エイラ観察日記~黒猫Fever!~


―――観察4日目―――
もとい、4ページ目。

今日は休みになったので久しぶりに日記を書こうと思う。
急遽入った休みだけど、カップルなのだからデートをするしかない。いやする。したい。

ベッドでゴロゴロしているエイラを引っ張ってまずは執務室へ。

トントン
「ミーナ隊長ー。エイラーニャです」
「どうぞ」
「あれ?ツッコミがない…」
「もうあきらめたんじゃないのカ?」
「よくわかってるわね、エイラさん…」

「それで、どうしたの?…いやなんとなくわかるんだけど…。おおかた外出許可でしょう」
「よくわかってますね、ミーナ隊長」
「デートしてくるゾ!」
「はいはい…、わかったから行ってらっしゃい。あまり遠くへ行っては駄目よ、いいわね?」

はーい。と大きな声で返事をして基地の外へ。

「どこ行くんダ?」
「エイラ決めて」
「エー。じゃあサーニャの行きたいトコ」
「私の行きたいとこはエイラの行きたいとこなの」
「ナンダヨー。私はサーニャがいればどこだっていいんダヨー」
「私だってそうだし、エイラがいないとこはやだ」

結局、このままじゃ埒があかないからとりあえず街にでよう、ということになったのでした。


ロンドン。
様々なお店が並ぶブリタニアの首都。


じゃなくて普通の街にきました。

「じゃあ適当に歩コウ」
「うん」
「人が多いナー」
「エイラ。手、つなご?」
「お、オウ!恋人繋ぎナ!恋人繋ぎダゾ!」
「ふふ、もちろん!」

それからブティックに入ってお洋服を仕立てあってみたり、本屋さんで新しい本を買ったり、おしゃれな喫茶店で食事をしたり…。
ウィッチであることを忘れて思う存分デートを堪能しちゃいました。

「ふー、ツカレタナー」
「久しぶりだったから少しはしゃぎすぎたかな…」
「ソウダナー…。あ、おねーさんコーヒーな」
「私は…。…私もコーヒーください」
「サーニャは紅茶じゃなくていいのカ?コーヒーあんま飲まないダロ」
「うん…エイラが 好 き だから……。飲めるようになる」
「サーニャ…。今コーヒーの話題だったけどドキッとしたゾ…」

うふ、わ・ざ・と(はぁと)
ということで再び入った喫茶店のテラスで少し休憩。
普段任務ばっかりだから疲れるね…。

「サーニャ、眠くないカー?」
「うん、大丈夫」
「これ飲んだらそろそろ帰ろうカ」
「そうね…。でもまだデートしてたいな…」
「そりゃ私だっテ…」


でも時間がきてるのも確かだからなぁ…。

「また、来ようね…?」
「モチロン!なんなら明日も休みぶんどってくるカ?」
「ミーナ隊長のお仕置きはいやよ?」
「……あー」

そんな他愛もない会話をしているとどこからか現れた1匹の黒い子猫が私にすり寄ってきた。

「ナ、おい、サーニャになにしてんダ!」
「エイラったら…かわいいじゃない」
「かわいいかもしれないケド…。なんかサーニャとられたみたいデ…」
「ふふ、大丈夫よ。私はエイラのもの」
「ならいいんダ。ほら、お前もサーニャばっかりじゃなくて私のとこにもコイ?」

その子猫は、私から離れるとエイラとは反対の方向へと歩いていく。

「なんだよモー!」
「うふふっ、残念だったね、エイラ」
「ちぇ、せっかくサーニャと一緒の黒猫ダッタのに…」
「なぁにエイラ、浮気?」
「ちっ違うぞ!私はサーニャ一筋ダ!」

なんてエイラをからかっているとまたさっきの子猫。

「なんだヨーまた来たのカヨー」
「ネコちゃん、どうしたの?」
「サーニャとのデートの邪魔すんなよナー」
「エイラはちょっと待ってて」
「うえぇ…」
「どうしたの?」

