ブリタニア19XX リーネがおっぱ(ry その2 ディファイアンツ!
「と、いうわけで二人には悪いんだけれど、暫くは替わりの機体で夜間哨戒を行って欲しいの」
「はい、仕方ないです」
「はい……ごめんなさい」
しゅんとなってしまう。
もともとこれは私の責任なんだもの。
いろいろな気の迷いで注意力散慢だった私はハンガーでつまずいて転んでストライカーユニットを壊してしまったのでした。
その壊したストライカーが自分の物だけだったら良かったんだけれど、壊れたのはスピットファイアMk.IXだけではなくサーニャちゃんのMiG-60も巻き添えにしてしまったから今のような状況に……。
エイラさんが行くとは主張したんだけれど、機体とかシフトの都合で私が一緒に行くことに。
で、宛がわれた代わりのストライカーユニットって言うのが変り種で問題のある機体だった。
ディファイアント。
ブリタニアの開発した複座のストライカーユニットで実は色々と曰く付きだったりする。
哨戒活動への出撃の時間が近づき、ハンガーでストライカーの準備をする。
まず初めにパイロットの私がディファイアントの前席に接続、次に後席の索敵手兼ガンナーのサーニャちゃんが接続。
このストライカーは若干前席の方が前寄り――直立状態の時には高い場所――に付いているので今の姿勢だとサーニャちゃんは前を見るのに苦労する。
そしてそれだけではなくて……。
コツン。
「いたっ」
「ご、御免なさいリーネさん。大丈夫?」
「うん、大丈夫……でも、ブリタニアのストライカーとは言えこれは私にもよく意味が分からないよ……」
「そ、そうね……ちょっと重くて、首がふらついちゃう」
首が重いのも当然だと思う。
サーニャちゃんは頭の上に7.7mmの機銃を4つも乗っけているんだもの。
幾ら魔法で身体能力を強化しているとは言え……凄く重そう。
「オイ、本当にこのストライカーは大丈夫なのカ?」
「だ、だいじょうぶ~……だと、思います」
「う、うん、一度飛んでみないとわかんないし……」
「まずそうだったらすぐに戻って来いよ。連絡しろよ」
「うん、その時はそうする。だから心配しないで、エイラ」
「むー、わかった。気をつけて言って来いよ。リーネ、お前もしっかりナ」
「はい」
「いきましょう、リーネさん」
「うん、いきます」
サーニャちゃんの合図で加速。
慣れないストライカーだから滑走距離をたっぷりととってストライカーの様子を確かめる。
幸いな事に搭載している魔道エンジンはスピットファイアを同じマーリン系列だからかなり近い感覚で動かせるんだけれど……やっぱり二人分の重量を支えるにはなかなか大変というか、少し非力な気がする。
そんな感想を得るうちに既に滑走路も半ばを越えていて、決断の時が迫っていた。
「リーネさん、飛行中止なら判断を」
「大丈夫です。いけます。離陸します」
指揮官のサーニャちゃんの声にそう応え、前傾をきつくして翼に揚力を与え飛翔用シールドに魔力を込める。
シールドが余計な抵抗を軽減し、加速が進む。
与えられた速度と正しい抵抗が翼の上下を滑りぬけてふわりとした浮遊感が発生。
後席のサーニャちゃんは正しい飛行姿勢をとって私の背中に密着する。
背中にはサーニャちゃんの控えめな膨らみ。芳佳ちゃんよりも少しだけ柔らかい気がする。
年下だけど、やっぱりオラーシャと扶桑の差なのかなぁ。
でもでもっ、私のお姉ちゃんはそうでもないし、大きさと国籍は関係ないよっ! うん、きっとそう。
っと、ダメダメ。胸のことなんて考えている時じゃないよ。今はディファイアントの操作に集中しないとっ。
無事、離陸できた。
ただ飛べたということだけなのにほっと胸をなでおろしてしまった。
でも、本当に大変なのはこれからだ。
ゆっくりと姿勢を変え、基地の上空を回るように旋回しながら高度を上げていく。
高度3000ft……じゃなくて1000m。
改めてエルロン、ラダー、エレベータの動きを確かめる。
うん、全体的に動作は重いけどちゃんと飛べる。
「リーネさん、試射をするので直進をお願いします」
「イエスマム、サーニャちゃん。3秒待ってください」
深呼吸しつつ風をにのって飛行姿勢を安定させる。
サーニャちゃんが私の方に点いていた手に力を込めてさっきよりも密着。
