誕生日の夜
「サーニャ、改めて誕生日おめでとな」
ベッドの上、2人並んで横になる。
今日は8月18日、いやもう19日かな。
エイラに、みんなにお祝いしてもらって幸せな気持ちでいっぱいだった私は、お酒を飲んだわけじゃないけど、なんだかふわふわしていた。
せまいベッドの上、エイラの手を握って、横顔を見つめてしまうくらいに。
「うん…、ありがとう、エイラ」
「楽しかったか?」
「うん、とっても」
「そっか、よかった」
エイラも握り返してくれて、さらにふわふわ。
今日はとっても楽しくて、とっても幸せな1日だったよ。
へへ、と笑うエイラにそんな思いをこめて腕を伸ばす。
案の定びっくりしていたけど、今日は好きにさせてくれるようだ。珍しい。
そうしてゆっくりと流れる時間の中、私のふわふわした頭はとんでもないことを考えていた。
「ねぇ、エイラ」
ぐっと縮まった距離にドキドキしながら、全身に感じるエイラの体温にドキドキしながら。
「キス、してもいい?」
いきなり変なこと言って怒られるかな? と思ったけど、不思議と断られる感じはしなかった。
いつもはすぐ逃げちゃうエイラなのにね。なんだか今日は許してくれる気がした。
私は上半身を起こしてエイラの顔に近づいた。
赤くなったエイラの顔。
さっきの言葉になにも言わなかったエイラだけど、目をつむって少し唇を突き出していた。かわいい。
ちゅ。
小さく音がなる。
私はエイラの身体を抱きしめて、エイラは私にそっと手をそえて。
私たちの夜は始まった。
END