うそつきはいちゃいちゃの始まり?
うぅむ…。
今日のサーニャはどこか変だな。
妙にそわそわしだしたと思ったら、その後私にいきなり変なこと言ったり…。
変なこと言ったと思ったら、私に甘えてきたり…。
なんなんだろうな?
――――――
サーニャの不思議の始まりは夜間哨戒を終えていつもどおり私の部屋に入ってきたときだった……。
私もいつもどおりサーニャが帰ってくるのをベッドの上でコロコロ転がりながら待っていたんだ。
そしたらこれだよ…。
…
「エイラ、今日は自分の部屋で眠るね」
え? 今、なんて?
私の聞き間違いか?
「あの、サーニャ…? もっかい言ってくれるカ?」
「だから、1人で眠るから自分の部屋に行くね」
え、うそ、ちょサーニャ? サーニャ!?
い、行っちゃった…。
なにが…どうして? いきなり1人で眠るだなんて…。
1人で眠るってことは私とはいやだってことだよな…。
まさか、嫌われちゃったのかな…。う、うぅ…。
今日は、って言ったけどこれからも1人でなんてことに…? 嫌だ! そんな生活たえられない!
……たえられるわけ、ないだろ…。
「なぁ、うそダロサーニャ…、帰ってきてくれヨ…」
「うん、うそ」
「サーニャ…サーニャぁ………え? ――サーニャ!?」
「うふふ、うそなの。ごめんね」
な、どういう…ことだ?
嫌われたとか…私と一緒はいやとかなんじゃ…ない…のか?
「なに言ってるのよエイラったら。私はエイラと一緒に眠りたいの。エイラと一緒がいいの…」
「私のコト…嫌いになったんじゃナイの…?」
「私がエイラを嫌いになるわけないでしょ」
「ホント…?」
「うん」
ホントに…ホントなんだな…?
サーニャは…帰ってきてくれるんだよな…?
これからもおかえりって言えるんだな…?
「うん。ただいま」
「う、うぁ、うああああん!! サーニャあああ!!」
「よしよし、泣かないで。ごめんね、本当はエイラと離れたくない…。ずっと一緒よ…」
「うん…、ぐす、ありがと、サーニャ…」
――――――
つい泣いて抱きついてしまったのは恥ずかしくもいい思い出だ。今日の話だけど。
いい匂いと柔らかな体と暖かいサーニャの手に包まれて眠っちゃったからな! ニヒ…。
でもいきなりあんなうそをつくなんて…びっくりした。
まあまだサーニャの不思議は続くんだよ…。
昼に起きてご飯食べて、ソファでゆっくりしていた時にまたサーニャが動いた。
…
「えいら…ねむいの…」
「ん? あぁ部屋まで連れてってやるからもうちょっと待ッテ」
「ううん…ここでいい」
ここでいいって眠いならベッドのが…。
ったく、おんぶか。おんぶなのか。
たまにこうして甘えんだよな~、サーニャは。こんなとこもかわいいなあもう。
「えいら、かた…かして」
「かた? って肩ぁ? い、いいケド。ちゃんと寝た方が…」
「やぁ…、えいらのかたでねるの…」
ん~…。どうしたんだ?
おんぶじゃないの?
「……ハイどうぞ、サーニャ」
「ありがと…」
うっ。やっぱり近いな…。
眠いからかな、サーニャの体が熱い…。
うわわ…サーニャの頭が…髪の毛がぁぁ…。
「うぅ…落ちつかネー…」
「……」
「こんなとこルッキーニとかハルトマンに見られたラ…」
「………」
「ん~…、ん~ん~…」
「………ふふ、すきありっ! ちゅっ!」
――――――
っていう感じに唇を奪われたわけなんだ。
な? な? おかしいだろ?
