ride on truck


 504への連絡を終え、美緒と芳佳を乗せたトラックが砂煙を上げ、道を走る。
「坂本さん、504、大変な事になってしまいましたね……」
「ああ。負傷、離脱したウィッチ達が気がかりだ。ただ、個人的には、醇子……いや、竹井大尉が無事なだけでも良かった」
「でも竹井さん、辛そうでした」
「504は再編中だ。きっとまた甦るさ。ウィッチが慢性的に不足しているから厳しいだろうが」
「でも、どうなるんでしょう」
「どうもこうもない。我々501が再結成されたんだ、我々で驚異を排除するしかない。覚悟は出来ているか、宮藤」
「は、はい!」
「良い返事だ、宮藤」

「そうだ、宮藤」
「何でしょう、坂本さん」
「お前は何故、あの時基地に居たんだ?」
「えっ……お話ししませんでしたっけ? 父からの手紙が届いたので、坂本さんなら分かるかなって」
「ああ、そうだったな。安心しろ、あの手紙は技術部へ送っておいた。近いうちに何かしらの返答が有るだろう」
「なるほど」
「しかし困ったものだな。毎度タイミングが悪いと言うか」
「いえ。あの手紙がなかったら、私、ここに居なかったと思いますし。
これはきっと、お父さんが『行け』と言ってくれたんだと思います」
「はっはっは! 宮藤らしい前向きな考え方だ!」
「でも、もし最初の手紙と一緒に、二枚同時に来ていたら、私、どうなってたんでしょうね」
「……それは言うな、宮藤」
「えっ何でですか」
「色々有るんだろう、察しろ、宮藤」
「は、はあ……」

「そう言えば、宮藤」
「はい、なんでしょう?」
「久々に皆と再会して、どうだった?」
「嬉しかったです。リーネちゃんが無事で……本当に良かった。リーネちゃんの声、無線で聞いた時から私……リーネちゃんが」
「リーネリーネとうるさい奴だ。そんなにリーネの事が気になったのか」
「なります! 仮にも一緒に戦った仲なんですよ?」
「疾しい気持ちじゃないだろうな?」
「と、と、とんでもない!」
「なら良いんだが。確かに、戦友の事を思いやるのは大切な事だぞ?」
「はい」
「だからと言って、またベタベタしたりはするなよ?」
「えっ!? し、しません、よ……多分」
「何だその頼りない返事は?」
 微妙な空気が車内に流れる。

「そう言えば宮藤」
「何でしょう、坂本さん」
「お前、民間人に戻り、半年経って、どうなった? 学校は」
「卒業したばかりです。本当は、診療所を継ぐ筈だったんですけど、リーネちゃんの声聞いて……」
「ふむ」
「守りたいんです!」
「その言葉、何度も聞いた。しかし、お前は随分と成長したな。魔法力も安定している」
「あ、有り難う御座います」
「しかし……」
 美緒は眼帯をめくり、芳佳をじろっと見た。
「な、何ですか、坂本さん。急に……」
 しばし芳佳を見た後、眼帯を戻すと、美緒は呟いた。
「身体は余り成長してない様だな」
「な、何て事を言うんですか! て言うか坂本さん、何故見てるんです!? てか前向いて運転して下さい! 危ないです」
「はっはっは。少し気になっただけだ。この年頃の女子は成長著しいと言うじゃないか」
「そ、そうなんですか? たった半年でそんなに分かる程成長するのも、どうかと」
「そうか?」
「坂本さんみたいに声変わり……いえ、何でもないです」
「……」
 気まずい車内。二人を乗せたトラックが道を往く。

end


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