ひーとばーさーく


夜間哨戒もなく、エイラにきちんと許可を取って眠りについた翌日。
目覚めると、横には可愛らしい寝顔をさらけ出している私の大切なヒトがいた。

その日は珍しく…というより、初めて私が先に起きた。
夜が明けたばかりの薄明るい部屋。

小さな欠伸を一つ、まだ眠い目を擦りながら横を見ると、エイラは無防備な寝顔を見せてくれた。

「……くす。エイラ、よく寝てる」

時刻はまだ夜が明けたばかり。そういえばエイラの寝顔を眺めるのは久しぶりだ。
いつもエイラの部屋までなんとか堪えるものの、どうしてもそこで寝てしまう。
あともう少しだけ眠気が堪えられれば……、と毎回目が覚めてから思う日が続いていた。

……情けないな、私。
大好きなこの人に、私は何一つ返せてはいないのだから……

夜明け前の冷たい空気がより一層目を冴えさせる。
その時、私はとある香りに気が付いたのです。
それは、とても甘い香り……
大好きな、エイラの……香り……

もっとその香りを吸い込もうと私はエイラの傍へと近付いた。
その時、ふとエイラの奥に視線がズレた。
見れば床に昨晩脱ぎ散らかしたままの私の服が散乱している。
が、あえて言います。
そんなことは問題じゃないんです。
と言うより私の服なんてどうでもいいんです。
私は、そのすぐ傍に、無防備に置いてあるソレを見てしまったのです!

エイラの……ズボン……
いいえ、あれはズボンじゃない!!
毎回毎回、あんなエイラこんなエイラを見続けつきた私には分かる!!!
あれは、エイラの―――!!!!

なら、私がしなきゃいけない事なんて……一つだよね、エイラ。
……サーニャ・V・リトヴャグ、状況を開始します!


しばらく私は熱に浮かされた様にエイラの¨ソレ¨と戯れていた。
しかし、ベッドから物音がした気がしたので振り向くと、なんと……エイラが起きていた。

芳佳ちゃん、事件です。
芳佳ちゃんのマネをしていたらエイラに見つかりました。


止まる時間。微動だにしないエイラ。
なんとなく私はそのままエイラに近づいて――

「な、さ、ささささ、さーにゃ!?なん、わたっ、かぶって…ん!?」
「ちゅ~っ」

くちびるを奪ってみた。
うん。いい感じにエイラ味。
何か言おうとしていたエイラは、今度は顔を真っ赤に染めた後、鼻血を盛大に噴いて倒れてしまった。

私を放っておいて一人また眠りにつくなんて、今日のエイラは意地悪だ。
だから私も、ちょっとくらい意地悪してもいいよね?
私はベッドに転がっているエイラを後ろからしっかりと、逃げられない様に抱きしめて、二度寝をすることに決めた。


数時間後、目を覚ますと頭がぼぅっとして、しかもなんだかくらくらした。
私…さっきまで、何かをしていた様な…?

私の調子が悪そうだ、とエイラは慌てて芳佳ちゃんを連れて来てくれた。
芳佳ちゃんが言うには私は風邪を引いているらしい。
記憶が朧げな理由はなんとなくわかったのだが……

「………エイラ…?」
「な、なな何ダ?ダイジ…あー、えとー、その、ダイジョウブかさーにゃ…?」

何故かエイラが顔を真っ赤に染めて、いつも以上にオロオロとしている理由が私にはまったく分からなかった。


おーわる


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