ガリア国境の最前線
ガリア国境最前線のペリ犬の元に一通の扶桑皇国からの軍事郵便が届いた。
差出人は宮藤芳佳と書いてある。
「豆狸がわたくしにいったい何の用ですの?」
「剃刀でも入ってんじゃないんですの?」
と怪訝な表情で封を開くと、そこには懐かしい見覚えのあるてゆうか、
脳内に紋紋の如き刻まれた、筆跡で親愛なるペリ犬殿と書いてある。
「少佐~!」
ぺリ犬は思わず手にしていたダイソーのペリ犬専用ティーカップを取り
落としそうになった。
ペリ犬は素早く雌犬モードにシフトして、
「もう少佐てば、親愛なるなんて、他人行儀な、わ.た.く.し.少佐の嫁ですわ!
もう、ご主人様だーい好き!」
ペリ犬はそういいながら、肩に坂本美緒命と彫られた刺青をさすりながら、
手紙のつづきに目を通した。
「わたしは現在南太平洋のソロモン戦線にいる詳しい事は軍紀で言えないが、
マラリアで本国送還になった宮藤にこの手紙を託す。」
ペリ犬はあの忌々しい宮藤芳佳がマラリアになった事に、
大喜びである。
「宮藤さん!お気の毒ですわ!マラリアて確か現代の医学では直らないて
耳にしておりますわ、お気の毒ですわ!wwwwww!」
ペリ犬はどうやらマラリアが不治の病だと勘違いしているらしい。
「この手紙が無事に届くか判らんが私信は殆ど沈んでしまって
こんな方法でしか返事を出せない私をゆるしてくれ。」
ペリ犬は再び雌犬モードにチェンジして、
「許すも何も、わ.た.く.し.少佐の嫁ですわ!わっはは!」
さらに手紙にはもっさんの現在の近況などが書かれてあり、
文面によると、どうやら、飛行隊長に昇進したらしく、
扶桑皇国で一番の戦果をあげているらしい。
さらに東スポの切り抜きが同封されていて、
世界の荒鷲!坂本美緒少佐!大暴れ!天子様御感激か
と書かれている。
ぺリ犬は心の声で肩の刺青をさすりながら、
「坂本少佐!ご壮健で何よりですわ。わたくしペリ犬は未来永劫、身も
心も血の一滴まで、少佐に奉げておりますわ!少佐の二番機は永久に
わたくしの物ですわ!」
さらに臨界点に達したペリ犬は脳内で絶叫した。
「わたくしペリ犬は未来永劫少佐殿の忠実な列機でございます。
ペリ犬は永劫少佐殿の忠実な駄犬でございますわ!wwwwww!」
いつものカマトトぶりからは想像できないような、ペリ犬の豹変ぶりに、
思わず周囲にいた同僚達が思わずドン引きしている。
しかし誰もペリ犬が怖いので見て見ぬふりをしている。
それほどぺリ犬は情けなかった。
もう完全に、自分の世界に浸っている。
実際ペリ犬はだらしなく、脳内エンドルフィンにより顔面を紅潮させ
ハイになり口から涎を垂らしている。
もうその姿からは誇り高きガリア貴族の気品など完全に消えうせ、
ただの一匹の駄犬になりさがっている。
さすがにいくらアホの子のペリ犬でも、周りの異様な空気に気ずいたらしい。
ふと視線を戻しペリ犬様専用。無断使用者は1年間ペリ犬様の奴隷の刑。
とダンボールの看板にマジックで書かれてある、ペリ犬専用化粧鏡
に写た自分の姿にぺリ犬は愕然とする。マジすか。
「わたくしとした事が、思わず取り乱しまして!」
と言いながら、心のなかにあるノブレス・オブリージュで平静を取り戻し、
いつものカマトトモードにシフトしながら、
「わたくし、少し疲れましたわ、お先に失礼いたしますわ!」
などとカマトトぶった笑顔で、退室していった。
念のため退室する時に般若モードにチェンジして、周囲にいる同僚達に
に今見た事は忘れろと無言で睨み付け、恋せよ女の子を歌いながら上機嫌
で退室するペリ犬であった。
自室に引きこもったペリ犬は
「誰もいませんわね。」
とまるでゴルゴ13のように鋭い眼で周囲を見回し、厳重に鍵を掛け
まるで中坊のようにベットに寝転び、××を××××するが如く、
ぺリ犬は手紙のつづきを貪るように読み始めるのであった。
「我々扶桑皇国海軍302航空隊は現在ニューブリタニア島のラバウル
を基地として連日ガダルカナル島に出撃している。しかし戦場まで遠
くて大変だ、なんせ片道五百六十海里もあって、しかも戦闘して同じ
距離を帰らないといけないので、さすがのわたしでも、苦戦しておる。
我が隊でも損害が激しく、今日も半分が未帰還になって基地
に帰って来なかった。」
ぺリ犬は天井を見上げながら、
「坂本少佐!ああ~御苦戦なさってらっしゃるんですね。わたくし
忠実な雌犬ぺリ犬は今すぐにでも少佐の元にはせ参じたいですわ!」
