天使ミーナVS悪魔ミーナ
「隊長、本当にごめんっ」
時刻は22:00を少し過ぎた頃、エイラさんが半分涙目になりながら
私の部屋で何度も頭を下げている。
なんでも、私の食器を誤って割ってしまったらしい。
とはいえ、私自身その食器に特別な思い入れがあったわけではない。
形あるものいつかは壊れる運命にある。
だから、エイラさんを責めるつもりは全くない。
むしろ自分が割ったと、エイラさんが正直に告白してくれたことが嬉しかったくらいだ。
「エイラさん、本当にもういいから頭を上げて頂戴。食器なんてまた買い直せばいいんだから」
私がそう言ってもエイラさんは頭を上げようとはしなかった。
「……でも、ハルトマンが言ってたぞ。あの食器、隊長がとても大事にしてたものだって。
だから私っ、うっ……えっぐ」
とうとうエイラさんはその場で泣き崩れてしまった。
きっとフラウのことだから、私の食器を割って慌ててるエイラさんを見て、
『その食器、ミーナがとても大事にしてた奴だよ。うわっ、エイラ可哀想~。
ミーナのこわ~いお仕置きが待ってるね』
みたいなことを言って、エイラさんを怖がらせたに違いない。
全く、フラウったらしょうがない子ね。
それにしても……
「うぅっ、ぐすん……」
泣きじゃくっているエイラさんって、なんていうか可愛いわね……
もちろん普段のエイラさんも可愛いのだけれど今のエイラさんには
普段とは違う不思議な魅力があった。
今の彼女を見てるとなんだか胸がドキドキしてくる。
しかも今の彼女は、私の食器を割ってしまったことに責任を感じている。
つまり、今のエイラさんになら多少無理なお願いをしても聞いてくれるはず……
(だ、駄目よ私、何考えてるの……!)
エイラさんは大切な家族じゃない、そんな大切な家族にあんなことやこんなことをしようだなんて……
『ミーナ、何いい娘ぶってるのよ』
(あなたは……悪魔ミーナ!)
不意に心の中で悪魔の自分が囁きかけてくる。
『フラウのおかげで今のエイラさんはあなたの大事な食器を割ってしまったと思い込んでいるわ。
これはまたとないチャンスよ。食器を割った代償としてエイラさんにあんなことやこんなことをするの。
考えただけでもドキドキしてこない?』
(駄目よ……やめて!)
『ミーナ、気をしっかり持って!』
(天使ミーナ……!)
今度は天使の自分が囁きかけてきた。
『あなたは誇り高き第501統合戦闘航空団の隊長なのよ? 純真無垢な隊員を汚そうだなんて
考えちゃ駄目よ』
『何綺麗事言ってるのよ、天使ミーナ! 失敗した隊員を罰することこそが隊長の義務よ』
『悪魔ミーナ、エイラさんは故意に食器を割ったわけじゃないのよ? しかもこうやって正直に
申し出て謝っているわ。罰する必要なんかないんじゃないかしら?』
私の心の中で天使と悪魔、2人の自分が言い争っている。
もちろん天使ミーナの言い分のほうが正しいのは分かっている。
分かっているはずなのに……
『ミーナ、自分の気持ちに正直になりなさい』
悪魔ミーナが再び囁きかけてくる。
『あなた、ずっと前から気になっていたんでしょ? エイラさんのお尻』
(え、ええ……)
そう、私はウィッチのお尻が大好きなのだ。
カールスラントにいた頃、眠っているトゥルーデやフラウのお尻をそっと触ったこともあった。
いつかの『ハルトマン中尉ズボン紛失事件』で宮藤さんやルッキーニさんの生尻、
それにペリーヌさんのストッキング越しのスケスケのお尻を見たときには、
自分の理性を抑えるのに一苦労したものだ。
特にエイラさんのお尻に関しては、彼女と初めて会ったときからずっと気になっていた。
北欧少女らしい白い肌、触りがいのありそうな素晴らしいお尻だと思った。
『もう一度言うわよ、ミーナ。自分の気持ちに正直になりなさい。
このチャンスを逃したら、エイラさんのお尻を触る機会なんて二度と来ないかもしれないわよ』
『ミーナ、悪魔の囁きに耳を傾けちゃ駄目よ!』
(……ごめん、天使ミーナ。私、自分を偽ることなんてできないわ)
『え?』
悪魔ミーナの言う通り自分の気持ちに正直になろう。
(私、エイラさんのお尻触りたい!)