なんだかいい匂い。そういえばサーニャちゃんとこんなに密着したことなかったな。
普段こんなに近い距離で接する機会がある人っていうと芳佳ちゃんにエイラさんにルッキーニちゃん……な、なんだかとても理由がわかる気がするメンバーだね……。
でも、なんていうか凄くいい匂いがする。エイラさんにちょっと近いかな。そっか、お風呂とかサウナとかその後の水浴びとか一緒にしてるしそのせいなのかな。
「右に撃ちます」
サーニャちゃんがそう宣言して首を右に向ける。トリガーは魔力コントロールなので手はフリー。飛行姿勢の定位置である私の肩に置かれたままで、緊張のせいか少しだけ篭る力が強くなる。
「アゴーイ」
控えめなサーニャちゃんの母国語での射撃合図。
ダッダッダッと4連装の7.7mmを3連射。
「わわっ!?」
「きゃ」
たったそれだけの射撃なのに大きくバランスを崩してしまう。
やっぱり頭の上に魔道リモコン銃座というのがそもそもの間違いな気がする。しかも4門もあるからその重みでただでさえふらつくというのに飛行姿勢の都合で前席が射界を阻害するので正面側には撃てない。
正面に打てないということは左右から背面に向かって撃つことになる。
そうなると重心位置とずれたところからさらにバランスを崩すような撃ち方になるので大きく傾いて失速しそうになってしまった。
なんとか立て直しつつ謝罪。
「ご、ごめんなさぁい」
「ううん、いいの。私も横に振られちゃったから……。リーネさん、手を肩に置くんじゃなくて、前に回してもいい?」
「え? う、うん」
「ありがとう、その方が安定するとおもうの」
そう言うとサーニャちゃんは私の前に手を回して、お腹の丁度おヘソの上辺りで手を結んでから更にぎゅっと密着した。
「んっ」
少しだけくすぐったくてちょっと変な声が出ちゃう。
「大丈夫?」
「ちょっとくすぐったかっただけ、すぐ慣れるから大丈夫」
「うん」
無意識に緊張した身体から力を抜くと、それを感じ取ったのかサーニャちゃんも更なる安定を得るためにさっき以上に体を押し付けてくる。
厚手の生地の軍服越しだけど、なんだか形がしっかりわかる状態に少しドキドキしてしまう。
更には事の発端、経緯を思い出してその形とか硬さ柔らかさを積極的に意識している自分に気づいてちょっと赤面。
ドキドキしてるの気づかれちゃってないかな?
「左方向試射、行きます」
「う、うん」
「アゴーイ」
再び3連射。
今度はどういう衝撃が来るかわかっていたのとしっかりとサーニャちゃんとわたしが繋がっているお陰であんまりふらつかずに済んだ。
合図の為に背中に向って呟かれるオラーシャの言葉での合図はなんだか新鮮で、なんだかかわいい。
「今度は上手くいったね」
「うん、でもちょっと首も疲れるかな」
「う、ごめんね、ホント、わたしの不注意でストライカーを壊しちゃったから……」
「ううん、いいの。すぐに直るみたいだし、こうやって今まで一緒に飛んだ事のないリーネさんと一緒に飛べるのも嬉しい」
「そういってくれると嬉しいな。わたしもサーニャちゃんと一緒に飛ぶ空、楽しみだよ」
「高度を……」
「え?」
「高度を上げましょ。夜間哨戒なんだから」
突然の話題の変更は多分拒絶などではなくて、照れ隠しかな。
何となく今の流れは分かる気がする。わたしもあまり積極的なほうじゃないから、慣れない人とあんまり距離が近くなりすぎる状況に戸惑ってしまっているんじゃないかと思う。
だから私は「うん」と頷いて高度を上げ、二人が今の関係に慣れていけたらいいなって思いながら空気の流れに身を任せた。
おへその辺りに当てられていたサーニャちゃんの手の感触はいつの間にか馴染んでいて、くすぐったさを感じなくなっていた。
――――。
「やっぱり、なんだか変かも」
「うん……少し、早めに戻った方がいいかな」
「そうね……そうしましょ。リーネさん、進路を基地に取ってください。方位は、分かる?」
「だいたい何とか……細かい所は指示をお願いします」
サーニャちゃんがレーダー魔導針の固有魔法を使用し始めてからすぐに何か違和感があると言い出していた。
私には良くわからないけれどなんだかいつもと違った不可解なノイズが入ってしまうらしい。
