無題


いかにもリベリオン人。私が彼女に抱いたのはそんな印象だったと思う。
大きすぎる胸に少しばかりの嫉妬を覚えたような気もするが、おそらく考えすぎだろうということにしておく。
いわゆる「やることだけやれば後は何をやってもいい」という考えの彼女に、良い印象はもっていなかった。
「陽気なリベリオン人」
それがこの間までの私の印象であった。
いつからだろうか。
彼女と憧れの人が似ていると感じたのは。

「お~い、ペリーヌ~」
ひらひらと手を振りながら、目の前の彼女はソファーに寝転びながら私を呼んだ。
周囲にはお気楽天国のロマーニャ娘の姿はない。
「なんですの?シャーリー大尉」
あまり話したことのない彼女に話しかけられ、少なからず困惑する。
そうだ、彼女と2人っきりで話したことはあまりない。今までは少なくとも、まわりにロマーニャ娘がいたのだから。
「いや、なんか思いつめた顔してるからさ~。何か悩みがあるなら聞いてやるぞ~」
ソファーから起き上がり、大きく伸びをしながら彼女はそう言う。
「結構ですわ。お気持ちだけ、受け取っておきます」
きびすを返し、今来た廊下を引き返そうとすると、ふわりと体が後ろに引き込まれた。
ぽすっ、という首に感じるやわらかい感触。両肩から体の前方へ下ろされた腕。私は大尉の胸に抱かれていた。
「あんまり気を張りすぎるなよ。時には思いっきり休むことも必要だぞ」
そんな彼女の言葉に、疑問がするりと溶け出した。
あぁ、そういうことか。この陽気なリベリオン人も、憧れのあの人と同じくらい、もしかしたらそれ以上の包容力を持っているのではないか。
ロマーニャのやんちゃ娘が母と慕うのも今ならわかる気がする。
「ま、いらないお節介だったら、軽く聞き流してくれ」
私の体を抱いていた腕が抜かれると、私は1歩前に出て、彼女に向き直る。
「・・・今度、仮に、そう、たとえば今夜、悩みができたらそちらにうかがってもよろしいですかしら?」
そう尋ねると、目の前の彼女は笑みを浮かべた。
「もちろん。たとえば今夜、悩みができたらな」


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