密命!トゥルーデ撃墜指令
バルクホルンはエイラの胸をまさぐっていた。
コリコリに凝った乳首に舌を這わし、時折歯を立てて軽く甘噛みする。
そのたびエイラは「うぅっ」と呻き、切なそうに眉間に皺をよせる。
自然に浮き上がった腰が淫らにくねり、エイラは更なる快感を貪ろうと噛み合わせた部分を擦り付ける。
「むっ……むぅぅっ……」
バルクホルンも下半身に湧き上がってきた甘い疼きをこらえようと、歯を食いしばって呻き声を漏らす。
奥深いところから湧き出してきた互いの液が混じり合い、愛し合う2人の腰の動きは加速していった。
「あぁっ、トゥルーデ……も、もう……」
「エイラッ……わ、私も……あおぉぉぉっ」
2人は獣じみた叫びを上げながら、快楽の園へと登り詰めていった。
「なぁ、エイラ……」
長く尾を引く余韻に浸りながらバルクホルンは愛人に呼び掛けた。
エイラはグレーの瞳で見詰め、愛する人に先を促す。
「エイラ、正式に私のものにならないか?」
バルクホルンはエイラの長い髪を愛おしそうに撫でる。
「…………」
「……嫌か?」
バルクホルンは不安そうにグレーの瞳を覗き込む。
そこには戸惑いと不安の色が入り混じっていた。
「トゥルーデにはエーリカがいるダロ?」
エイラは返事をする代わりに、拗ねた口調で呟いた。
「お前がウンと言ってくれるのなら、私はいつでもエーリカと別れるつもりだ」
バルクホルンはキッパリと言い切った。
「それより、お前こそサーニャをどうするんだ」
冷酷で執念深いオラーシャ女の顔が脳裏をよぎると、バルクホルンの背筋に寒いものが走った。
サーニャには民族や宗教の違いを超越した、得体の知れぬ違和感を持っている。
強いて言語で表すとすれば、「狂気」と言うのが一番近いのだろうか。
なんにせよ、絶対に敵に回したくないタイプの女であった。
「サーニャは裏切れない……許してくれるとは思わないしナ……」
エイラは身震いしながら語尾を震わせる。
今夜のようにサーニャが夜間哨戒に出ている間だけ、エイラはバルクホルンの愛人となる。
僅かな間だが、エイラにとって充実した、本当の自分に返ることのできる幸せな時間であった。
もう身も心も自分がバルクホルンのものになったという自覚はあったが、その一方でサーニャとの仲も切れないでいる。
こんな中途半端な状態が嫌で、エイラは何度かサーニャに別れを告げようとした。
しかし、陰鬱で底の知れない湖のような目に見詰められると、何も口にできなくなってしまうのだった。
そんな日のサーニャの責めは決まって容赦がなかった。
エイラが泣いて許しを乞うても攻撃の手を緩めず、失神することすら認められないのだ。
結果、エイラは穴という穴から汁気を垂れ流して朽ち果てる。
「あなたは私のモノなの……永久に……」
サーニャの囁きが脳裏に甦り、エイラは再び身を震わせた。
「畜生っ、こんなに好きなのに……こんなに愛してるのに。どうにもならないのかよっ」
バルクホルンが悔しそうに歯噛みした。
こうなればサーニャがネウロイに墜とされるのを願うばかりだった。
サーニャさえここから居なくなれば。
サーニャさえ死んでくれれば──。
その翌日、日課を終えたバルクホルンは、夕食前に汗を流そうと浴場にいた。
今夜のシフトもサーニャは23時から夜間哨戒に出る予定なっており、エイラとゆっくり愛し合える。
ふと緩みがちになる頬を引き締め、バルクホルンは丹念に肌を磨いていた。
普段厳めしい自分がニヤニヤと一人で薄笑いを浮かべている姿は不自然である。
それでも、この肌にあの潤んだ唇が触れ、子猫のような舌が這うと思うと、知らず知らずのうちに口元が緩んでくる。
「どうしたの。なんかいいことあったの、お姉ちゃん?」
突然話し掛けられたバルクホルンは、鏡の中に宮藤芳佳の顔を認めるや不快そうに眉をひそめた。