夜半を過ぎても状況は改善せず、自位置が大きく変わってもノイズの入りが変わらないことから外来波による影響でもないみたいなので結局早めの帰還を決めたみたい。
やっぱり頭にあんな金属の塊を乗っけてるからじゃないかなぁ、と思いつつもこの件に関して素人なのと、私と同じブリタニア人が作り出したものが原因であるとはちょっと言いにくくて口には出来ない。
でも、こうしてレーダーの調子が悪い事も含めて電波の事とかを語るサーニャちゃんの饒舌振りと熱の入り様にはちょっと意外なものを感じた。
恥ずかしながらペリーヌさんの言った「幽霊みたい」という言葉が私にとってのサーニャちゃんのイメージだった。居るのかいないのかよくわからないほど存在感のない子。
そんな風に思っていたから、はっきりした口調で楽しそうに話す姿には驚いてしまった。
でも、背中越しで表情は見えないけれど凄く楽しそうな様子には私も惹きこまれて、色んな話が出来た。
こうやって他人と関わるのが少し苦手な二人が一緒に居てお話が出来るのは、お互いに芳佳ちゃんから元気を貰えてるからかかな。
だとしたら凄く嬉しいな。
「進路、少しずれています右へ30度の回頭をお願いします」
「了解です」
指示に従って方位を調整する。
姿勢がずれるとちょっとだけサーニャちゃんの手の位置が変わったりして、たまに胸を下側から押し上げるようになる時があったけれど、なるべく気にしないで平静を装う。
こんな慣れない複座じゃサーニャちゃんも落ち着かないもんね。
そんなことを思いながら緩やかな水平面旋回を描く最中、視界の隅に何かが映るのを感じた。
闇夜に慣れた目を凝らし、その何かを感じた辺りを注視する。
「どうしたの?」
私の中途半端な動きに対していぶかしげな声を上げるサーニャちゃん。
「うん、ちょっとなんだか気になるものが見えた気がして……」
サーニャちゃんのレーダー能力で基本的には周囲の飛行物体の存在は把握出来ている筈だから、きっと雲か何かの見間違えだと思うんだけれど……。
その時、視界の中に赤い光が見えた気がした。
嫌な予感が全身を駆け抜け、本能に従うまま翼を翻す。
「きゃっ」
急激な機動にサーニャちゃんが小さな悲鳴を上げてぎゅっとしがみついてくる。
まだ小さいけどしっかりと柔らかさを持ったその旨が私の背中で押しつぶされてゆがんでいく感触。
じっくりと味わう余裕など無いままにロールから横滑りの機動に入り、水平の移動距離を大きくとりながら高度を落とし、速度も稼ぐ。
そんな私の機動を追うように赤いビームが一発、二発、三発と撃ち込まれた。
「ネ、ネウロイ!?」
「やっぱり!」
「どうして……レーダーでは感じなかったのに……んっ、あのネウロイ、普通より反応が小さい」
「調子が悪かったから見つけられなかったんでしょうか?」
「そ、そうかも……ごめんなさい」
サーニャちゃんが申し訳なさそうに私の背中へと謝罪。
「サ、サーニャちゃんは悪くないよ。どちらかというときっと悪いのは私だし……それよりも基地に連絡をっ!」
「うん」
そんなやり取りの間も回避機動を取りながらなんとか敵ネウロイへの射撃位置へつけようと旋回をする。
だけど、相手の方が早い。
一時的に同航に近い状態までは持っていけるけれど丁度いい射撃位置につけることが出来ず、逆に背後を取られたり旋回の内側に入られたりで射撃を受ける回数の方が多い。
そもそも自由な方向へと射撃が出来ないのが致命的だ。
サーニャちゃんは私のおなかの前に手を回してしっかりとくっついていないと機動中の安定が得られず、安定しなければ大きく首を廻らせてもかなり狭い範囲でしか射撃が出来ない。
基地と連絡の取れたサーニャちゃんは救援が到着するまであと10分だと告げてきた。
10分。
空戦の10分は恐ろしく長い。
緊張で口の中がカラカラになってくる。
回避の為の集中力とシールド用の魔法力、それまで持つかな……。
「リーネさん、ちょっとだけ耐えてください」
弱気になってきた所で、サーニャちゃんが何か決意した様に口を開いた。
「え、何を……って!」
むにゅにゅ。
「きゃあああああ!!!」
突然サーニャちゃんの手が私の胸をわしづかみにっ!? しかもブレザーを避けてワイシャツの柔らかい生地越しにしっかりとっ!
なっ、なっ、なにするのー!!!
