washing soap


 “些細な事”が切欠で洗濯当番となったカールスラントのエース二人が、ぞんざいな手つきで隊員の服やズボンをより分けている。
「これでよし、と。リベリアンの国の自動洗濯機は便利だな」
「ホントだね~」
 適当に洗濯物を仕分けして、洗濯機に放り込む。
「後で誰が誰のか分からなくなるな」
「気にしな~い」
「エーリカお前……。ルッキーニからズボンを……しておいてそう言う事言うのか」
「何の事?」
 爽やかな笑顔を見せるエーリカ。
「そんな顔してもダメだ。誤魔化そうとしてもそうはいかんぞ」
「トゥルーデ、カタいなあ」
「大体お前が……今回の洗濯当番だって……」
 突然エーリカに唇を塞がれる。そのままゆるゆると抱き合い、味わう様にキスを交わす。
 横ではリベリオン製の大型自動洗濯機が轟音を発しながら服などをがらんごろんと洗濯している。
「トゥルーデ?」
「またこうやって誤魔化そうとする……」
「でも、嫌いじゃないでしょ?」
「当たり前だ」

 二人が洗濯当番になった切欠は、エーリカのずぼら加減にも問題の一端があった。朝食前の出来事。
「フラウ、履いてないの? ちゃんと履きなさい?」
「えー面倒~。もう換えも無いし。それにミーナ。坂本少佐も言ってたよ『空では誰も見ていない』って」
「こ、これだから扶桑のウィッチはっ……! とにかく、不足分はちゃんと洗いなさい」
「はーい」
「トゥルーデ、フラウをちゃんと見ておくのよ? あと何か代わりのを貸してあげて」

 と言う訳で、今エーリカが履いているズボンはトゥルーデのそれだ。
「トゥルーデのズボンだぼだぼ~」
「うっうるさい! エーリカは……」
「何よ」
「何でもない」
「酷い事言おうとしたでしょ」
「あのなあ、大体洗濯を怠るから私のズボンをだなあ!」
「トゥルーデ顔真っ赤だよ」
「うぐぐっ」

 服の半分位を洗ったところで、エーリカが重要な問題に気付いた。
「ああトゥルーデ、大変だよ」
「どうしたエーリカ?」
「洗濯機に、石けん入れるの忘れちゃったよ……汚れ落ちてないし、なんかごわごわ」
「困ったな。もう一度洗い直すのも面倒だし……」
「じゃあこのまま持って行こ」
「いや、それでは皆に示しが……」
「じゃあ最初から? 洗い直す時間有るかな?」
 トゥルーデは柔らかに照らす陽射しを、手を遮りつつ見た。この時期に太陽があの高度、角度なら……
「よし。やり直しだ」
「えー」
「面倒でもダメなものはダメだ」
「かったいなあ、トゥルーデ」
「ほら、さっさと作業だ」
「何でそんなに焦るの?」
「焦ってるんじゃない」
 もう一度服を洗濯槽に入れ、石けんを入れ、スイッチを入れる。
 そしてエーリカを横に座らせ、そっとキスをする。
「洗濯機が止まるまでの間、もう一度こうやって二人でゆっくり出来る。……洗濯機の音が五月蠅いけど」
「トゥルーデってば」
 エーリカはにやけると、トゥルーデをぎゅっと抱きしめ、キスの続きに耽った。

end



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