come baby


 木陰で激しく“いちゃつく”シャーリーとルッキーニ。
 そんな二人の様子を遠~くの方から伺う人影が二つ。
「まっっっったく、あいつらは一体何をやって……」
 慌ててトゥルーデの口を塞ぎ、ひそひそ声でエーリカが囁いた。
「静かに。私達居るのバレちゃうよ」
 エーリカの手をそっと取り、怒りと呆れと困りが混じった表情をするトゥルーデ。
「けどなエーリカ。私はあいつらに『昼飯だ』と声を掛けに来ただけで、疾しい事は何も……」
「じゃあどうして、私達小声なの? 何で隠れてるの?」
「それは……」
 二人して、遠くの茂みで繰り広げられる痴態を改めて見やる。
 きっかり二十秒経って、同時に、互いの目の前に居るひとの顔を見つめた。
「前からずっと思ってたんだが」
「何、トゥルーデ?」
「ルッキーニ、確か十二歳だろ。色々とまずいんじゃないのか」
「どうして? あの二人は歳もそんな離れてないし、お互い合意の上だし良いんじゃないの?」
 あっけらかんと答えるエーリカに、トゥルーデは呆れて呟いた。
「歳離れて、って……リベリアンは十六だろ」
「私だって十六だよ?」
「あのなあ、エーリカ……」
「私とトゥルーデ、ふたつも歳離れてるよ~。トゥルーデお姉ちゃん」
「お姉ちゃんって……。ともかく、二歳位は良いだろう。しかもあいつらとは何の関係も……」
「どうして? トゥルーデの理屈じゃ、トゥルーデは付き合えるのミーナだけになっちゃうよ?」
「どうしてそうなるんだ」
「良いの? 私じゃなくても」
「そ、それは……困る」
 エーリカの袖を握るトゥルーデ。
「いいじゃん。二人は二人で。私達は私達で。ね、トゥルーデ」
「あ、ああ。まあ……そうか」
 二人してしゃがみ込み、そっと抱き合い、口吻を交わす。
「……あれ?」
「どうしたの、トゥルーデ」
「何か大事な事、忘れてる様な……」
「気にしない気にしない」
「いや、何だっけな」
「そろそろバレンタインとか?」
「そう言えばそうだ」
「トゥルーデ、私に何くれるの?」
「……全然考えてなかった」
「ひっどいなあ」
「じゃあエーリカは何を?」
「トゥルーデから貰うの、期待してたんだけどな」
「と言う事は、何も無しか」
「そんな事無いよ」
 エーリカはそう言うと、トゥルーデを抱きしめ、キスをしながら上着のボタンを外しにかかった。
「お、ちょっと待て、こんな所で」
「何か良いよね、こう言うシチュエーションも。あっちはあっちでやってるし」
「そう言う問題か……ぅあっ」
「トゥルーデ、声大きいよ」
「馬鹿。エーリカがそんな所に手を……ううっ」
「トゥルーデ、可愛い」
「エーリカ、やめ……」
「じゃ、どうする? ここで続ける? それとも、トゥルーデ……」
 妙に艶めかしいエーリカの瞳と唇を見、トゥルーデは即決した。いや、頭の中で何かが弾けた。
 エーリカをお姫様抱っこすると、そのまま駆け足で自室に向かい、鍵をしっかり掛け、籠もった。

「……ぁん。シャーリ-、もっとぉ」
「ルッキーニ可愛いよ」
「大好き、シャーリー。……シャーリー? どうかした?」
「いや、あいつらも何やってんだかって」
「??」
「ま、あたし達もあたし達か。何でもない」
「? ヘンなシャーリー」
 音速のリベリアンは、自嘲的な笑みを一瞬浮かべた後、目の前にいる可愛い恋人の唇を塞いだ。

end


前話:1245


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