ぺリ犬は貧乳が張り裂けんばかりの衝動にかられながら、
かろじて平静を取り戻しつづき読み始める。
「我々は明朝1000ポンド爆弾を抱いて出撃する。この手紙がお前の所
に届くころには、私はもう涅槃に旅立ってるかもしれない。」
「涅槃てなんですの?何かの暗号ですの?」
ぺリ犬はアホの子なので難しい漢字は判らない。
「お前に私の形見として私の大切な物を送る。これを大切に持っていてくれ。
あと命だけは大切にしろよ。大事に使うと一生使えるからな~わっはは!」
そこから先は醤油が滲んでて読めない。
ペリ犬はいつしか眼にうっすら涙を浮かべている。
「わたくし泣いてるの?違いますわ!これは汗ですわ!汗が眼に
入っているだけですわ!」
実際、ペリ犬は前日の深酒と欠伸で、涙が出ただけであった。
さらにペリ犬は封筒の中を確かめてみた。
「ん?何か入ってる見たいですわね。」
ぺリ犬は封筒の底に厳重に懐紙で包まれた包みを取り出した。
「これは?何ですの?何かこう前立腺を刺激する、ホルモンの
香りがしますわ!クンクン!」
ペリ犬は慎重に懐紙の包みを開きはじめた。
するとその中に数本の毛髪が入っている。
ぺリ犬はその中の一本手に取り、まじまじと観察しはじめた。
「わたくしのコスモを刺激する、正体はこれですわ!」
「なにかこう、邪な気持ちにさせられますわ!」
「なんかこの髪の毛て妙にちじれてますわね。」
「少佐は確かそれはもう美しい、しっとり艶々の黒髪だったはずですわ!
まさかこれは下の毛?ち恥毛!ですの!」
「そう言えば以前読んだ百合同人誌に書いてありましたわ。
確か扶桑の殿方は腐女子の恥毛をお守りとして重宝すると?」
完全にぺリ犬の思考はこの時点で完全にメルトダウンした。
「これれが坂本少佐のあのあの禁断の黒ワカメ!」
ペリ犬は震える手付きでその数本のちじれ毛を手に取り、
まるで犬のようにクンクンと匂いを嗅ぎはじめた。
「まずは香りですわ!素晴らしいですわ!合格ですわ!」
次にペリ犬はツンツン眼鏡を、かけたりはずしたりしながら、
拡大鏡で観察はじめた。
「この色艶。素晴らしいですわ!合格ですわ!」
ペリ犬は絶叫した。
「間違いありませんわこれは坂本少佐の陰毛!!!!キタ――――――!
あ~御主人様ぺリ犬はぺリ犬は少佐の×××××忠実な駄犬でございます。」
ぺリ犬祝福の時である。
その時誰かがぺリ犬の部屋をノックした。
「お~っと誰かきたようですわ!」
「わたくしの究極にして至高のひと時を邪魔するのはどなた?」
ぺリ犬はカマトトぶった声で返事をした。
「ぺリ犬様ようじょで~す。」
どうやらぺリ犬付従卒の見習いウィチーのようだ。
「何の用ですの?わたくしの優雅にして気品漂うお茶の時間邪魔するのは」
さっきまでの雌犬モードから、想像も出来ないような変わり身である。
「ぺリ犬様お手紙をお持ちしましたなの。」
ペリ犬は素早く衣服を整え貴婦人モードに素早く切り替えた。
「どうぞお入りになって」
さっきまでの雌犬からは想像も出来ないようなカマトトぶりである。
流石は貴族、腐っても鯛なのである。
「失礼しますなの。」
ゴスロリようじょがぺリ犬の部屋に入って行く。
またしても扶桑からの手紙であった。差出人は宮藤芳佳と書かれてある。
「豆狸がわたくしに?まったく、まだ、くたばってないんですの!」
手紙を見ると速達と書かれている。
ペリ犬は何故か妙にAカップの胸が胸騒ぎがしだした。何か嫌な予感がする。
「まさかわたくしの坂本少佐に何かよからぬ事が!」
ぺリ犬は目の前が真っ暗になり思わず床に倒れこんでしまった。
「御主人様~大丈夫ですかなの。」
ようじょが、慌ててぺリ犬のもとに駆け寄る。
「わたくしは大丈夫ですわ」
「で、でも?ボクはご主人様が・・・・わふー」
ぺリ犬はようじょの頭を撫でながら、
「可愛い子ね、今度わたくしが左捻り込みを伝授してあげましてよ」
しかしぺリ犬の胸中は心穏やかではなかった。
なんとか平静取り戻したぺリ犬は、震えるてつきで差し出された手紙を受け取り
「ご苦労さまですわ」とカマトトぶった笑顔でようじょに退室をうながした。
流石に選び抜かれたようじょである。
完全に場の空気を読んでいるらしく、ぺリ犬を元気ずけようと
もっさんの物まねで「わっはは、私は大丈夫だぞ~どうしたぺリ犬」
完全に誤爆である。
ぺリ犬の表情がいつのまにか鬼のような??いや般若の面に・・・
かろうじてブチキレないのはガリア貴族のプライドであろうか?
