無題
食事の時、少し気になる事があった。
リーネが肩を押さえて上げ下げしたり、腕を回したりしている。
どうやら肩がこっているようだ。
まぁ、狙撃に優れたリーネは射撃訓練が多いし武器も大きいし、何よりあの胸では肩もこるだろう。
リーネの隣にいた宮藤も気になっていたようだが、食事後すぐに少佐に呼ばれて午後の訓練に行ってしまった。
「リーネ。肩は大丈夫か?」
「あ…バルクホルンさん」
席を立ったリーネに話しかけてみる。
指摘された事に驚いたのか、リーネはぱっと顔を赤く染めた。
「えと…大丈夫です」
「本当か?体調が悪いまま出撃なんかしたら危険だぞ。正直に言え」
「……あの、少しだけ…痛くて重い感じがします…」
言いにくそうにそう呟くリーネ。
もじもじとしている様は妹にしてしまいたいくらい可愛……こほん、そうではなくて。
「訓練でも無理は禁物だ。ついてこい」
「は、はいっ」
食器を片付けて食堂を出、リーネをロビーのソファーに座らせた。
後ろに回り、肩をほぐすように揉んでやる。
「はう…」
「痛かったら言うんだぞ」
「平気です…はぁ~…」
随分固いな。よほどこっているようだ。
強くなりすぎないように力を入れていくと、リーネは大きく息を吐いた。
「バルクホルンさん…肩揉みお上手ですね。…気持ちいいです…」
「ふふ、それは良かった。カールスラントにいた頃には、よくミーナの肩を揉んでやっていたからな」
今は少佐がやっているようだからしていないが。
むしろ私が揉んで欲しいくらいだ、疲れの元凶のエーリカに。
しばらく肩をほぐしてやった後、立ち上がったリーネは大きく伸びをした。
「ありがとうございました。とてもすっきりしました」
「うむ。これからは体調が悪かったら無理せず言うんだぞ。宮藤も心配するだろうからな」
「はい!…では、訓練に行ってきます!」
ぺこりと頭を下げ、走っていくリーネ。
うんうん、これで訓練にも身が入るだろう。
……と、ここまでは平和だった筈だ。
問題は、その夜に起こった…
「こんばんは、バルクホルンさん」
就寝時間も近い夜、リーネが私の部屋を訪ねてきた。
「どうした、こんな時間に」
「えっと、その…お昼のお礼をしたくて…」
「気を遣わんでもいいぞ、私が好意でやった事だ」
そう言うと、リーネはぶんぶんと首を振って少し声のトーンを上げた。
「わ、私、バルクホルンさんのおかげで訓練に集中できました。だからお返しをしたいんです!」
そこまで言って、声を上げた事が恥ずかしくなったのか、真っ赤になって俯いた。
「だから、その…私も昔、“お姉ちゃん”によくマッサージしてあげてました。だからバルクホルンさんにも、と思って…」
お姉ちゃん。
そうか、リーネはお姉ちゃんにマッサージしてくれるんだな。
なんて優しい良い子なんだ!
