Sweet Duet


気が付くと、私は空を飛んでいた。星が輝く静かな夜空を。

隣にはいつものようにサーニャがいる。でも何だか違和感を感じた。
よく見たら、サーニャはストライカーを履いていない。使い魔の耳も尻尾も生えてない。そういう私も、脚にストライカーを付けている感覚がなかった。
なんだ?なんでストライカーなしで飛んでんだ、私たち。

「ねぇ、エイラ」

サーニャが柔らかく私を呼んで、微笑んだ。

「一緒に歌わない…?」
「へっ?」

唐突なその言葉に、思わず間抜けな声を上げてしまう。

「一緒に歌おう。ね?」

小首を傾げるサーニャはめちゃめちゃ可愛くて…

「い、いや、でも…私、サーニャみたいにうまくないし…」

むしろこんな状況だったら、サーニャの独唱をずっと聴いていたいくらいだ。独り占めじゃんか。
でも……

「ダメ……?」

うぅっ…そんな上目遣いで見られたら断れねーよ。

「わ、わかったよ…」

私が頷くと、サーニャは嬉しそうに微笑んだ。

「じゃあ、エイラからよ。せぇの…」

ららら、とサーニャが前奏を歌い出した。
ふわふわと儚い声なのに、私を含むこの空全部を守ってくれているような。
サーニャの歌は不思議だ。どこまでも飛んでいけそうな気がする。
星みたいにきらめくその歌声に少しうっとりしてから、私は息を大きく吸い込んだ。


――――

「あなたの…う~たに…」

私の背中に寄りかかって眠るエイラは、むにゃむにゃと寝言を言っている。
私がよく歌うお気に入りの歌を歌っているみたい。
ふふ、エイラ…可愛い。

「よるに…はぐぅれ、ないよ…に…みちび…ぃて…むにゃ…」

そういえば、二人で夜間哨戒についてても、いつも私は歌っていてエイラは聴いてるだけ。
星の下で一緒に歌ってみたいな。でもエイラは「私はうまくないから」って言うかな…
エイラの歌声、とてもエイラらしくてまっすぐで…私は好きなのに。

「んぅ~…」

きゅ、と私を抱き締める腕に力がこもった。
エイラは、寝ている時はなんだか甘えん坊。可愛い…

「エイラ…」

体に回されている腕に触れた。
とってもあったかくて、安心する温もり。エイラのこの両手が、大好き。
この両手に包まれているだけで、なんにも怖くなくなる。

「どこま…も~…ひびかせ…て…」

かく、とエイラの頭が傾いて、私の頬にぱさりと髪の毛がかかった。…くすぐったい。

夢の中から途切れ途切れに聞こえるエイラの歌声に、私もメロディをかぶせた。
いつか私とあなたが、雲をわたあめにしちゃうくらい甘い甘いハーモニーで夜空を包む日が来たらいいな、なんて願って。



♪…Sweet Duet…


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