無題
「あれ、芳佳ちゃん。なぁに、それ……」
「あ、リーネちゃん。これは、扶桑の遊具で、一輪車って言うの。後で坂本さんと練習するの」
「え、でも…それだけじゃないよね?ハンドルもブレーキも無いよ?」
「あはは、うん。見ててね、リーネちゃん……よっ、と!」
「…わ、わぁ!!すごいすごいよ!芳佳ちゃん!!なんで倒れないの?」
「えへへー、昔みっちゃんと…ええと、扶桑の友達と練習したんだ」
「……よ、芳佳ちゃん…あの、私も練習したら……その、えっと……」
「ほぅ、珍しい物を持っているな宮藤」
「あ、バルクホルンさん!」
「ふむ、なかなかバランス感覚を要する物のようだな。リネット、怪我はほどほどにな」
「あ、はい……って、あの…私が怪我をするのは確実なのでしょうか?」
「スマン、冗談だ…いて、そう叩くなリネット……ああ、そうだ。二人とも、ハルトマンを知らないか?」
「ハルトマンさんですか?」
「ハルトマン中尉なら、ミーナさんが街に用事だとかで車の運転を……」
「そうか……一応坂本少佐には伝えてあるからいいとするか」
「あの、どちらかお出かけされるんですか?」
「ああ、リベリアンと少々ツーリングを、な」
「え、バルクホルンさんてバイクに乗れるんですか!?」
「カールスラント軍人たる者、多少の乗り物なら乗りこなすさ。ああそうだ、滑走路でペリーヌがルッキーニに自転車の乗り方を教えていたんだが…」
「…ペリーヌさんとルッキーニちゃんって、なんだか、変わった組み合わせ…」
「坂本少佐にもとりあえず伝えておいたんだが、まぁ、暇なら様子を見てやってくれ」
「はい、わかりました」
「バルクホルンさんもお気をつけて」
「ははっ、ありがとう。邪魔したな」
「ここにいたかバルクホルン、シャーリーが呼んでいたぞ」
「もう時間か、お手数おかけしました坂本少佐」
「何、気にするな。楽しんでこい!はっはっはっ!」
「でも、今日はなんだかみんな乗り物に乗ってますね」
「アレ、ミヤフジにリーネ?」
「…坂本少佐も」
「エイラさんとサーニャちゃんもお出か…け……」
「…あ、あの…エイラさん…?」
「エイラ…それは新手の冗談か?」
「な、なんダヨ…?皆して」
「エイラさん。はっきり聞きますけど、なんで三輪車なんて乗ってるんです?」
「コケたら大変ダロ?」
(ヘタレだ)(ヘタレです)(弛んでる!)(……はぁ)
「な、なんダヨ!?わ、ワタシヲソンナメデミンナー!!!」