すると子猫はまたさっきと同じ方へ歩いていく。


「ついてきてほしいのかな?」
「モウいいじゃん。ほっとコー」
「行ってみよう」
「うえぇー…、行くのカヨ…」

子猫の後をついて行き裏路地に入る。
時々こっちを振り返るのがかわいらしい。
……今度エイラをこうやって誘ってみようかな…。

「ナー、サーニャー。帰ろうゼー?なんか嫌な予感もするしサー…」
「そうなの?ならやめといた方がいいかな…」

エイラの予知は絶対だ。外れたことなんてない。
しかし、そう言うと同時にピタと立ち止まる子猫。
みゃぁ、とかわいく鳴いた。

「なんだヨ。コレだけカ?」

ぴょこり。
2匹目の子猫が現れた。
ぴょこり。
また現れた。
ぴょこ、ぴょこ、ぴょこり…。

「オイオイ…、こんなにいたのかヨ…」
「わぁ…、いっぱいいるね…」

そこには総勢11匹もの黒い子猫が私たちを見上げていた。

「親はどこ行ったんだろうナ」
「そうね…」
「真っ黒ダナ」
「そうね…」
「これはアレか?サーニャがいっぱいってことカ?」
「そう……、え?」
「サーニャが12人…」
「あの…エイラ?」
「うへへへへへ…」

ダメだ。

これは壊れたな。

「サーニャが…いっぱい…!」

くるぞぉ…。暴走が…!



「サーニャ!サーニャ!サーニャ!サーニャァァアアアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

……うわぁー。今日はいつもよりヤバいよー。
いきなりネコちゃんにほおずりしだした…。
黒猫見て私を思い出すのはわかるけどこれはどうなの?

どうしようか…ネコちゃんたち怖がってるし…。
そりゃ怖いよね。ここまですごいのは正直初めて見た…。
一応止めなきゃ…。
これは全部言わせちゃだめな気がする…。

「えっと…エイラさーん…?」
「あぁああああ…ああ…あっあー!」

会話はダメみたいね…。
というか下手に手を打ったら更にレベルが上がりそう…。
ここは久しぶりに…!

「モフモフ!モフモぐほぅっ!!」

どうだ。奥義サーニャブロー。
名前そのまんまだけど気にしない。

「ゲホッ!ゲホッゴホッ!…サーニャアアア!」

ダメ…なの…?
今日のエイラはなにが違うの…?
こんな激しいエイラ…ほんとに初めて…。


じゃなくてどうやって止めよう……。
もうなにも手はな……いや、あった。
この前習得した、あの技が……!


「エイラ」
「にゃあああああああああん!」
「どう?せくしー?」


必殺・せくしーぽーず。

先日の会議で議論され実際に検証もした結果、大変有効であることがわかった超必殺技。
その時は医者を呼ぶほどのダメージを与えた。

今日は上着のボタンを2、3個外してあまりあるとは言えない胸を寄せてみた。


こうかは ばつぐんだ !

よし、壁が赤い物で染まった。
ん?けっこうスプラッタな感じになっちゃったから言い直そう。

わぁ、噴水みたい♪

……まあいいや。
とりあえずエイラを連れてここを出よう。
ばいばい、ネコちゃんたち。
それとごめんね。うちの旦那時々変なのよ。


――――――

疲れた……。
主にエイラを引きずることが。
途中でビクン!ビクン!と跳ねるのがちょっと怖かったです。

今は医務室で眠っているエイラですが、今日のことは起きたらたぶん忘れていると思います。忘れさせます。

そういえばエイラの予知ですが、当たってましたね。言うのが遅いんですけどね。

うん、ちょっとお仕置きがいるな。
悦んじゃうかもしれないけど許してあげないんだから…!


そして、終わったらまたデートだからね!エイラ!


END



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