってみせる。ずっと笑顔でいさせてやる。
だから…。
「いつまでも、どこまでも一緒に…」
END