duty
「と、言う訳でこれより選挙を行います」
「イエーイエー」
「おいちょっと待て、選挙って何だ? 一体何の選挙だ?」
「あらトゥルーデ、何も知らないの?」
「何も聞いてないが」
「やっぱり。実は何の選挙をするか決めてなかったの。ふふふ」
「ふふふじゃないだろミーナ! 無茶をするんじゃない」
「じゃあ、こうしましょう。誰が隊長に相応しいか、候補を募って投票……」
「してどうするんだ? ヘンな結果が出たらどうする?」
「その時は……」
「MG42しまってくれないか。物騒だから」
「じゃあ候補を募ります。皆さん、立候補お願いしますね」
「ウジャー あたし出る!」
「おいおい、ルッキーニ、隊長に立候補するのかよ?」
「知らないの? あたし、ロマーニャのゆーしゅーな若い少尉なんだよ?」
「……まあ、そうだろうけどあんまり年齢の事は言わない方がイイと思うぞ」
「シャーリー、あたし応援してね?」
「うーん……まあ、いいのかなあ」
「じゃあ、出ます」
「さ、サーニャも立候補するノカ?」
「ううん、私じゃなくてエイラが」
「えッ他薦アリ?」
「じゃあ私も出る~」
「ならば私も出よう」
「ではわたくしも」
「なんか凄い事になってきたね、リーネちゃん」
「芳佳ちゃんは出るの?」
「出ないに決まってるよ! リーネちゃんは?」
「私も、なんか隊長とかまでは……」
「はっはっは、二人共弱気ではいかん、皆を見習え、この向上心!」
「えっこれって向上心なんですか?」
「と言う訳でミーナ、私も含めて三名追加だ!」
「その……、居酒屋の席取りみたいなノリ止めて貰えますか坂本さん」
「あら、隊の殆どが立候補したのね。じゃあ黒板に名前を書いていきますね……」
「……さりげなくミーナも立候補してるんだな」
「さて。ではここに投票用紙が有りますから、名前を書いて下さいね」
「この『氏名』って欄は何?」
「投票者の氏名に決まってるじゃないの」
「無記名投票じゃないのか!?」
「それって何かコワイ」
「そんな事ないわよ~」
「だからMG42かたせって! 要らないだろ!」
「じゃあ投票してね。投票箱はこっちね」
「何の罰ゲームよ、これ……」
「はい、みんな書けたわね? では開票するわよ」
「えっもう?」
「何か、学校のクラス委員決めるみたいダナ」
「あらあら、見事に票がばらけたわね。では得票の多かったルッキーニさんとエイラさん、坂本少佐で決戦投票を」
「多いって、皆二票しか……」
「ちょっと待って下さいミーナ中佐! 候補者も自分に入れていいんですか?」
「良いんです」
「えーっ!?」
「あら、間違いが有ったら訂正しても良いのよ? 私の名前を書いてくれても良いし」
「うう、そう言われると何か心苦しい……」
「あら、私も二票になったから、決選投票ね!」
「決戦でも何でもナイジャナイカ」
「じゃあ投票してね」
「やたー! あたしが隊長!」
「ウソだろ……ルッキーニが隊長だなんて」
「誰ダヨ票入れたノ?」
「あたしとルッキーニ位しか……」
「これは不正だ! やり直しを要求する!」
「異議は認めません。決定事項です」
「だからミーナ、MG42しまえって!」
「で、ミーナ中佐、あたし隊長で何すればいいの? みんなをスキにできるの?」
「それじゃゲームだろ……しかも宴会とかの」
「じゃあ、はい、これ♪」
「え? 掃除用具……なにこれ?」
「今日一日、ルッキーニさんはトイレ掃除の隊長さんね。じゃあよろしく♪」
「ギニャー! 何も悪い事してないのに!」
「まあ、目立ち過ぎは良くないと言う事だな」
「そう言う坂本さん、二位だったじゃないですか」
「気にするな」
「しますよ」
「501はもうだめだ……」
そんな、午後の気怠いひととき。
end