telephone line
「501電話相談室」
「はじまりはじまり~」
「ひゅーひゅー」
「騒ぎすぎだ、お前達。……えっと、コホン。この電話相談室は、日常色々な悩みを抱えるウィッチの為に、
我々、連合軍第501統合戦闘航空団『STRIKE WITCHES』のメンバーが質問等に答えるコーナーだ。
501の基地司令所特設スタジオからお伝えするぞ。気さくに電話してくると良い。番号は44-XXXX-XXXXX……」
「ちょっと待ってトゥルーデ。良いの勝手に司令所の電話使って?」
「問題無い、エーリカ。通信室に特別許可を貰って、今日の為に一本だけ電話回線を引いてある。ミーナも了承してくれた」
「ありがとうございます、中佐」
「ウシャシャ ありがと~ミーナ中佐」
「いえいえ」
「さて。電話にお答えするのは、私、ゲルトルート・バルクホルンと」
「シャーロット・E・イェーガー。よろしくな」
「以上だ。他にも周りにアシスタント的な意味で数人居るから、必要なら皆で答えるぞ」
「……そう言えば堅物、いつもサーニャとエイラがやってるあれは?」
「今夜は……まあ、我々が地上でこうして通信をだな……余り深く突っ込むなリベリアン」
「ま、いいんだけどね~」
リリリリリリリリリ……
「おお。早速電話だ。私が取るぞ。はいもしもし。こちら501電話相談室」
「堅過ぎだよ堅物は。もうちょっとソフトに……」
『……あ、あの、この番号で良いんですよね? 相談室って』
「そうだが? どうした宮藤。何か悩みか?」
『えええっ、いきなり酷いですバルクホルンさん!』
「堅物の馬鹿ッ! いきなり相談者の本名言うMCが何処にいるよ? ちゃんと本人に確認取れって」
「ああすまん。いつも聞き慣れていた声だからつい。……で、何だ?」
『いえ、あの……』
「むう……、大丈夫だ宮藤。お前の声は宮藤に似ているが、きっと私の知っている宮藤ではない
誰か別の宮藤っぽい人物なのだろう。そう言う訳で安心して話すが良い。私を姉だと思って安心してだな……」
「全然フォローになってないよ堅物」
『はい。……それで、あの。悩み、なんですけど』
「おお、どうした宮藤」
「もうフォローしきれんわ」
『バルクホルンさんもシャーリーさんも、ミーナ中佐も皆さん胸大きいですけど、どうしたら大きくなれるんですか?』
「なっ!?」
「あっはははは! それが悩みか! しっかり食べないと大きくなれないぞ?」
「笑い事かリベリアン!」
『食べる……、ですか? 本当なんですかバルクホルンさん』
「それを私に聞かれてもな……ミーナはどう思う?」
「確かに、しっかり栄養を取るのは重要ね。あとは適度な運動かしら」
「胸もむと良いって聞いた事あるよ。ニヒヒ」
「ルッキーニもいい加減な事を……」
「あながち嘘でもないかもね」
「エーリカまで!」
「だってほら。トゥルーデもシャーリーも毎晩私とルッキーニに……」
「わあ、言うな! 分かったから! 宮藤も良いな。これで分かったな。お前も努力しろよ!」
『ええっ、話はまだ……』
ガチャッ ツー、ツー、ツー、……
「おい、こっちから切るなって」
「記念すべき一回目からこれとは……」
「良いのかよこんなグダグダで。これ、仮にも世界中のウィッチが聞いてるんだろ?」
「私に言うな。て言うか誰だこんな事やろうと言い出したのは」
「あたしに聞くなよ。ほら、またすぐ電話掛かって来るぞ」
リリリリリリリリリ……
「……」
「じゃあ今度はあたしが電話取ろう。堅物じゃどうもね。は~い、こちら501電話相談室。
あたしはシャーロット・E・イェーガー。シャーリーで良いよ。さ、お悩み何でもどうぞ~」
『あのお……』
「おおっと、最初に国籍だけ教えてね。あとは匿名でも何でも構わないからさ」
『あ、はい。じゃあロマーニャの、匿名希望で』
「はいはい。ロマーニャの匿名希望さんね。それで悩みってどんなの?」
『ええと、友人の悩みなんですけど……』