いつしかようじょの脳内では新曲のYou&Meが・・・・
「ヤバイこのままでは殺される!だぴょん!」
ようじょは「ごめんなさいなの、ごめんなさいなの」
と繰り返し逃げるように退室していった。
ぺリ犬は震えるてつきでその手紙の封を、
愛用のレイピアで開封するのであった。
「わたくしは名門のガリア貴族ですわ!わたくしは名門の・・・」
どうやらペリ犬は少し壊れかけているようだ。
「少し落ち着いたほうが、よろしくてよ」
ペリ犬は自分そう言い聞かし、キャビネットの中から
4リットル壜の大五郎を取り出し豪快にラッパ飲みするのであった。
惚れ惚れするようなイイ飲みっぷりである。
ようやく落ち着いたペリ犬は
りぼん付録の便箋に書かれた手紙を読み始めたのであった。
「親愛なるペリ犬様へ・・・・」
ペリ犬は「何が親愛なる?わたくしと豆狸のどこが親愛かて?」
「大体庶民の田舎娘と名門貴族のわたくしと同等にタメ口が利けるなんて」
完全に時代錯誤のペリ犬であった。
「わたし宮藤は遺憾ながら戦傷にて彼の地を去らなければならず・・・」
ペリ犬は「遺憾て何ですの?むずい漢字何か使って田舎娘のくせに生意気な。
だいたい、わたくしあなたの事なんかどうでもよくってよ」
ペリ犬は自分で突っ込みながら手紙のつづきを読んでいく。
「実は残念なお知らせをしなければなりません。」
「少佐!少佐の身に何か?んでもあれだけ有名なお方なら
消息位わたくしの耳に入るはずですわ。????」
少し安堵したペリ犬はつづきを読んでいく。
「実は坂本さんの髪の毛の事ですが、わたしが病院船にて帰国中に
太平洋上にて不注意により、紛失してしまいました。
ごめんねペリ犬さん。」
ペリ犬は目を白黒させ、金キリ声をあげながら
「切腹よー!!死んでお詫びしなさい!
切腹しろ!切腹しろ!切腹しろ!切腹しろ!」
ペリ犬はさらにつづきに目をとうしながら、
「ちょっとお待ちになさって、じゃああの包みの中は???
