ペテルブルグ1944


 今日もペテルブルグは曇り空。
 こうして天候の悪い日が続いている間は全体的にネウロイの活動も低調になるお陰で夜間哨戒を選任の別部隊が引き受けてくれます。
 お陰で空いた時間には部隊の皆に料理を振舞ったりする事ができるのですが……。

 どうにも最近、補給が滞りがちです。
 バルト海の防備がうまくいってない上に北海の天候が悪く、補給船団が北の港に到着していないみたい。
 お陰で私たちの胃袋へと届けられる生の食料はほぼ北欧産の物だけ。
 トナカイの肉は食べ応えがあるのだけど、これはこのあたり全般に言えることですがどうにも新鮮な野菜が足りないのが残念な限り。
 あまり贅沢なことは言えないのは分かっていますが、扶桑の内地ぐらしが長かった身にはこの具の少ない豆のスープ等は本当にひもじい気持ちになります。
 そのせいなのでしょうか、菅野さんの機嫌が悪いです。それも、かなり。
 撃墜されたわけでもないのにもの凄くムスっとしてるし、わたしが話しかけてもとてもそっけない。
 いや、そっけないのは元々なのだけれど……なんというか普段よりも避けられている気すらします。
 やはり、扶桑料理を作れないのがいけないのだろうとは思うけれど、少し寂しい。
 9月も半ばを過ぎ、菅野さんの誕生日ももうすぐ。
 次の補給では特別便で甘味の材料を手配してあったので扶桑のお菓子などを色々と作ろうと思っていたのだけれど、間に合うでしょうか。
 最近は担当区域内でのネウロイの活動も低調なのが救いではありますが、その分地上で顔を合わせていることが多いので却って気を使ってしまう。
 そんな感じで暫くじりじりとした日々を過ごし、ストレスに耐えられなくなり始めた頃、待ちに待った補給が届く事になった。
 扶桑からリベリオン経由の二式飛行艇がペテルブルグまで来てくれるようなのだ。
 船便では無く航空便なので比較的傷みの早い様な食料素材も届けてもらえる特別便。
 ダメもとで頼んでおいた申請が通っていたという事だ。
 わたしは小躍りしたいほどの気分をぐっと押さえ込んで平静を装ったんだけど、クルピンスキー中尉や意外な事にジョゼさんまでもがハイタッチして喜びを表していたので私ももっと弾けて良かったのかも。
 菅野さんの様子を見ると、彼女の方も心なしか表情の険が取れて少し穏やかになっている気がした。

 しかし、世の中そんなにうまくは回ってくれない。
 夕刻、無線機がSOSを受信。
 二式飛行艇がスオムス湾上空でネウロイと遭遇したらしい。
 計画されていた飛行ルートを考えるとあの辺りならスオムスの防空隊か507の担当区域ではあるはずだけれど……。
 そんな思考を廻らせていると大きな音を立てて椅子を吹き飛ばした菅野さんが闘犬さながら勢いでブリーフィングルームから駆け出していった。
 呆気に取られる私にラル隊長が何事も無かったように命令を下す。

「下原少尉、菅野少尉を連れ戻しなさい」
「は、はい」
「陽が落ちたらあっという間に暗くなるけれど今日は満月。あなたなら問題なく行動できるでしょう」
「了解です」
「それと、ついでだから最近荒れ気味のあの子を宥めてくれると嬉しい。では、気をつけて」
「は、はぁ……」

 最後のはちょっと難しそうな気もしますが、とにかく出撃して連れ戻せばいいんですよね。
 皆に見送られつつハンガーへ。
 案の定警備の兵では菅野さんを止められなかったらしく、申し訳なさそうな顔の男性兵士達が私のストライカーを用意してくれている。
 皆の話に寄ると菅野さんは修理の終わっていない自分の零戦ではなく、私の零戦を使って出撃したらしい。
 一瞬どうしようかと焦ってしまったけれど、届いたばかりの機体があったことを思い出す。
 完熟飛行も満足に出来てはいない上に離着陸用の魔方陣設定に難があるので少し怖かったりはするけれど、他に選択肢はないようだった。

