「トゥルーデ、ほら早く泳ごうよ!」
「待てエーリカ、準備体操もしないで海に飛び込むのは心臓に悪いぞ」
「大袈裟だなー、大丈夫だから早く早く!」

私はトゥルーデの手を引っ張って一緒に海に飛び込む。
ひんやりとした水しぶきが気持ちいい。
「えへへ、冷たくて気持ちいいね、トゥルーデ」
「ああ、そうだな……だがこの水着は少し恥ずかしいな」
「私たちしかいないんだし、恥ずかしがることないでしょ。
それに、その水着、トゥルーデにとてもよく似合ってるよ」
「そ、そうか?」
私がそう言うと、トゥルーデは照れながら頬を赤らめる。
もう、本当に君はいちいち可愛いな。
「その……お前も似合ってるぞ、エーリカ」
「ありがと、トゥルーデ」
今、私たちが着ている水着はこの前ミーナが街で買ってきてくれたものだ。
私が着てるのは白と青の縞々のビキニ、トゥルーデのは黒の紐ビキニで、
私たちが今まで着ていたカールスラント軍支給の水着よりも幾分色っぽい。
特にトゥルーデの黒ビキニは彼女の白い肌とセクシーさを引き立たせていて、
とても可愛らしかった。
本当にミーナは人の水着を選ぶのが上手いな。
おっと、いつまでもトゥルーデの水着に見とれてる場合じゃないね。
せっかくもらったお休みなんだから思いっきり遊ばないと。

「トゥルーデ、ビーチボール投げ合いっこしようよ。いくよ~! そ~れ!」
私はトゥルーデから少し離れ、持ってきたビーチボールを思いっきり投げる。
「ま、待て! いきなり投げるな」
と言いつつ、ちゃっかりボールをキャッチするトゥルーデ。
「やるじゃん」
「今度はこっちからいくぞ、それ!」
「うわっ、さすがトゥルーデ。強烈~!」
私たちは、それから20分ほどビーチボールを投げ合いっこして遊んだ。
普段は『501のWエース』なんて呼ばれている私たちも、
休暇中の今は19歳と17歳の少女に過ぎない。
だからこそ、今日は年相応の普通の『少女』として精一杯この休暇を楽しもうと思った。

「あ~、楽しかった!」
陸に上がった私は砂浜の上で大の字になって横たわる。
燦々と照りつける太陽が気持ちいい。
「どうしたエーリカ、もうダウンか?」
「まさか、私はまだまだ元気だよ。なんならあそこの岩場まで競争する?」
「勝負か、受けて立とう。もっとも犬掻き一辺倒のお前に負けるつもりなどないがな」
「あっ、犬掻きを馬鹿にしたな~!? 私だって負けるつもりはないよ。
犬掻きの本気、見せてあげる」
こうして私とトゥルーデは岩場まで競争することになった。

――数分後……

「あー、負けた~」
私はさっきと同じように砂浜の上で大の字になって寝っ転がった。
……やっぱり私の犬掻きじゃトゥルーデのクロールには勝てないか。
「本当にトゥルーデは負けず嫌いなんだから……少しは手加減してくれてもいいのに」
「何を言うか。例え遊びであろうとも、勝負事に手を抜くのは性分ではない」
トゥルーデは真剣な表情でそう言った。
ま、そんなどんな時もいつも本気のトゥルーデが私は大好きなんだけどね。

私は起き上がり、トゥルーデの水に濡れた髪をそっと撫でる。
本当に綺麗な髪……
「ね、トゥルーデ。目、瞑ってよ」
「なぜだ」
「いいから早く」
「あ、ああ……」
トゥルーデは戸惑いの表情を浮かべながらも私の指示通り目を瞑ってくれた。
私は少し背伸びをして、彼女の唇に自分の唇を重ねる。
「トゥルーデ、んっ……」
「エ、エーリカ!? いきなり何を……」
トゥルーデは顔を真っ赤にしながら、驚きの表情を浮かべる。
もう、何度もキスしてるんだからいい加減慣れてほしいな。
「なにって、勝ったご褒美のキスだよ」
「そ、そういうことは先に言ってくれ。こっちにも心の準備ってものがあるんだ」
「そう? じゃあ仕切り直し……ね、トゥルーデ。競争に勝ったご褒美にキスしてあげるから、
目、瞑って」
「ああ……」
「トゥルーデ、愛してるよ」
私たちは砂浜の上で再び唇を重ねあった……

~Fin~


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