無題


「た、た確か、明日は、や休みだったよな…?」

―――夕食後、急に愛しのお姉ちゃんと(心内で)したっているゲルトルートさんから声がかかった。

「はい、お休みですけど…?」
「な、なら、明朝ヒトフタマルマルに談話室にきてくれっ」
「はい、わかりまし…って、いっちゃった…」
言い終わるや否や、かけていってしまったゲルトルートさん…

「どうしたの?」
とミーナちゃんが訪ねてきたが、じぶんでもよくわからなくて首をふるしかできなかった。
「もしかして、デートのお誘いじゃないのかな?」
「ええっ、そ、そそそんなわけないよっ…」
とは言ったものの、心の中で期待しているじぶんがいるのはたしかで…

「かわいくしていかなくちゃね」
とニコニコでいってくるリーネちゃんの言葉に顔を真っ赤にしてうつむくことしかできなかった。


翌朝。
結局悩んだ挙げ句いつもの服で行くことにした自分がいやになりながら談話室へいくと、予定よりまだ二十分も早いのにゲルトルートさんはいた。

「お、おおはようございますっ」
「あっああ、おはよう…」
「すいません、またせてしまったみたいで…」
「べ、別にかまいにゃしにゃ…っ
オホン、と、とにかくいこうか。玄関でまっていてくれ」

玄関でゲルトルートさんをまちつつ、今日のゲルトルートさんは普段より少しきれいで少しいい香りがしたなぁと思い(普段からおもっているのではあるが)、自分に対し後悔しながらまっていると、ゲルトルートさんがハイヤーを回してやってきた。
「さあ、いこうか」
「はい、わかりました」

「ところで、今日はどこへいくんですか?」
「え、えとだな…、その、ミーナから偶然映画のチケットをもらってだな。し、しかも今週までらしいから、そ、それで宮藤を…」
「そ、そうなんですか…」
どうやらリーネの予想が当たったらしい。ますます後悔する宮藤と時々宮藤を眺めるあまりハイヤーをぶつけそうになるゲルトルートを乗せて、ハイヤーはロンドンへと向かう。

「さて、たしかここだな…」
ついたのは、どこにでもあるような安っぽい映画館だった。

「わ、わたし、映画初めてで…」
「そうか、中はくらいから足元に注意しろよ?」
といって自然に手をつなぐゲルトルートにたいし(もちろんゲルトルートの顔は真っ赤なのだが)、宮藤は
「ひゃ、ひゃいっ」
とかなり緊張したのを全面にだしていた。


映画の内容は、どこにでもあるような死んで英雄になる夫と、戦場へ旅立つ夫を見送る妻の話だった。


「す、スッゴくよかったですねぇ…」
と号泣する宮藤に対し、ゲルトルートは
「そ、そうだな…」
としか返すことができない。それもそのはず、ゲルトルートは映画にみいっていた宮藤の百面相にみとれていたのだから…。

「さ、さて、これからどうする?どこかいきたいばしょでもあるか?」
「い、いえ、特には…」
「そうか。なら、そのへんでも見て回るか」

二人はアクセサリーショップや、生活用品店などさまざまな所を見て回った。そして川沿いのカフェでコーヒーを飲んだあと、

「そろそろ夕刻だしかえるか?」
「そ、そうですね…」
という事になり、宮藤がまたきたいなぁとおもいつつハイヤーは帰路を走る。




はずだった(主に宮藤のなかで)。
途中ハイヤーが道をそれたのだ。

「…?どこにいくんですか?基地はあっちですよね?」
「ま、まあ、ついてからのお楽しみしゃ」

大事なところで咬んでしまったゲルトルートと、ドキドキしながらもあははと笑っている宮藤を載せ、ハイヤーは坂をのぼっていく。

ついたのは、沈む夕日と煌めく涙が印象てきな崖だった。

「ぅわぁー…。きれー…」
「そうだろう?たまたま訓練中に見つけてな。きにいってるんだ。因みに、ほかの奴らには話さないでくれよ?」
「わ、わかりましたっ。そんなとこにつれてきてくださってありがとうございますっ…」
「あ、あぁ…」

夕日が沈むのをながめながら、しばらくの時が流れた。ゲルトルートが箱を取り出していった。

「宮藤芳佳。話がある。」
「は、はいっ」
急にフルネームでよばれ、思わず背を伸ばしてしまった宮藤をみて、微笑みながらゲルトルートはいった。

「わ、わたしとっ。結婚を前提につ、つつつ付き合ってくれっ」
「はいっ。
…て。ええええええぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

「む、無理にとはいわんし、いやならそうといってくれ。」
「え、いゃ、その…あの、よっ、よろしくお願いします…」
「あ、ありがとう…っ。
これを受け取ってくれないか…?」
ゲルトルートが箱から取り出したのは、宮藤が特に眺めていたブローチだった。
「あ、これ…。ありがとうございます…」
「因みに、結婚するまではその…おねえちゃん、とよんでくれ…」
「わ、わかりました…おねえちゃん」

微笑む宮藤をみて、ゲルトルートは。


ーーーーーキスをした。


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