「紫電の用意をお願いします」



 私の言葉への対応は早かった。
 菅野さんが零戦で出て行った時点である程度予測していたらしく、思ったよりも早い速度で出撃準備が完了。
 その短い時間の中でこちらは武装を用意。
 ネウロイとの交戦の可能性があるのでいつもの九九式二号二型改一三粍機銃を背負いストライカーへと向かう。
 靴を脱いで発進補助システムへと登り、紫電一一型へと脚を差し入れる。
 接続は正常でエンジンの調子も上々。
 出力を定格まで上昇させ、滑走を開始。
 幸いここは野戦基地ではなく正規の舗装済滑走路が使えるお陰ですんなりと地上での加速は行われ、あっという間に離陸。
 飛んでしまえば飛行性能は折り紙つきの機体だからとても安心できる。
 着陸の事は帰って来た時まで忘れておこう。
 とにかく紫電なら零戦に比べて速度も出るからすぐに菅野さんを捕捉できると思うんだけど……。
 そこで本部から通信が入った。サーシャ大尉だ。

『下原少尉、スオムスの部隊が輸送機の救援に向かっていますが残念ながらローテーションの都合で装備は二線級です。更に悪い事に飛行艇は本来より南よりを飛行している模様……どうやら菅野少尉の方が接触が早そうですね』
「了解です。先に接触した場合には輸送機の護衛行動を行い、そのままペテルブルグへと誘導します」
『その方針でお願いします』

 短い行動方針の確認のあとにはスオムス側の電探情報を中継してもらえた。
 初期に想定された情報とは少し場所がずれているのでその通りに向かっていたとするとこの先暗さを増していく空の中では遭難しかねないけれど……ここはいざという時には鋭さを発揮するウィッチの勘と言う物を信じてみましょう。
 最新情報に従って変針する。
 目を皿のようにして前方を見据える。
 菅野さんならきっと二式飛行艇の予想位置まで一直線で進んでいるはずだ。
 太陽の残照はあっという間に西の果てへと引いて、代わりに東の空から満月の光が照らし始める。
 視覚は既に固有魔法の夜間視モードに切り替えているから私の視界はこんな夜の中でも昼と変わらない明るさで認識できる。
 多少飛行の効率は下がるけれど、高度を下げて明るい色をした空の中にその姿を探す。
 数分の焦燥の時を経て、私の眼が砂粒の様な存在を捉える。
 魔眼のもう一つの能力を使い、「見る」を「視る」へと切り替えると、その意識した一点が主観の中で拡大する。
 見つけた。
 見慣れた飛行服、その姿勢……。
 間違いない、菅野さんだ。
 ストライカーに魔力を込めて加速をかけ、接近しながらも更に前方の空から視覚情報を読み取っていく。
 無線を切っているらしい菅野さんに声が届くようになる前に遥か前方に戦闘のものと思われる光源を確認。
 やっぱり、菅野さんを信じてよかった。
 あとは引くか進むかだけれど……やはり、輸送機の安全を考えたらやはりこのまま進む以外の選択肢はないだろう。
 一気に菅野さんとの距離を詰めると、私の気配に気付いたのか一瞬だけこちらを見てから視線を正面へと戻す。

「菅野さん!」

 声をかけるけれど、案の定振り向いてはくれない。
 なので強硬手段に訴える事にする。
 相対速度を合わせ、よし。
 高度合わせ、よし。
 紫電は零戦に比べてちょっと動作が重くはあるけれど、十分に私の意思に応えて動きを表現してくれている。
 よし、このまま……。



「えい」

 ぎゅっ、とその小さな背へと抱きついた。
 さっきの振り向いた時の横顔、なんだか全然余裕の無い思いつめたような表情に見えました。
 何があったのかは分かりませんけど、きっと今回の補給に何か関わっているんじゃないかと思います。