「ああ匿名希望さん、もっと気楽に行こうよ。ざっくばらんで良いよ。友達感覚でさ」
『あ、どうもぉ。じゃあ。……私には、仮にAとBとするけど、二人の友人が居てぇ、
Aは強引な性格なんだけどどこか憎めなくて、それでBを部隊に引き込んだだよね。
それで私とAとBは同じ軍学校出身で、BはAの事が好きみたいなんだけど私はBがちょっと好きで、
でも私とAは喧嘩友達みたいな、だけどAは……』
「ややこしいわっ!」
「こら、説明の途中だぞ堅物。悩み抱えてる乙女に向かってその口の訊き方はないだろ」
「しかしだなリベリアン。もっとこう分かり易くだな……」
「はいはい黙って聞いてて。……さあ、匿名希望さん、続きどうぞ」
『あ、どうも。で、Aなんだけど結局好きなのはもしかしたらカールスラント空軍の教官なのかもとか思って、
ちょっと私達どうしたら良いのかって思ってさ……』
「……また一人新しいキャラが出て来たわね」
「ミーナ大丈夫か、眉間にシワがよってるぞ」
「つまり匿名希望さんは、友人との関係を整理したいって事で良いのかな?」
『それもそうなんだけど、でもBとCも仲良いからあんま出しゃばれないし、でもCとDも出来てるって噂だし、
だけどEとFがそれ見て黙ってる筈無いし、あ、でもGはAの事も好きで、私も実はHとIも……』
「分かるか!? 登場人物が多過ぎる!」
「これ位で動揺してどうするよ堅物」
『でね、イェーガーさん。Xがレズビアンだってカミングアウトしてね、もう大変ったら』
「おい待て! 初めて聞いたぞその名前! て言うかXまでの間の人はどうした?」
「落ち着け堅物。……ふむふむ、それで?」
『それを聞いたルッキーニ少尉は今でもトラウマに思ってるらしくて』
「いきなりそこ実名か? 『Lさん』で良かったんじゃ」
「ウニャ? あたし?」
「なんだ、ルッキーニ覚え有るのか?」
「う~ん、あんまり。覚えてるって言うか覚えてないって言うか、わかんな~い」
『あ、そこに居るのルッキーニ少尉? 久しぶり。元気してた?』
「キャハ! お久しぶり! ……て言うか匿名希望だから名前言えないよぉ~」
「そこは我慢だルッキーニ。まあ、後で話しなよ」
「そうする。てかもう眠いから寝る~」
「……おいおい、あたしの膝の上で寝ちゃったよ。まあ、いいけどね」
「まるで母と娘ね♪」
「あのぉミーナ中佐、あたし、まだ十六なんですけど」
「全く。それで話を整理すると、……ややこしいな。一体何人出て来たんだ」
「はい、合格~」
カランカランカラン
「いきなり何だエーリカ! 鐘鳴らして合格とか意味不明だぞ」
「え、これってそう言う番組じゃなかったの?」
「何か混ざり過ぎじゃないか」
『やったあ! 合格なんですか? ……って何の?』
「私もよく分からないけど、何となく合格」
「エーリカ、ちょっと黙ってろ」
『じゃあ、黄色の十四番のパネルを』
「パネルなど無いっ! クイズ番組じゃないんだぞ」
「ノリノリだな匿名希望さん」
「まあ、友人関係だけど、落ち着いて整理してみたらどうかしら。皆で話をすれば分かり合えるかも知れないわよ。
何はともあれ、決して一人で抱え込まないでね」
「ミーナ、ひとり真面目に答えて……」
『どうも有り難う御座います! なんかすっきりしました!』
「良かったわ」
『そうだ、私ヴィルケ中佐のファンなんです!』
「あら本当? 嬉しいわ」
「ミーナのファンか。珍しいな。ミーナのどういうところが好きなんだ?」
『いえ……別に』
ガチャッ ツー、ツー、ツー、……
「ミーナ、いきなり電話切るな!」
「あら、何かしたかしら?」
「笑顔で言うなっ!」
「もう訳分からん」
「と、とにかく。そろそろ時間だ。今回の501電話相談室はこれまで。また機会が有ったら……
多分永遠に無いと思うが、その時また」
「じゃあまた~」
「またね~」
「バイバ~イ」
「って起きてるのかルッキーニ!」
end