裏四十八手 第三手 指浣腸
エイラは窓辺に肘をつき、外の景色を眺めていた。
目の前にはドーバー海峡を臨む絶景が広がっている。
それでもエイラの目には景色など映っていなかった。
「はぁぁぁ~ぁぁ……」
深く長いため息を漏らすエイラの頭の中は、サーニャのことで一杯だった。
可愛いサーニャ。
素敵なサーニャ。
大事なサーニャ。
エイラにとってサーニャは自分の全てとさえ言えた。
それなのに、ヘタレな彼女は自分の思いを相手に伝えることができないでいる。
いや、日頃の行動や態度を見れば、サーニャへの思いは一目瞭然の筈であった。
だが、サーニャは一向に振り向いてくれない。
それどころか、サーニャは自分には冷たい態度で接してくるようにすら思える。
「やっぱ、嫌われてんだろうナ」
そう思うだけで死にたい気分になってくる。
エイラがガックリと肩を落とした時であった。
「隙ありぃぃぃっ」
背後で声がした途端、いきなり衝撃が襲いかかってきた。
肛門に焼け付くような痛みが走ったと思ったら、痺れを伴う衝撃が脳天まで突き抜ける。
「いっ……いぎぃぃぃぃ……?」
噛みしめた歯の隙間から、意味をなさない唸り声が漏れ出る。
何かが肛門を貫き、深々と直腸に侵入しているのだ。
「は……はぁぁぁ……」
背徳感のある甘美な痺れに全身を支配され、エイラの顎がガクガクと上下する。
続いて尻の中に入っていた異物が荒々しく引き抜かれた。
その場にへたり込んでしまったエイラが振り返ると、宮藤芳佳とルッキーニが嬉しそうに跳びはねていた。
芳佳は左右の手を組み合わせるように握り、2本の人差し指だけをピンと立てている。
それがエイラの処女地を踏みにじったことは明らかであった。
「ボヤッとしているからだよぉ。芳佳ぁ、やりぃ~っ」
これが後に501部隊を恐怖のどん底に追い込むことになる、必殺カンチョー隊の最初の仕事であった。
「お前ら、それでも軍人かぁっ。緊張感が足りなさすぎるぅ」
規律にうるさいバルクホルン大尉の一言が、芳佳とルッキーニにカンチョー隊の結成を決心させた。
「あたしたちって、そんなに緊張感足りてないかなぁ?」
「ボヤッとしてるのって、あたしたちだけじゃないよね」
2人がそんな会話をしていた矢先、一人佇むエイラを発見したのであった。
相手に弛んでいる自覚を持たせ、同時に懲罰を科すという、高度に洗練された効率的なシステムを開発したのは芳佳である。
扶桑にいる時に愛読していた低俗な少年マンガが参考になったのは言うまでもない。
「エイラさんっ、緊張感が足らないからです。反省してください」
薄れ行く意識の中で、エイラは宮藤の怒鳴り声を聞いていた。
第2の犠牲者は高慢な貴族の子女、ペリーヌ・クロステルマン中尉であった。
「ああ少佐、少佐。少佐のためでしたら、わたくし、何だってしてさしあげますのに」
いつもの通り、ペリーヌが木立の合間から坂本少佐をストーキングしている時であった。
「隙ありぃーっ」
掛け声がしたと同時に、ペリーヌの肛門に焼け付くような激痛が走った。
「ヒィヤァァァ~ァァッ」
ルッキーニの指カンチョーがねじり込まれたのである。
「かっ……かはっ……はぁぁぁ……」
大きく開いたペリーヌの口から舌が突き出され、だらしなくヨダレが垂れる。
連夜行っているバイブの挿入により、充分開発されているアヌスだったが、意表を突いた攻撃には対処できなかった。
「ボヤボヤしてる自分が悪いんだよぉ」
ウシシと笑うルッキーニの声は、もうペリーヌの耳には届いていなかった。
こうして必殺カンチョー隊は、部隊に蔓延する弛んだ空気を一掃していった。
常に緊張して背後を警戒していないと、いつアヌスを抉られるのか分からないのだ。
電話で総司令部とやり合っていたミーナも散った。
落ちているクリスの写真を拾おうとして、身を屈めた僅かな隙にバルクホルンが逝った。
寝坊していたハルトマンは、夢うつつに強烈な一撃を食らって二度寝することになった。
愛機の整備に余念のなかったシャーリーも、自らのアヌスにメンテナンスが必要な体になってしまった。
ただ1人、サーニャだけはカンチョーの代わりに何故か熱烈なキスを受けるに終わった。
カンチョー隊はエース達を始め、隊員たちを総なめにしていったのである。
「おっかしいんだぁ。バルクホルンさんって、あれ以来窓辺でボンヤリしていることが多くなったね」
「アレは完全に癖になったな。またやって欲しくてわざと隙を見せてるんだよ」
正義の名の下に仕置きを敢行していく2人だったが、彼女らをもってしても手の出せない隊員が1人だけいた。
坂本美緒少佐である。
自らを厳しく律し、規則正しい生活を送る少佐には、まるで隙というものがなかった。
「芳佳ちゃん、それはそれでいいんじゃないかなぁ」
なにも無理にやらなくても、とリーネが諌言する。
「ダメだよ、リーネちゃん」
芳佳は真顔で首を横に振る。
「今の坂本さんは魔法力が落ちて、シールドも張れない状態なんだから。極限まで感覚を研ぎ澄ませていないと……」
そのための修行に協力するのだと、芳佳は力説した。
カンチョー隊の意地と名誉に掛けて、成功させなければならない。
芳佳の鬼気迫る匍匐前進が始まった。
目指すは真剣で素振りを続ける坂本少佐である。
少佐は真烈風斬を会得しようと、一心不乱に素振りに打ち込んでいる。
矛盾しているようだが、一方に向けられた集中力こそ、最大の隙たり得るのだ。
度重なる経験が、芳佳に自信を付けさせていた。
少しずつ、ほんの少しずつだが、芳佳は確実に坂本少佐の足元に近づいていく。
そして、遂に射程距離にまで辿り着くことに成功した。
「坂本さんっ。たとえ今気付いたってもう逃げられませんよっ」
芳佳はこっそりほくそ笑むと、両手を合わせて指を折り込んでいく。
左右の人差し指だけが力強く伸ばされる。
一方の少佐は焦っていた。
「ダメだっ。こんなことでは真烈風斬は完成しない」
まだまだ気合いが足りないと、少佐は大きく息を吸い込んでみる。
そして細く、少しずつ吐き出しながら、愛刀をゆっくり振りかぶる。
切っ先がピタリと止まる瞬間がやってきた。
「隙ありっ。坂本さん、お覚悟ぉぉぉーっ」
裂帛の気合いと共に、芳佳の指カンチョーが繰り出された。
次の瞬間、少佐の尻の穴が粗相をした。
力み過ぎてついガスが漏れたのであった。
「さっ、坂本さん……んんん……」
正面からまともに喰らったジェット噴射は、芳佳を悶絶させるのに充分だった。
振り返った少佐は、足元で泡を吹いて悶絶している芳佳を見てキョトンとなった。
「あはははは、気合いの余波でも喰らったか。宮藤も修行が足りんなあ。あははははは」
これならば真烈風斬の完成も近いなと、少佐は満足そうに愛刀を鞘に収めた。