「っ!」

 案の定暴れて私の腕から逃れようとするけれど、離しません。

「くっ、放せっ! オレは絶対にあの輸送機を守ってやるんだ!」
「菅野さん、確かに私はあなたを連れ戻せとの命令を受けています」
「だったらっ……」

 菅野さんが一旦頭を下に向けた。
 その挙動だけで頭突きがくると分かる。
 ここで仰け反ったりして背から抱いている腕の力が緩んだらあっという間に抜け出されてしまうだろうから、さらに腕に力を込めて強く抱き、左肩の上に顎を乗せるようにしながら頬と頬を合わせる。
 こうなってしまえば後頭部を使っての頭突きなんて出来ないし、首を横に振るならばその分だけ頬で押してしまえばいいから頭を使った抵抗は事実上封じたことになる。

「しっ、しもはら……」

 ひたすら密着していくというこちらの行動が意外だったのか、ちょっと上ずった声を上げる菅野さん。
 実を言うと可愛い可愛い菅野さんをここまで公然と抱きしめられる機会はそうそう無いので役得だなーと思いつつも確実に抵抗を奪う形で身体を密着させる。
 とはいえ今こうしている間にも輸送機は危険に晒されているのだ。
 早く菅野さんを何とかして救援に向かわないといけない。

「菅野さん、状況が変わっています。私たちはこのまま輸送機の救援に入りますので菅野さんは私の……」

 『指揮下に入ってください』と言おうとして少し言葉を考える。

「私のお願いを聞いてくれませんか」
「…………ょ」
「はい?」
「聴くよ。聴くから少し離れてくれよ。なんだか……やりにくい」
「はい」

 ちょっと頬を染めて一気にまくし立てる菅野さんは実年齢よりもちょっと幼めに見えてとてもかわいい。
 名残惜しいけれど返事を返してから腕の力を緩め、懐から菅野さん用のインカムを取り出して耳へと添え、離れる。

「ひゃ……と、突然何するんだよ」
「これで通信が聞こえると思います。交信が錯綜していますが通信は基本的には受信限定にして、わたしの指示とサーシャ大尉の状況変化の説明にだけ耳を傾けてください」
「お、おう、了解」
「本来先任は菅野少尉ですが、夜間戦闘なので今回は臨時で私が指揮官として行動します。異論はありますか?」
「それでオレをハブろうってつもりでもなければ問題ない」
「ありがとうございます。では菅野さん。今回は銃を持ってきていないようですので私が合図するまではただひたすら私の後ろをついてくるようにお願いします。こちらは紫電、菅野さんはゼロ戦で速度はともかく旋回性能ではそちらが上ですから……」
「ごちゃごちゃいわなくていい。確かに全部ぶん殴ってやると思って銃を置いてきたのは落ち度だ。とにかく良いって言われるまでついてまわればいいんだろ。そのくらい余裕だよ」


「ありがとうございます。では速度を上げましょう」

 戦闘空域に接近するに従って状況が見えてくる。
 どうやら二式飛行艇はラロス4機程度に襲撃を受けているみたいで、現在はラロス相手の回避行動で速度が落ちたところにケファラスの2機編隊が接近しつつある。
 どうやらネウロイ側としてはケファラスに拠る攻撃が本命の様だ。
 ラロス程度ならば飛行艇とは思えない速度と火力で凌ぐ事ができても中型機からの火力の集中を受けたらかなり危ないだろう。
 これは普段から菅野さんが信条としている「デカイ奴から黙らせる」という戦術が生きてくる状況だと思える。
 注意深く無線に集中し、戦況を分析しながら具体的な攻め方を組み立てていく。
 ラロスは撃墜を期待せずに牽制だけして本命のケファラスを叩くべきですね。

「飛行中の二式飛行艇へ、こちら第502統合戦闘航空団の下原少尉です。これより貴機の護衛に入ります」

 通常視界でその形状が判別できる大きさになったところで通信を入れると歓声のような返事が返ってくる。
 当然の事ながら私たちウィッチに対する期待はとても大きい様だ。それに応える為にも失敗は許されない。

