circle


「最近、こうして二人で居る事が多いな」
「そうか?」
 食後、食器を片付けながら話し合う二人。
「大尉二人揃っての食器洗いなんてね~」
「何だ堅物、気味が悪い。ただの洗い物だろうが」
 言いながら食器をてきぱきと洗って片付けていく二人。
 トゥルーデの手を見たシャーリーが気付いた。
「あれバルクホルン、指輪は?」
「こう言う水仕事の時は、指輪は外すに決まってるだろう。間違えて水に流してしまったらどうする?」
「まあ、そうだよな」
 暫くの無言。
「バーベキューが食べたいな~」
「いきなり何だ、リベリアン」
「この前話してたじゃないか。バーベキューの事。あんたも教わりたいって言ってたじゃないか」
「バーベキューについては確かにそう言ったが、食後の直後に言わなくても良いだろう」
「何かね……」
 言いかけたシャーリー、うん? と疑問を顔に出したトゥルーデの間に割って入る小柄なロマーニャ娘。
「シャーリー、お腹空いた!」
「ほら、こう言う事」
 シャーリーは抱きついてきたルッキーニをあやすと、トゥルーデに言った。
「何かうまく誤魔化された気がするが」
「でも良いじゃんトゥルーデ、今度バーベキューやろうよ」
 エーリカもいつの間にか話の輪に加わっていた。厨房の一角が賑やかになる。

「で、バーベキューとはどっちのバーベキューなんだ」
 食器洗いを全て済ませたトゥルーデは、食堂の椅子に腰掛けシャーリーの答えを待った。
「へえ、堅物はいつの間にバーベキューに詳しくなったんだい?」
「前に色々話したろ。網とか鉄板の上で豪快に火柱を上げるのが『グリル』で……」
「そうそう。専用のバーベキュー専用グリルでじっくり火を通すのが、ホンモノの『バーベキュー』! 分かってるじゃないか」
「この話はリベリアン、前にお前から聞いたんだぞ」
「そうだっけ?」
「ドラム缶を半分に切って装置も作ってただろ」
「ああ。……そう言えば。あれブリタニア基地に置きっぱなしだった。ロマーニャに持ってくれば良かったか?」
「また作ればいいじゃん」
「そうだな、こっちでもまた作るか」
 ルッキーニに言われ、ノリノリのシャーリー。
「さてバルクホルン、バーベキューの何から話をしようか」
 目を輝かせるシャーリー。
「いや、そこまで詳しくなくても。とりあえず手軽に出来る方でも良いじゃないか」
「まあ、そっか。みんなでわいわいやるのも良いね」
「じゃあ、どっかから鉄板か網調達して来ないとな」
「エンジンオイルまみれの鉄板は勘弁だぞ」
「扶桑の肝油じゃあるまいし、良く洗えば大丈夫だって」
「私、お芋スライスしたの焼きたい」
「ハルトマンは芋好きだな~。まあ、野菜焼くのも良いけどね」
 シャーリーが色々頭の中でプランを練る。
「我々はソーセージを用意しようじゃないか。焼いて食べるのに適しているのは何だったか……」
「美味しければ何でも良いよ、トゥルーデ」
「いや、確か最適なのが有った筈なんだが……こらやめろエーリカ、くすぐったい」
 エーリカから首筋にキスされ、笑みがこぼれるトゥルーデ。
「見せつけるな、こんちくしょー」
「じゃああたし達もやる?」
「競うもんじゃないし。とりあえずバーベキューだバーベキュー」
 盛り上がるシャーリーとルッキーニ。

「何だか楽しそうね。お喋りサークルみたい」
「本当だな。……しかし、補給が暫く来ないと言おうと思ったのだが、何やら言いにくい雰囲気だな」
 トゥルーデ達の様子を見て、食堂に入るのを躊躇うミーナと美緒。
「どうしましょう」
「現地調達、と言えば良いんじゃないか? 気分転換にもなるだろう」
「それは良い考えね、美緒」
 ミーナは微笑むと、食堂のドアを開けた。

end



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