抗議の声を上げたいけど言葉にならない。
「こ、こうすればっ!」
ぎゅむ。
左手を強めに握られて、「ひうっ」と小さく悲鳴。
思わず左半身を中心に身を縮め、姿勢がぶれる。
ストライカーでの飛行はウィッチの姿勢がダイレクトに影響を与え、左翼側が失速、錐揉みに入りかける。
そこに左翼側から断続的な衝撃。
攻撃を受けたわけじゃない。
上半身を大きく起こしたサーニャちゃんが左に居るネウロイに向って射撃をしたみたい。
射撃を受けたネウロイは私の前方斜め上を左から右へと航過。
サーニャちゃんは一度射撃を停止した後に右へ向って追い照準で射撃。
以前胸はしっかりと握られたままだったけれど強すぎはしていなかったんでちょっとだけ落ち着きを取り戻す事ができた。
「ああのぉ……サーニャちゃん、何を……」
緊張を残しつつも体の力を抜くと、自然に飛行が水平を取り戻す。
安定した姿勢で一度失った分の高度を少しずつ稼ぎなおしながらサーニャちゃんに話しかける。
「か、身体を浮かせないとうまく狙えなくて……でも、浮かせると安定しないから……そ、その、つかみやすそうな所を……。それと……っ!! きますっ!!!」
「えっ……ひゃうううっ!」
ぐににっ。もにゅっ。
上方向へとぐっと持ち上げるようにしてから右を強めにつかまれる。
思わず伸び上がって上昇方向へ、その後は右へと緩めに旋回。
左後方やや上から攻撃を仕掛けてきたネウロイはこちらの機動にやり過ごされてから右へと抜け、それを追うようにしてサーニャちゃんが首を回しながら射撃。
「いけます! 命中弾を出せました!」
「さ、さーにゃちゃぁん!?」
「あの……本当にごめんなさい。でも、回避の指示とか、狙いに行くのとか、口で言うよりもこの方が早くて……」
「そ、そんなぁ……」
た、たしかに早い気はするけれど……こんなことって……。
「命中弾を与えられたせいか、さっきよりもはっきりと相手の反応を掴めます。このままやれば二人で切り抜けられます。私達、二人でひとつのチームです! 一緒に基地まで帰りましょう、リーネさん!」
普段からは想像もつかないような力と闘志に満ちたナイトウィッチの声に勇気付けられ、ネウロイに追い詰められたり……その、おっぱ……を揉まれて混乱してた私の意識に光がさしてきた。
そうだ、私達は二人でひとつ。
息を合わせて二人で頑張らないと。
「このまま、さっきの調子で行きます!」
「うんっ!」
と頷いてからあれっ?と自問自答。
相変わらず胸に触れられたままのサーニャちゃんの手。
このまま?さっきの?って、もしかして……。
むにっ。
もみもみ。
むにゅ。
ぐにっ。
さわさわ。
覚悟を決める間もないままサーニャちゃんの手に翻弄される私のおっぱ……。
凄く恥ずかしかったり脱力したりするんだけど、慣れてくると結構合理的に同じ指示は同じ動きで徹底してくれているのが分かる。
年下なのに階級が上なだけはあって、やっぱりサーニャちゃんって凄い。
むにっ。右手んだけ力を入れられる。右旋回。
もみもみ。両手で揉まれる。加速。
むにゅ。少し強めにつかまれる。巡航へ。
ぐにっ。両方を掴んで下方向へ。下降。
さわさわ。優しく触られる。減速。
空では誰も見ていないという少佐の言葉を信じて、顔を真っ赤にして時折恥ずかしい声を漏らしつつ……ついでにちょっとだけいけない所を汗以外のもので濡らしたりしながら一生懸命飛んだ。
息が合うに従ってネウロイの意思を先んじる事が多くなってきて、命中弾も増える。
そして……。
もみもみっ。
「んんっ」
ネウロイの斜め後方から加速して距離を詰め、同航。
さわさわ。
「はぁん」
減速して速度あわせ。
「アゴーイ」
サーニャちゃんの射撃合図。
4門の7.7mm機銃がまとめて火を噴き、火線がネウロイの影を捉える。
集中した着弾がその姿を踊らせ、やがてはじけて砕け散る。
「や、やりましたぁ」
「んっ……うん」
飛行を安定させると、サーニャちゃんの手が私の胸から手がずれ、そのまま背中に体重が預けられる。
背中に押し付けられる薄い膨らみの感触を先程まで以上に意識してしまってなんだかとても恥ずかしい。
「なんとか、勝てたね」
「うん……でも、そのぉ」
「ご、ごめんなさい。その……色んなコトしちゃって……もし、よかったら……あとで……」
と、サーニャちゃんが何か言いかけたところで大音量でサーニャちゃんの名前を呼ぶエイラさんの声が割り込んできた。
基地から救援に来たみんなだ。
近距離通信が届いたってことは邂逅まではあっという間。二人を包む微妙な雰囲気を振り払う努力をする必要があるよね。
「あの、とりあえず……あとで、降りてからまたお話しましょ」
「う、うん……」
私たちは大きく何度か深呼吸してから皆の元へと向かった。
結局、皆にエスコートされての基地への帰還後にはサーニャちゃんはもうおねむな状態。
まともに話もできずにお互い部屋に帰ることになっちゃった。
そして後日。
ちょっとだけ悩みが増えました。
何日かに一回くらいの割合でサーニャちゃんが私の部屋に迷い込んできて胸に顔を埋めて寝ています。
これは……その、どうしたらいいのかなぁ……?