今日だけじゃないもん


「ふぅー…、ツカレタナ~…」

やっと帰ってきた。私の旦那様。…ん? お嫁さん、かな…?
とりあえず夜間哨戒お疲れ様。

「服は後でなんとかシヨウ…」

うん…服脱ぎ捨てるのはいつ見てもドキドキするよね。
あぁ危ない、ふらふらしてる。
ふふ、かわいいなぁ…。

「ねみぃ……」

私の横に沈み込む愛しい人。
あっ、あれしなくちゃ。

「エイラ、おかえり…」

おかえりのキス。
すべすべしたエイラの頬をなでて毛布をかけてあげる。
服は…起きてからでいいよね。今は一緒に寝よう…。
エイラを転がして私の方にむけて、腕をむりやり(ごめんね)広げて…その隙間に…よいしょっと。
うふ、エイラにだっこされちゃったー。

「おやすみ、エイラ」

おやすみのキス。うふふ。
私キス好きだよなぁ。
でも私からしかできないんだよね。
もう何度も何度もしてるのに…エイラからは1回もないな。

「エイラのばーか」

聞こえてないから大丈夫。いや聞こえた方がいいかも。
もうちょっと積極的になってもいいのにな。

「ばーか。えいらのばーか。悔しかったらキスくらいしてみてよ…」


まぁ無理だな。
エイラのヘタレは私が一番知ってる。
だからこうして――

「う…? さーにゃ? ――サーニャ!?」
「あれ、起こしちゃった? ごめんね、エイラ」
「ドウシテ私の部屋に!?」

そう、ここはエイラの部屋。昨日エイラが夜間哨戒に出る前からずっと居座り続けて今に至る。
だってエイラは私の部屋に“まちがって”入ってこないでしょう?
それにもうここは私たち2人の部屋なの。

「部屋なの、って…。マァいっか…今日だけダカンナー…。ねる……」

おや、今の体勢についてはなにも気にしてないのかな?
眠いときはこんなにくっついても大丈夫…。ふふ、ふふふふ…。

覚悟してね、エイラ。
私ちょっと燃えてきちゃった。今日は寝かさないわよ…。


まずはぎゅぅーってして。全身でエイラを感じよう。
そうだよ、だっこと言っても腕を回されてるだけなんだもん。
エイラは寝ちゃってるから私がしてあげるね。

ぎゅ……。

柔らかくてふわふわしてて。下着の隙間から触れるお肌にドキドキ。
それに何よりもあったかくって。こうするだけでとても気持ちいい。
ああ、最、高……。


あ、だめ。まだ最高は早い。
まだ足りないんだからね。


次に髪の毛。さらさらしててとても綺麗な髪の毛。
抱きしめたまま頭をなでてあげながら1本1本に触れていく。
どうしてエイラの髪の毛はいい匂いがするんだろう?
そこだけじゃないけどね。全身からいい匂いがする。
うふふ、この匂いも私だけのもの…。


次は…エイラの声が聞きたいな。

「えいら、エイラ。私を呼んで」

今までぴくりとも動かなかったエイラが目を開ける。
私の声はちゃんと聞こえてるんだね。嬉しいな。

「ん~…、なんだよさーにゃ……」
「名前呼んで、お願い」
「えー? あぁハイ……。サーニャ、サーニャさん、サーニャちゃん……」
「もう、普通に呼んで」

今ちょっと新鮮でドキッとしたけど。
たまにはいいかもしれない。

「う……、サーニャ…。さぁにゃ、さ…にゃ…、もうイイ?」
「うん、まだ足りない」
「うええ……。サーニャ、サーニャ……」

名前を呼ばれるたびに心が弾む。
嬉しくて、楽しくて、そしてなにか熱く激しい気持ちで溢れていく。
ああ、エイラ…かわいいエイラ…。
大好きなエイラ。愛してる……。

はぅ。もうだめ、我慢できない。

「エイラ」
「ん~?」
「だいすき」
「…は? ――っ!?」


深く、深く、もっと深く。
エイラに奥まで私を感じてもらえるように。
そして私がエイラをたくさん感じられるように。
ちなみにエイラが逃げないように頭を押さえつけている。これは基本。

痺れるようなキスを息が苦しくなるまで続けると頭がぼーっとして快感に変わって。
エイラを存分に味わいながら何度も何度も続けていたら、さすがにしっかりと目が覚めちゃったみたい。

「おいサーニャ!? いきなりなにすんダヨ!」
「なにって、キス…」
「そうじゃねーよ! 不意打ちはよくないと思うヨ!?」
「我慢できなかったんだもん…」
「できなかったんだもん。じゃなくて急にしちゃだめ! ちょっと苦しかったんだぞぉ…?」
「ということは急にじゃなかったら大丈夫…! ふふ…これはいいことを聞いたわ」
「え! あー、イヤ、えー…?」

うふ。じゃ、続きしよっか♪
もちろん最後まで。ね?
本当に今日は寝かさないんだから…。


END


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