gleaning


「だーかーらー、何度言わせるんですか! ちょっと話聞きなさいって!」
「面倒いし。だるいし」
「なんでそういつもいつも……」
 戦闘後、ロッテを組み基地への帰り道。ドミニカとジェーンのコンビだ。
「良いですか、基地に帰るまでが戦闘なんですよ? 大物落としたからって、調子こいてちゃダメです!」
「基地に帰るまでって……遠足か」
「何ですかそのノリ!」
 ぐい、とドミニカの服の裾を引っ張るジェーン。堪忍袋の緒が切れたらしい。
「おっと」
 バランスを崩したドミニカは、ジェーンの身体にしがみつく。
「ちょ、ちょっとドミニカ?」
 体勢を変えたまま……抱きついたまま……偶然視界が別方向を向き……
 刹那、何かを捉える。
「……なるほど。流石ジェーンだ」
 言うなりジェーンをぎゅっと抱きしめ、急上昇する。
「ちょ、ちょっとドミニカ?」
 そのまま捻り上げる様にロールし、高度と位置を取った。太陽を背に、絶好のポジションだ。
 肩に掛けていた銃を構える。マガジンの弾を確認する。
「まだ何発か残ってるな。いけるか」
「え? え?」
「中型のネウロイだ。単機で行動してたから、群からはぐれたのかもな。もしくは帰り道のあたしらを狙ってきたか」
「でも深追いは……」
「相手の方からこっちに来てんだ、やられる前に殺れってね」
 言うなり、ドミニカはネウロイ目指して急降下を始める。
 ジェーンも慌てて銃を構え、後に続いた。

 数十秒後、逆に不意を突かれた形になったネウロイは、白い破片を撒き散らし、消滅した。

 ネウロイの残骸が舞う中、ジェーンはドミニカに詰め寄った。
「何でもっと早く言ってくれなかったですか!? びっくりしましたよ」
「戦闘に予告なんて有るかい」
「ま、まあ確かに……」
「それに、ファイタースウィープって可能性も有るし、見過ごす訳には行かないな」
「そう、ですね」
「まあそうへこむなジェーン。あんたがあたしを引っ張って、視界を変えてくれなかったら、
気付くの遅れてあたしらもっとヤバイ事になってたかも知れない」
「え、さっきのあれが……」
「だから、ジェーンの言う通りだって事さ。『基地に帰るまでが戦闘』ってね。まったく、あんたは正しいよ」
 ドミニカはそう言うと、照れ隠しのつもりか、ガムを噛み、ぷうと膨らませた。
 何か言いたげなジェーンに、ドミニカは言った。
「まあ、ジェーンが居ないとね」
「とととりあえず、すぐ帰りますよ!」
 ジェーンは顔を真っ赤にし、ドミニカの手をぐいと引っ張り、速度を上げた。
 ドミニカは後ろ向きになり、遠ざかる白銀の欠片を見、やれやれ、と呟いた。

end


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