「下原、飛行艇はわかるけど敵が見えねえぞ。大丈夫か?」
「大丈夫です。私には見えています」

 二式飛行艇の銃座の死角に入り込もうとするラロスに向かって射撃を見舞う。
 旋回中の射撃は案の定外れたけれど、追い照準で放たれた栄光弾を認識したらしいラロスの動きが変わり、明らかに消極的になっていく。
 そのまま加速をかけて飛行艇の背後へと抜け、更にその向こうを目指す。

「お、おい、下原、飛行艇周りの敵、落とせてないぞ!」

 そう言いながら私の背後から離れようとする菅野さん。

「離れちゃダメです」
「なにっ!」
「二式飛行艇ならラロス相手に落とされる事はありません。本当に危険なのはこの先にいる中型機です」
「でもっ!」
「まずでかい奴を黙らせるのが菅野さんの信条ではありませんか?」
「くっ……わかったよ。信じる。確かにそれがオレのやり方だ」

 昼間の如くはっきりとした視界の中、接近しつつあるケファラスに対して真っ直ぐ突っ込んでいく。
 銃だけで仕留めるのはなかなか苦労する相手だけれど、今日のわたしは菅野さんがいる。
 私が全力でシールドを張りつつ射撃を行って攻撃をひきつけ、その隙に菅野さんにピンポイントシールド攻撃をしてもらえば中型機程度なら一撃で落とせるだろう。
 打ち合わせは無いけれど、ここまで私を信じさせて引っ張ったのだから今度は私が攻撃役の菅野さんのことを信じる番だ。
 かなり離れた場所からシールドを張る。
 暗闇のなかで光り輝くシールドを展開したお陰で私はいい的だ。
 火力が集中し、断続的な衝撃に揺さぶられる。
 こちらも負けじと銃撃を行い命中弾を出すが撃墜に至らないまま距離だけが縮まっていく。
 そして、間合いが十分に詰まる。

「今です!」
「おおおおおおおおおおおっっっ!!!!!」

 十分に引き絞られた矢の如く、私の背後から下面を抜けて菅野さんが突っ込んでいく。
 その速度は零戦とは思えない程の鋭い加速で、右腕には集束されたシールドが強烈な青い輝きを放っている。


 菅野さんの加速の直後、ケファラスとの衝突を避けるために私は上昇しその上面を航過する。
 菅野さんは完全に正面からの衝突コースだけど……。
 その衝突の瞬間に十分に溜めた一撃が機首の正面へと炸裂する。
 相対速度はエネルギーへと変換され、ネウロイを構成する物質が右拳の強烈な青い輝きに喰われるかのようにひしゃげ、潰れていく。
 ケファラスは機首部分を抉られつつ、つんのめるようにして前転してから錐揉みに入り、暗い海へと落下。
 横目で菅野さんの攻撃を受けたケファラスが撃墜確実である事を確認し、健在な方のケファラスを探す。
 さほど距離が離れていないお陰ですぐに視界内に捉える事ができた。
 それは下手な回避行動をとらず、機首を下げ気味にして運動エネルギーも利用した加速で一直線に二式飛行艇へと向かう進路を取っていた。

「流石です菅野さん! でも、ネウロイはまだやる気です。いけますか?」
「おうよ! まかせろっ!」

 私の呼びかけに弾んだ声が返ってくる。
 今の一撃で菅野さんもいつもの調子が出てきたようだ。
 旋回してもう一機の背後につけたところで菅野さんも先ほどと同じ私を盾にする位置へとつけてきた。

