aboard an airplane


「坂本さん」
「何だ宮藤」
「……いえ、何でもないです」
「ん? 気になった事が有るなら遠慮なく聞け。今更遠慮する程の間柄でもないだろう」
「は、はい……」
 微妙な空気が流れる。

「あの、坂本さん」
「何だ?」
「坂本さん、変声期、ですか」
「んっ?」
「いえ、あの、ほら大人になると声変わりするじゃないですか。だから坂本さん、変声期なのかなーって」
「要するに何が言いたい、宮藤」
「いえ、何でもないです」
「……」
 気まずい空気が流れる。
「あ、でも、坂本さんの事ですから、きっと何か成長されたに違いないですよ」
「まるで私をずっと見てきたかの様な言い方だな」
「あ、いえ、お会いするのは久しぶりですけど……なんか雰囲気変わったなって」
「何処も変わってないぞ私は。例えば何処が」
「例えばって……坂本さん、変わりすぎじゃないですか。例えばその服です」
「この外套か?」
「それ、外套なんですか……蓑傘かと思いました」
「何処が蓑傘だっ! お前の目は節穴かっ!?」
「ごっごめんなさい、違うんです。なんか、何処かを放浪してたみたいで」
「放浪はしていない」
「だって、訓練の教官をお辞めになったと聞きましたが」
「戦いが始まれば、出るしかないだろう。……それの準備だ」
「その準備の為に、放浪してたんですか」
「だから放浪していないと言ってるだろう!」
「す、すいません……」
 機内の空気が微妙なものになる。

「あの、坂本さん」
「何だ、宮藤」
「この飛行機、大きいですよね」
「二式飛行艇、いわゆる二式大艇だ。世界最高水準の性能を持つ飛行艇だ。扶桑の誇りだな」
「そうなんですか」
「最高速度、航続距離、防御火力、防弾装甲、操縦性……どれをとっても二式大艇に並ぶ飛行艇は無い」
「なるほど、凄いですね、扶桑の技術って」
「うむ。自信を持って良いぞ、宮藤」
「は、はあ。それで、質問なんですけど」
「おお、何でも良いぞ、気になる事が有ればどんどん質問しろ」
「はい。ストライカーユニット、私のと坂本さんの二機分積んでますよね」
「ああ。見ての通りだ」
「これ、今飛んでいる状態でネウロイから攻撃されたら、どうなってしまうんでしょう」
「まあ、今はストライカーとして機能していないからただの機械だしな。
仮にネウロイのビームが直撃したとしたら、木っ端微塵だな」
「あわわ……でも、ネウロイが来たら、私が出撃すれば大丈夫ですよね?」
「まあ、飛べばな」
「そうすれば、坂本さんの紫電改も、大丈夫ですよね?」
「そうだな。当たらなければ問題無い、はっはっは!」
(ほ、本当かな……)

 昼夜をまたぎ、美緒と芳佳を乗せた二式大艇は目的地を目指し飛んでいく。

end


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