眠いってうそついて私に近づいてキスをする…。
そこまでしなくっても私は逃げないぞ! たぶん…。
そしてさっきだ。
サーニャが夜間哨戒休みだったからつい話し込んじゃってて、もう遅いし寝ようと部屋に戻るとき。
他にも滑ったとか言って飛びついてきたり寒いとか言ってくっついてきたりしたけど…、まあいいや。
…
「じゃ、オヤスミー、サーニャ」
「……。エイラ、部屋のドア開かない」
「はぁ? いや、開かないッテそりゃ押して開けるドアを引いたら開かネーヨ…」
「ううんこれは壊れてるの。だからエイラの部屋に…」
「…ようするに一緒に寝ようってことダナ?」
「…うん!」
――――――
最高の笑顔で頷くんだもん。
かわいいだろぉ? かわいいんだよ。もう!
そんで今並んで私のベッドの中。
「ふふ、えいらー」
「ナンダヨー」
「いいでしょ、くっついたって」
「んー、わかったヨ…」
って腕にくっつかれてドキドキしてますよ。
正直眠れるわけがない。
サーニャも私の腕にすりすりしたりして眠ってないみたいだけど。
まあそれはいいんだ。楽しいしな。
興奮気味の頭で、ずっと気になってる朝からのサーニャを振り返ってみたけどやっぱりわからないんだよ。さっぱりだ。
なんでうそまでつくんだろ?
…考えても仕方ないか。
「サーニャ? 起きてる…よナ」
「うん…」
「なぁ、どうして今日はずっとうそついてたんダ?」
「ん…、それは…エイラに甘えたかったから…」
うっ! 上目は反則…!
じゃない! 甘えるなら普通にすりゃあいいだろ。
いつまでも逃げたりしないぞ。私だって。
「ホント? これからは思いっきり甘えていっていいの?」
「あっ、アア!」
ヤバいなんか罠にはまった感じ…。
サーニャの顔が輝きだした…。
「うれしいっ! エイラありがとう!」
「う、うわ! サーニャ!」
はぁ…どうもサーニャの手の中みたいだな。
ま、いいか。
サーニャ嬉しそうだし、私も嬉しいし。
ただ…みんなの前が大変だなぁ…。
からかわれるかなぁ…。それもいいなぁ、なんか新婚をからかわれるみたいで。
ラヴラヴなのはわかったから部屋に行けーとか言われたり…。
いきなりキス見せろーとか、サーニャへの愛の言葉聞かせろーとか言われたりしてな…。ニヒヒ…。
「あとエイラ、今日は何月何日かわかる?」
「はー…。…え? あ、あぁ今日は、4月……1日…! まさかサーニャ!」
「そ、エイプリルフール。もう昨日になっちゃったけど」
うぇぇ…ホントだ。12時過ぎてる…。
「もううそはつけないよ?」
「ナンダヨ~…。エイプリルフールだからあんなにうそついてたのかヨ…」
「そう…、ごめんね?」
「ったくぅ…」
「でもさっきのは本当よ。エイラに甘えたくて、キスが…したくて…」
「サーニャ…」
「だから…もう一度…」
うっ、サーニャの顔が近くに…。
気づいたらサーニャに上に乗られてるし…。腕もおさえられて…。
サーニャの綺麗な顔が…だんだん近づいて…。
うはあ! サーニャの吐息がああ! なんかエロいいい!
たまんねえええええ!
「エイラ…」
「さっ、サーニャ…!」
ん、はぁ…。
これが大好きな人とのキス…。
すっごく気持ちよくてとろけちゃいそうだ…。
深く絡ませてる舌から強くサーニャを感じる…。
サーニャがいっぱい溢れてきて…、サーニャでいっぱいになって…。
「はっ、む……ん……」
「…んっ、…さ、さー…ぁむ…」
でもなが…い…、もう…息が…。
「ん、はぁっ…」
「はぁっ! はぁ…はぁ…、サーニャ! ちょーっと長いんじゃないカナ!?」
「まだ足りない…」
「え!?」
「まだ…全然…」
うわあ私…明日動けないかも…。
ま、いいかぁ…、明日もサーニャと一緒だ…。
END