まさか????」
さらに芳佳の手紙の二枚目の便箋を恐る恐る手に取りながら、
ペリ犬はツンツン眼鏡の視線を移して行くのである。
「ペリ犬さんて、心の広い人美しい方なので、わたし宮藤はきっと
ゆるしてくれると信じてます。」
ペリ犬は「まあ~美しいてとこはホントですわね。」
「あと坂本さんの事ですけど、前線で軍需物資のポンジュースや
エチオピア饅頭、大瓶大五郎などを、悪いと思いながら
銀バイしてて部下に分け与えていたらしくて、偉い人にその事
注意されたんで、ブチキレちゃってその人袋にしたらしく
幸い今までの功績とか何かで降格のうえ内地に転属てことらしいです。」
ペリ犬は最愛の御主人様の無事にナイ胸をなでおろす。
「宮藤さんGJ!」
思わずペリ犬は叫んだのであった。
ペリ犬はさらに三枚目の便箋を手に取り続きを読むのであった。
手紙には芳佳の近況とか色々書いてあるが、正直ペリ犬には
どうでもいい事なので全部すっとばして行く。
「そうそう、あの包みの中て?何ですの??」
ペリ犬は最も重要な事を思い出し、その事について
もう一度便箋を読み返してみた。
「ありましたわ!こ、こ、これは?」
ペリ犬の全身が怒りのあまり震えている。
「どうやらペリ犬さんが許してくれそうなので、わたし宮藤は
うれしいです。きっと許してくれますよね。」
などと能天気な事が書いてある。さらに、
「・・・そこで、わたし宮藤は坂本さんの毛のかわりに
少し恥ずかしいんですけど、宮藤のあの毛を特別に
ペリ犬さんにあげますね。
扶桑ではお守りに効果的面ですよ。」
ペリ犬は震えながら便箋を握り締めビリビリと
破り始めた。
トレードマークのツンツン眼鏡には怒りのあまりヒビが入り
自慢の銀髪は無残にも逆立っている。
もう名門の貴族令嬢なんて消し飛んでいる。
「こんな腐れ毛貰って喜ぶのはシスコンのバルクホルン
位のもんじゃい!」
怒りの頂点に達したペリ犬は更に少し前の恥ずかしい事を
思い出し、皿に怒り狂うのあった。
その後。
ペリ犬の怒りにまかせた、ライン方面での鬼神の如き活躍により、
ライン前面ネウロイは駆逐された。
ここガリアの首都パリではペリ犬に特別に剣付騎士十字勲章が
授与される事となった。
式典にはカールスラント空軍元帥のゲーリングが特別に
総統の名代として参加し自らペリ犬に勲章をさずけたのであった。
しかもデブ元帥は事もあろうかペリ犬に得意の弁舌で
「ヨーロッパの女神とか、空飛ぶ貴婦人とか、総統閣下は
貴公の大ファンだとか」散々もちあげられた。
ペリ犬はもちろんアホの子なので、デブ元帥得意のリップサービス
だなんて全然きずいてない。
その後のパーティーですっかり天狗になったペリ犬は、ボボシタ!ボボシタ!
と踊りだし。大いに泥酔し事もあろうか、ゲーリングの禿げ頭に自らの尻尾のせ、
ちょんまげ。と宴会芸をやり、しまいに元帥の禿げ頭にゲロを
ぶちまけて退場させられてしまった。
さいわいこのパーティーはVIPのみの参加であり外にもれる事はなく
参加者には厳重に緘口令がしかれたのであった。
シベリア鉄道のとある駅。
「な何ですの?ここは?こんな所人間が住める所じゃありませんわ。
まったく、わたくしが毎年スキーに出かけるヘルウェティアでも、
こんなに寒くありませんわ。ホンマ!今頃はエーゲ海の・・・
ヌーディストビーチで坂本少佐とあんな事やこんな事や・・・」
ペリ犬は独り言を言いながら粗末な木造の駅舎を歩き回っている。
「あら?」ペリ犬の足元にオラーシャ・スポーツと書かれた
新聞が落ちている。
見出しには世紀の対決!プーチン、猪木に挑戦と書いてある。
「素晴らしいですわ!素晴らしいですわ!世紀の対決ですわ!」
ペリ犬が興奮気味に新聞を広げると。
世紀の対決!プーチン、猪木に挑戦か?と書かれている。
「何なんですのいったいこの新聞は?ん?」
次に男セン欄を広げると、街頭淫タビュー、カールスラントの巻
エーリカ、16歳、軍人と出ている。
「ふ、不潔ですわ!・・・」
「わ、わたくし別に見たいから見るんではありませんわ!」
そう言いながら、ペリ犬は食い入るように記事を読んでる。
さらに芸能欄を広げるとそこには見覚えのある顔が、写真入りで
デカデカと載っている。
大人気!サーニャ・V・リトヴャク中尉。祖国の英雄!オラーシャの百合
とか書いてある。
ペリ犬はその場で新聞を破り捨てた。
「何が美しいですって?わたくしのほうが1テラ倍美しいですわ!」
「何が百合ですて?ユリ・トオルの間違いじゃありませんの?」
「人気投票では、わたくしのほうが上ですわ!」