「盾にしちまって悪いな、下原」
「いえ、初めからこうするつもりでしたんで大丈夫です。さぁ、後面から同じ様に行きます!」
「おうっ!」

 ヘッドオンで無理に攻めた一機目と違って背後をとって攻める事の出来た二機目には余裕を持って当たる事ができた。
 接近の過程で銃座を潰しながら加速をかけ、菅野さんへと攻撃の指示。
 既に呼吸を掴んでいたのか私が想定したタイミングよりもより早く、それでいて最適な出足で拳を振り上げて突進する菅野さん。
 飛行艇の方からは攻め手の本命ケファラスの窮地を救うべくラロスがこちらへと殺到しつつあったけれどもう遅い。 
 小柄な菅野さんの体がネウロイの腹側から背へと抜け、大きな衝撃を受けたケファラスは胴体に開いた大穴のせいで自らの身体を支えるだけの強度を失い、ばらばらになりながら暗い水面へと落ちていく。
 あとは不利を悟って逃走に移るラロスと、きっと今の状況を視界外から指揮していた電探能力持ちのネウロイが残されたわけですが……下手なことを言うと菅野さんが「そいつを探して叩く!」とでも言い出しそうなので伏せておきましょう。

「下原、残りが逃げるぞ!」
「ええ、これで輸送機は安全です」
「あ……っと、それもそうだった。積荷は無事か!?」
「まずは搭乗員の無事を確認しましょう」

 苦笑しながら窘める。
 こうやって熱くなるとちょっと周りが見えなくなっちゃうのは菅野さんのよくない所なんですよね。
 でも、あちこち弾痕はあるけれど飛行は安定しているようですし、怪我人はいても戦死者はいないみたい。
 本当によかった。



 ――――


 無事にペテルブルグまで二式飛行艇をエスコート。
 出発時に心配した不具合も発生せずに無事に基地へと帰還。
 地上に降りたあとは私は輸送機の荷物の確認に向かい、菅野さんはサーシャ大尉に連行されて正座でお説教タイム、と思いきや……。

「こいっ! 下原!」
「えっ?」

 サーシャ大尉の元を逃げ出してきたらしい菅野さんが私の手を引いて走り始めた。
 驚きながらついていくけれど、どうやら行く先は同じ二式飛行艇みたい。
 そのまま息を切らしながら運び出し途中の荷物の中へと分け入って荷物を物色し始める。
 途中手伝おうとした私を遮り、それでいて搭乗員達の助力を得て目的のものを見つけ出すとその表情が喜びに彩られる。
 手にしたのは30cm四方程度の大きさの木箱。
 それを持ってこちらへと走りこんでくる。
 いつの間にか私の横には腕組みしたサーシャ大尉が立っていて、それに気付いた菅野さんは一瞬だけ怯みつつも私の前まで辿り着く。

「下原っ! これ!」

 と、勢い良くわたしの目の前に差し出されたのは小さな木箱。
 開かれたその中には白い小さめのお団子が並んでいる。

「え? これは?」
「ね、姉様……アネキの手作りのお団子だ。お前料理上手いだろ。だから、どうせならうちのね……アネキの味を覚えてもらおうと思ってさ。それに、兎には十五夜にお供え物をしたいじゃないか」
「菅野さん……。この為にいつも以上に一生懸命だったんですね」
「ん、まぁこの先美味いもんが食えるようになるんだからな、あたりまえだろ」

 ちょっと恥ずかしそうに目線を逸らしながらそう呟く菅野さん。
 すごく……かわいいです。

「ありがとうございます!」

 深々とお辞儀と共に感謝の言葉を口にする。
 頭を上げたあと、私はたまらず菅野さんに抱きつきたくなったけれどなんとか思いとどまってその団子を一つつまみ、口に放り込んだ。
 扶桑からここまでの日付のこともあってちょっと表面が硬くなっている部分はあったけれど、ほんのりと甘くてとても美味しい。

「すごくおいしいです、お姉さんのお団子」

 私がそう笑顔で返すと菅野さんはまるで自分の事の様に得意げな顔で頷いて笑顔になる。
 聞こえた小さな溜め息にふと横を見るとサーシャさんもやれやれしょうが無いといった風情で微笑を浮かべている。
 この分だとお説教とお仕置きは軽めで済みそうですね。
 私が待っていた荷物の中に菅野さんの誕生日に合わせて色々つくろうと思っていた材料が入っていたということは今のところ内緒にしておきましょう。
 誕生日のお料理、楽しみにしていてくださいね、菅野さん。


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