「わかった、ありがとう。お姉ちゃん嬉しいよ。よろしく頼む、リーネ」
顔がにやけてないか心配だったが、リーネはぱっと笑顔を浮かべてくれた。
…その笑顔に何故か少し違和感を感じた。気のせいだろうか。
私は軍服を脱ぎ、ベッドにうつ伏せになった。
「じゃあ、いきますよ」
同じく上着を脱いだリーネが、私の背中を指でぐっと押す。
小さな指がぐいぐいと筋肉をほぐしていく。
「ん…」
上手いじゃないか。押された部分がじんわりとして気持ちいい。
「痛くないですか?」
「ん…大丈夫だ…」
指が徐々に肩の方へ上がっていき、私は目を閉じた。
しかし。
「…!」
ある一点を押された途端、体がびくっとした。
なんだ、と思い体を動かそうとしたら…
…力が入らない。
「リーネ、何を…」
「ごめんなさい、ちょっと秘孔突かせてもらいました」
「ひ…秘孔?」
「大丈夫です、ちゃんとマッサージは続けます」
そう言いながら私の顔を覗き込むリーネ。にっこりと輝く笑顔。
…私は先ほど感じた違和感の正体に気付いた。
ミーナだ。ミーナが怒った時や何か企んでる時の笑顔と同じだ。
これはまずい。
「気持ち良くしてあげますね」
その「気持ちいい」はどっちの意味だ。
と考える間もなく、リーネの手が腰の方へ伸びた。
微妙な力加減でくいくいと押される。
「っ、く…ふあぁっ…」
堪えようとするも、背筋を撫で上げられて思わず声が漏れる。
「可愛い…」
呟いたリーネが、私の体を反転させ仰向けにした。
私を見下ろすリーネはまるでぷにぷにした子猫のような愛らしい表情なのに、後ろに見える黒いものは何なんだ。
「リ、リーネ…やめっ…!」
叫ぼうとすると、リーネはぴょこんと使い魔の耳と尻尾を出し、小さく首を傾げた。
……可愛い。怒鳴れない。
「えへへっ」
可愛らしく笑いながら、シャツのボタンに手をかける。
…小悪魔だ。
胸を露にさせると、リーネは遠慮なくそれに触れてきた。
「私もこれくらいがいいなぁ。…でもそしたら、芳佳ちゃん構ってくれなくなるかなぁ…」
「あ…リーネ、そんな…強くしたら…ぁ…」
体に力が入らない分、ダイレクトに刺激が伝わってくる。
「ここのマッサージはもういいですか?」
「そ、そうじゃなくて…」
「わかりました、お姉ちゃん」
…!駄目だ、リーネの魔法の言葉は強烈すぎる…
リーネは片手で胸を揉みながら、私のズボンを脱がせた。
ひやりと触れた空気に、少し正気が戻る。
「そっ、そこは駄目だ!リーネ…」
「にゃあ?お姉ちゃん…」
………いい、好きにしてくれ。この妹子猫は可愛すぎる。
リーネはマッサージするように、手のひら全体を使ってそこに触れた。
「ひゃっ…」
「わぁ、ぬるぬるですね。バルクホルンさん、えっちなんだ」
頬を赤く染め、楽しげに目を細めて私を見つめるリーネ。
その可愛らしさと行為のギャップに目眩がしそうになる。
「優しくしないとですね」
リーネはゆっくり、わざと音を立てるように手を動かし始めた。
「あっ、ぅ…や…」
「うふふ、中もほぐさないと…」
「あぅッ…だ、だめ…」
内部に侵入してきた指は、壁を撫でるように中を掻き回す。
力が入らないのに、リーネの指を締め付けるのが自分でもわかった。
うぅ…カールスラント軍人がこんな事でいいのか、立派な姉である私がこんな事で……
「気持ちいいですか?お姉ちゃん」
…猫耳を揺らしてにっこり笑うリーネを見たらどうでもよくなってきた。
「リーネ、ぁ…もぅ…んん…」
「はい、わかりました…」
「ひゃっ!あぁ、んあぁッ…!」
急に指の動きが早くなり、私は促されるように達した。
「はぁっ、はぁ…」
まだ自由のきかない体が、大袈裟に呼吸をする。
「大丈夫ですか?」
「…なんとか…」
「じゃあ続き、いきますっ」
「えっ?ちょ、もうこれ以上は…ぁん、リーネ…!」
その後も、可愛い妹子猫のされるがまま。
私は散々喘がされ、何度も絶頂を迎えた……
翌日。
「いたた…」
「トゥルーデどしたの?腰痛いの?」
「…ああ、ちょっとな…」
エーリカに愛想笑いを返す。
腰を痛めてしまったが、子猫に癒された(?)のは事実故、リーネを怒る気にもなれない。
「マッサージしたげよっか」
「い、いい!もう懲りた!」
「もう懲りた?何かあったの?」
「!い…いや、何も」
「…あやしい」
エーリカに追求された私は、その日起き上がれなかった…