あめのひ。
あ、雨、だな…。
サーニャ、傘、使いなよ。
私は濡れても平気だし。
サーニャが風邪ひいたら大変だ。
は、……え!?
い、いいい一緒に使う!?
いい! 私大丈夫だから! この傘ちっちゃいし、な!?
ちょ、サーニャっ…!
うぅ……。わ、わかったよ……。
っ…!
あの、サーニャ…?
う、腕…組まれると…恥ずかしいんだけど……。
――――――――――
うふふ。いいでしょ?
……。
ん、なぁに…?
うん、私は大丈夫だよ。
それよりエイラこそ、濡れてない?
大丈夫?
……そう、よかった。
……。
ふふっ、ぎゅーっ。
――――――――――
……。
……っ!
……さ、ささ、サーニャ…?
い、いいや、なんでもない…。
なんでも…ない……。
……。
たっ、たまには雨も良いもんだなっ!
――――――――――
ねぇ……。
エイラは、ね?
好きな人って、いる?
……そうなんだ…。
じゃあ……。
ずっと、一緒にいたいって思える人は、いる……?
……ふふ、ありがと。
ありがとう、エイラ。
――――――――――
そ、そういう、サーニャは…。
サーニャは、ど、どうなんだ…?
す、好きな人って、いるの?
え――?
そ、そう…。
そう…なんだ……。
…そ、れで…、どんな人…なの…?
い、いや…。
気になる…んじゃなくて…。
私は…ただ…。
ただ……。
……。
…。
――――――――――
……。
その人はね…?
めんどくさがりで、いたずら好き。
とっても寂しがりなくせに、とっても恥ずかしがり屋さん。
うーん、ちょっぴりあわてんぼさんでもあるかな?
でも。
とっても優しくて、暖かくて、一緒にいてものすごく安心できる人。
かわいくて、かっこよくて、とても強い人。
そして、私のことをいつも護ってくれる人…。
私は、その人がだいすき。
だから……、――っ!
――――――――――
ちゅ……。
さ、サーニャっ…!
さっきは好きな人はいないって言っちゃったけど……。
わ、私はきみがすきなんだ…。サーニャが、すき…。
そう、サーニャを愛しているんだ…。
いきなり…キスなんかしちゃって…、ごめんな…。
それに…、も、もう遅いかも…っ、…しれないのに…。
でも…これだけは…。
いつまでも一緒に…。
サーニャと…ずっと一緒に、いたいんだ……。
私は、サーニャがだいすきだから…!
――――――――――
……私はその人がすきなの。
だから。
だから聞きたかったのよ?
エイラの、気持ち。
…うん、そうだよ。
エイラの気持ちが…聞きたかった。
ふふ、えっとね?
私は、エイラのことがだいすきです。
――――――――――
わ、わたし……が…?
わたしが…すき?
だ、だって…。
だって、そんな…。
ちが、そっ、そんなわけっ!
イヤなわけないだろっ!
というか…、私もサーニャが…、サーニャのことが…。
すきだって、言ったばっかしなんだぞ…?
…っく……。
な、泣いてねーよっ…。雨、だよ…! あめ…。
うれし泣きなんて、してないっ…!
――――――――――
もう、大げさよ…? エイラ…。
ぐす…、私は泣かないもん…。
な、泣いてないよ…?
うれしいから。笑うの。
えへへ…。
…ほら、エイラも。
顔上げて、ね?
もうっ、泣かないの…エイラ…。
笑って、笑って。
……エイラ。
だいすきだよ。
END