すっかり不機嫌になったペリ犬のほうにもうもうと湯気が
漂ってきた。
どうやら野戦炊飯車の炊飯の湯気のようである。
「あら?すこし小腹が空きましたわね。」
よく見ると野戦炊飯車の前に行列ができている。
「わたくしもいただきますわ!」
ペリ犬は野戦炊飯車の前の行列に並ぶのであった。
「レディーファーストですわ!」
ペリ犬はそう言って前の列に強引に割りんだ。
「中尉殿割り込みは禁止です。きちんと列に並んでください。」
それを見かけた、オラーシャの憲兵がペリ犬に注意する。
ペリ犬は不機嫌そうに憲兵の胸倉をつかみ、
「ちょっとあなた!庶民の分際で貴族のわたくしに指図
なさるつもりですの?」
そのやり取りを見て周りの兵隊たちが口々にペリ犬を非難しはじめる。
その中のひとりが「貧乳!」とペイ犬を野次った。
すると兵隊達は爆笑しながら口々にペリ犬を野次りはじめた。
「貧乳!貧乳!ペッタンコのペッタンコ♪」
ペリ犬は眉を吊り上げ真っ赤になりながら
「ら、来年はもっと大きくなる予定ですわ!」
兵隊達はその声を聞いて大爆笑しはじめる。
するとペリ犬は無言で懐から2本の柄つき手榴弾取り出し、
発火用の紐を引く。
「ブスッ」発火音である。一斉に野次が止んだ。
「シュー」と手榴弾から煙が吹き出す。
皆一斉にその場に伏せる。
ペリ犬はそのうちの1本を遠くに放り投げ、もう1本は野次った
連中に放り投げた。
すかさず爆発が起こり。もう1本は不発だったらしく爆発しなかった。
伏せた兵隊達が恐る恐る顔をあげると、
ゴミ箱の上に仁王立ちのペリ犬の姿が見える。
「祭りはおわりですわ!」
兵隊達は恐怖に駆られ我先にその場から逃げ出しはじめた。
「ふん!愚民どもめ!平民はおとなしく貴族に殴られていればよろしいんですわ。」
無人の駅舎をペリ犬はゆうゆうと歩き、野戦炊飯車の前に立ち止まった。
「ちょっとあなた!特盛りでいただくわ!あとつゆだくで!」
「ちょっとあなた!何なんですのコレ?まるで豚の餌ですわ!」
ペリ犬はそう言って飯盒特盛りのキビのカーシャを指差して、
炊飯兵に文句を言っている。
「わたくしにコレを食せと申しますの?わたくしの舌は最低三ッ星
クラスじゃありませんと満足出来ませんわ!」
「それに何なんですの?この黒パンまるで岩ですわ!」
ペリ犬に胸倉を捕まれた炊飯兵は苦しそうに呻いた。
「ち、中尉殿~チョット待ってください。」
「あっしの料理は三ッ星かどか判りませんが、あちらの三ッ星の
将軍閣下は満足して食されてますが~それにあんた、これで
三杯めでしょう。く苦しい助けて~」
そう言われて隣のフォームを見ると見慣れない軍服を着た太った男と
その副官らしき将校が仲良くベンチに座ってカーシャを食べている。
「あの太った親父は誰ですの!?男同士仲良く手まで繋いで、不潔ですわ!
アッー!」
「本来ヤオイは美少年に限りますのに、全然嬉しくありませんわ!」
ペリ犬の騒ぎを聞いて、慌ててすっ飛んできた、オラーシャ軍の少佐が
一指し指を口に当てながらペリ犬に黙るように則した。
「中尉殿お願いです。静かにして下さい。」
しまいには土下座までして、ペリ犬にその少佐は拝むように哀願した。
少佐は必死である。これ以上ペリ犬に騒ぎをおこされては責任者として、
自分が処罰される。ましてや大切な同盟国の将官に非礼でもあったら、
下手したら銃殺ものである。
どうみてもペリ犬の方が階級は下だがペリ犬は偉そうに
「よろしいですわ!わたくし慈悲ぶかいんですわ!これで手打ちですわ!」
そう言って少佐が差し出した、最高級のキャビアを懐にしまうのであった。
「あの太った親父は誰ですの?見慣れない軍服着てますわね~?」
ペリ犬にそう尋ねられた少佐は声を潜めながら「極秘ですよ」と
前置きしながら、説明しはじめた。
「あのお方は高名な扶桑皇国陸軍の水野はるお大将閣下です。何でも新作のいや、
極秘の作戦の為の視察らしいですよ。」
ペリ犬は興奮気味に声をあげた。
「素晴らしいですわ!素晴らしいですわ!」
「あのお方があの迷作シベリア超特急を御作りになった水野はるお閣下
でございますの?わたくし閣下の映画を何度も拝見いたしましたわ!」
「と言う事は隣の副官は閣下の嫁のぼんちゃんですの?ウホッ!」
この時ペリ犬はまだ知る由もなかったが、後に東部戦線での一大反抗作戦。暗号名
シベリア超特急パートⅡに参加する事になるとは、思いも因らぬ事であった。
「是非ともサインを頂かないといけませわ!閣下~」
そうこうする内に大将一行はホームに入ってきた、シベリア超特急に
乗り込みいずこかへ去っていった。