color of love


「色? 何で色なんだ」
 昼下がり、ストライカーユニットの整備(と言う名の改造)をしていたシャーリーはルッキーニから突然問われて答えに困った。
「シャーリーとあたしの色!」
「色って言われても……単純にあたし達の肌の色とかそういうのじゃなくて?」
「そういうのじゃないのー」
「色ねえ。あたしとルッキーニ、か」
 うーんと首をひねるシャーリー。突然「二人の色は何?」と聞かれても答えようが無い。
 シャーリーは機材を大雑把に片付けると、立ち上がった。
「行こうルッキーニ。ヒントを探しに行くぞ」
「行く行く!」

「色、ねえ」
 執務室で、シャーリーから問われたミーナはうーんと指をこめかみに当て、悩んでみせる。
「あたしとルッキーニの。何かイメージ有ります?」
「難しくて抽象的な質問よね」
「そうなんですよ。正直あたしも分からなくて。でも、中佐なら分かるかなって」
「そうねえ……」
 ミーナは、腕組みするシャーリーと、まとわりついて笑顔のルッキーニを見比べた。
 ミーナの横に居た美緒は、そんなやり取りを聞いていたが、不意に呟いた。
「太陽がふたつ」
「太陽? ふたつ?」
「いや、何となくだ。気にするな、忘れてくれ」
「はあ」
「そうね。美緒の言う通りかもね」
 ミーナは頷いた。
「どう言う事ですか、中佐」
「シャーリーさんは隊のムードメーカー的存在よね?」
「そう見えます?」
「で、ルッキーニさんは隊の……賑やかな存在でしょう?」
 当たり障りのない言葉を選ぶミーナ。とりあえず頷いてみるシャーリーとルッキーニ。
「だから、それで良いんじゃない」
「色としては」
「眩しい光の色かしら」
「はあ……」

「お前達の色だと?」
 昼食の席で、唐突に聞かれたトゥルーデとエーリカは互いの顔を見合わせた。
「ま、イメージで良いんだよ。あたしとルッキーニのカラー」
「オレンジっぽい感じかな」
 エーリカが答える。
「そりゃなんでまた?」
「日の光を浴びて実った果実、みたいな」
「うまいこと言うね」
「ハルトマン。お前、何かヘンな事を考えてないだろうな?」
「あれ? トゥルーデこそ何考えてるの? やらしー」
「私はいやらしい事など何も考えていないッ!」
「あー分かった分かった。ありがとな」
 シャーリーはルッキーニを連れ、面倒な事になりそうなカールスラント軍人コンビから離れた。

「シャーリーさんとルッキーニちゃんの、色?」
 質問を聞いたリーネと芳佳、そしてペリーヌはきょとんとした表情をした。
「ばっと思い付いたイメージで良いから、何か無いかな」
「そうですね……シャーリーさんは青い感じで、ルッキーニちゃんはオレンジ」
「そりゃあたし達のストライカーユニットの色じゃないか?」
「そう言われれば、そうですね」
「肌色……」
「宮藤さん、貴方その手つきは何ですの? いやらしい!」
「えっそんなつもりじゃ……」
「芳佳のえっちー」

 エイラとサーニャは、シャーリーから同じ事を聞かれて、ぽかんとした顔をした。
 おもむろにタロットを取り出し占うエイラ。
「太陽の正位置ダナ」
「それって意味は?」
「マァ、簡単に言うとパワフルで明るい関係ってとこカナ。二人にぴったりダゾ」
「なるほどねえ……」
 あんまりエイラの占いを信用していない二人は、生返事をしてその場から立ち去った。
「おい待テ! 私の占い信じて無いダロ? 顔に書いてるゾ!」

「シャーリー、結局分からなかったね」
「まあ、比較的近い色は、太陽とかオレンジ……でも太陽って時間帯によって色変わって見えるしなあ」
「ウニュー なんだろー」
 聞いて回っても分からず、二人は基地のテラスに寝そべり、頭上に燦然と輝く太陽を見た。
 手ですかしてみる。
 眩しい。
「眩しい存在、って事なのかなあ」
 ぽつりとシャーリーが呟く。
「それってつまり?」
「あたし達は太陽そのものって事さ、ルッキーニ」
 笑うシャーリー。きょとんとしていたが、ルッキーニもつられて笑顔を見せる。
 その時、基地のサイレンが鳴り響いた。敵の来襲。
「行こう、ルッキーニ。あたし達の出番だ」
「らじゃー」
「太陽の輝きを知れ、か」
 ぽつりと呟くシャーリー。
 どうしたの? と聞いたルッキーニに何でもないと言って軽くキスをすると、ブリーフィングへと急いだ。

end


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