こうして2人の自分の戦いは悪魔ミーナの勝利に終わった……
「ねぇ、エイラさん」
私はエイラさんの銀髪を撫でながら、彼女に囁く。
「私のお願いを一つだけ聞いてくれないかしら? それで食器の件は帳消しにしてあげるわ」
「ほ、本当か……? その条件って何だ?」
「あなたのお尻を少し触らせてほしいの」
「へ? え、えええ!?」
エイラさんは顔を真っ赤にしながら困ったような表情を浮かべる。
当然といえば当然の反応だ。
それでも私は言葉を続ける。
「私、ずっと前からあなたのお尻を触ってみたかったの。ズボンを脱いで
そこのベッドでうつ伏せになってくれるかしら?」
私がそう言うと、2人の間に少しの沈黙が流れる。
エイラさんは依然顔を真っ赤にしたままだ。
やがてエイラさんは重たい口を開いてこう言った。
「……分かった。ズボン、脱ぐよ」
エイラさんはそう言うと白タイツとズボンに手をかけ、それを一気に下ろしていく。
彼女の白くて綺麗なお尻が露わになった。
そして、エイラさんは私の指示通りベッドの上でうつ伏せになってくれた。
「いい娘ね」
いよいよだ、いよいよエイラさんのお尻を触れる。
私は心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
「……じゃあ、行くわよ」
「あ、ああ……」
私はエイラさんのお尻をそっと撫でる。
……なんて柔らかいんだろう。
「素晴らしいわ、エイラさん。想像以上の柔らかさよ」
「た、隊長……ひゃぁんっ」
こんなに柔らかいものがこの世に存在するなんて思ってもみなかった。
「これは病みつきになるわね」
私は一層激しくエイラさんのお尻を撫でる。
「た、隊長ぉ……あぁん」
エイラさんの可愛い喘ぎ声が部屋に響く。
そんな声で喘がれたら私もスイッチ入っちゃうじゃない。
「エイラさん、もっと気持ちよくしてあげるわね」
私はそう言って、エイラさんのお尻を激しく揉み始めた。
「隊長、もうだめっ……ひゃうっ!」
そのまま私はエイラさんのお尻を10分ほど揉み続けた……
――――――――
「……これで食器割ったことはチャラにしてくれるのか?」
「そのことなんだけどエイラさん、私あなたに謝らなければいけないことがあるの」
「な、なんだ?」
「実は……エイラさんが割ったっていう私の食器、別に大切にしていたものじゃないのよ」
「え、ええええええ!?」
「あなた、エーリカにからかわれたのよ」
「じゃ、じゃあ私の尻を揉んだのは……?」
「あなたのお尻に興味があったっていうのは本当よ。だから触る口実が欲しかったの。
普通にお願いしても触らしてくれなかったでしょ?」
「……た、隊長の馬鹿~! 私、本当に怖かったんだかんな……ぐすん」
「本当にごめんなさい。ほら、もう泣かないで」
私は再び泣きじゃくったエイラさんをそっと抱きしめ、彼女の頭を優しく撫でる。
やがて泣き疲れたエイラさんはズボンも穿かずに眠ってしまった。
「ぐー……すー……」
「ふふっ、可愛い寝顔……お休み、エイラさん」
エイラさんの頬に口づけをし、私も深い眠りについた。
~Fin~