バルクホルンは、この貧相な体をした東洋人が好きではなかった。
軍人としての躾もなっていないし、年相応の分別も持たないガキは、規律を重んじる軍隊にとって害以外の何ものでもない。
意味なくニタニタ笑った平べったい顔も虫酸が走る。
いきなり怒鳴りつけてやろうとも思ったが、相手と同じ次元に自分を貶めることもない。
もっと残酷に、冷たくあしらうことにした。
「失せろ。お前のような妹を持った覚えはない」
バルクホルンはできるだけ冷酷な声で芳佳を拒絶した。
ところが、当の芳佳は怯むどころか余計に体を寄せてくる。
「ご機嫌ななめなんだね、お姉ちゃん」
カッと来て振り返ろうとして、バルクホルンは自分の右横にリネットが座っているのに気づいた。
「いつの間に……はっ?」
気づけば、左の椅子にはルッキーニの姿が。
知らぬうちにバルクホルンは周囲を取り囲まれていたのだ。
「お前ら……何の用だ?」
身の危険を感じたバルクホルンは咄嗟に立ち上がろうとした。
しかし、それより早く左右の2人が反応した。
両手と肩口を左右から押さえられ、バルクホルンは中腰のまま立ち上がれなくなる。
「お姉ちゃんがいけないんだよ。こんなおっきなオッパイしてるから」
芳佳は背後からバルクホルンに密着すると、腋の下から手を回してきた。
「や、やめっ……あぁっ?」
泡まみれの乳房が柔らかく揉みし抱かれ、バルクホルンは思わず声をあげてしまう。
「いいなあ、お姉ちゃん。こんなオッパイして」
芳佳はバルクホルンの胸を弄びながら、後方に突き出されたお尻に自分の股間を押し当てる。
そして円を描くように腰を動かし、グリグリとクリトリスを擦り付ける。
「ずるぅ~い。芳佳ちゃんばっかりお姉ちゃんを独占して」
リネットが唇を尖らせて抗議し、手にしたバルクホルンの右腕を股間に挟み込んだ。
そこは既に湿っていた。
リネットはバルクホルンの腕にスリットを擦り付け、自分の欲望を貪り始めた。
「お、お前ら。どういうつもりだ。す、直ぐにやめ……あぁっ?」
バルクホルンは最後まで言い切れなかった。
左の乳首にルッキーニが噛みついたのだ。
「お姉ちゃんの泣きどころくらい知ってるよ。だって、妹なんだもん」
ルッキーニが甘噛みで固定した乳首を、尖った舌先でチロチロと転がすようにしゃぶり上げる。
「ひぃっ、ひぃぃぃっ」
一番敏感な部分を責められ、バルクホルンは全身をわななかせた。
「もっと気持ちのいいことしてあげる、お姉ちゃん」
芳佳は酷薄そうな笑いを浮かべると、バルクホルンの体を前のめりにさせて四つん這いを強いた。
大きく突き出された尻を両手で固定すると、その中心部に固く尖らせた舌を近づける。
「ひっ……そ、こんなところ……やめ、やめろぉ」
バルクホルンは暴れようとしたが、3人掛かりで押さえつけられていてはどうにもならない。
排泄器官にネットリとした舌が襲いかかった。
数分後、バルクホルンは身も心もトロットロにとろけさせていた。
もはや抵抗する力を失ったとみるや、リネットとルッキーニまでもが舌責めに参加する。
既に解れきったアヌスには芳佳の舌が出入りしている。
バルクホルンにはそれを阻止する手立てはなく、またその気も起きないでいた。
秘所から溢れてくる液を、リネットとルッキーニが争うように舐めとっていく。
「どう、トゥルーデ。少しは懲りた?」
知らぬうちに現れたサーニャが冷たい目でバルクホルンを見下ろしていた。
それに気づくと、3人の妹は姉の体を離れて、サーニャの膝下に跪いた。
彼女たちはバルクホルンを墜とす命を受けたサーニャの手下なのだ。
やはりエイラとのことは隠し通せなかった。
千里眼のサーニャには、2人の秘密などとっくにお見通しだったのである。
「これは戒めよ……トゥルーデ撃墜部隊の恐ろしさをタップリ教えてあげる」
冷たく言い放たれた言葉は、既にバルクホルンの耳には届いていなかった。
(つづく)