bloom gazing


「いやあ、まさか基地の中庭に桜の木が有ったとはな」
「綺麗ね、美緒」
「丁度満開だ。五分、七分と咲き加減で美しさが変わるのも良いが、満開で桜吹雪の中の花見も良いもんだ」
「風も気持ち良いわね」
「坂本さん、お料理とお酒お持ちしました」
「よしご苦労! 早速始めるか!」
「はい。ではお酌します。どうぞ」
「おお、すまんな宮藤」
「美緒、またお酒?」
「扶桑の人間はな、ミーナ。花を愛でると言って、花の美しさを楽しみ、そして酒を飲む」
「花を観賞するだけじゃダメなの?」
「それはそれで趣が合って良いが……やっぱり楽しまないとな! シャーリーとルッキーニも来い!」
「あ、どうも少佐。いや、いきなりそんなに飲めませんって」
「ウジャー リーネの作ったサンドイッチいただき~」
「ミーナもどうだ。日頃大変だからな。少しは花を愛で、酒でも飲んで気分転換だ」
「有り難う。でも桜の木の下で宴会をするって、扶桑独特なのかしら」
「かもな。……ほら、散ってきた花びらが、杯に入るだろう?」
「ええ」
「それがまた良いんだ」
「でも、宴会やるんだったら、バーベキューの準備したのに。少佐も先に言ってくれれば……」
「これから気候も良くなるし、機会をみつけて宴会をやればいいじゃないか。シャーリー、次は期待してるぞ?」
「そ、そりゃ、どうも……」
「あたしもバーベキューすき~。やってやって?」
「お、おう」
「芳佳ちゃん、このおにぎり美味しいよ」
「ありがとう、リーネちゃん。リーネちゃんの作ったサンドイッチも美味しいよ」
「ありがとう、芳佳ちゃん」

「少佐は相変わらずマイペースだな。ミーナが少々困ってるみたいだが」
「良いんじゃないの? なんだかんだでミーナも楽しそうだけどね~」
「私達は、あの宴会の輪に加わらなくて良いのか?」
「端っこの方で、一緒に花見てるだけでも楽しいよ、トゥルーデ」
「そうか。私もだ、エーリカ。……しかし、桜はそんなに特別なものなのか?」
「扶桑のひとにとっては、特別な花なんです」
「お、ミヤフジ~。どうしたのいきなり?」
「お料理少しどうかなって思って。如何です?」
「ありがと。貰うよ」
「宮藤。聞きたいのだが、何故扶桑人にとって桜は大切なんだ?」
「そうですね……春の訪れを知ると言うか……なんか、こう、風情が有るじゃないですか」
「風情……」
「季節感って言うか。あと、桜ってそんなに長く咲かないですよね」
「まあ、ぱーっと咲いてすぐ散っちゃうよね」
「それですよ。その一瞬の儚さが、なんかこうグッと来るんです、私達扶桑のひとにとっては」
「……いまいちよく分からんが」
「ええと……坂本さ~ん、わかりますか?」
「そうだな。桜の散り際の潔さ。これを扶桑の昔の武人たちが好んだ。それも理由のひとつかもしれんな」
「なるほど。潔さ、と」
「バルクホルンとハルトマンも難しい顔してないで、こっち来て飲め飲め! せっかくの無礼講だ!」
「ああ、どうも……」
「ペリーヌ、お前も何そこでたそがれてるんだ、こっち来い!」
「は、はい少佐! 申し訳ありません」
「考え過ぎは良くないぞ、ペリーヌ。何か問題が有ったらすぐに言うんだぞ?」
「お気遣い感謝します」
「そう言えばペリーヌ、最近新しく友人が出来たそうじゃないか? カールスラントの……」
「え、ええ! まあ、その……」
「はっはっは! 楽しくやると良いさ。戦友同士、仲良くしないとな! 何なら今度お前の方から会いに行ってやれ! 喜ぶぞ!?」
「ええっ? 良いのですか?」
「美緒……ちょっと飲み過ぎじゃないかしら?」
「そうか? ミーナの気のせいじゃないか?」
「貴方顔に出ないけど……なんかいつもよりちょっと酷い気がするわ」
「気のせい気のせい、ほら飲め飲め!」

「桜カ~。確かにすぐ散るんだよナ~」
「でも、綺麗」
「そうだよナ。確かに綺麗だよナ。でも、夏になると毛虫が結構凄いんダヨナ」
「それは言わないで」
「ゴメン。でも、こうやって風に乗ってくる花びらとか、綺麗だよナ」
「そうね、エイラ」
「き、綺麗さは、さ、サーニャ程じゃないゾ?」
「エイラったら。……向こうのみんな、楽しそう」
「なんか乱痴気騒ぎになってるゾ? 今行くと良くない気がする」
「行こう、エイラ」
「おわ、サーニャ、手を引っ張るナ……」

end


続き:0959


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