前向きエルマさん


「はぅぅぅ…」
「どうしたんダ?エル姉」
「元気ないけど、どうした?」

訓練を終え、基地に戻ってきたエイラとニッカ。
その基地の食堂に置かれた大きなダイニングテーブルでエルマはうなだれていた…。

「今日ですね…軍の教官の採用試験があったんです」
「あ、それ今日だったカ」
「で、どうだった?!」

すると、首を横に振る。

「はぁ…どうせ私なんて…私なんて」
「げっ、元気出せよナ!」
「そうだそうだ!またチャンスはあるんだろ?」
「…そうですよね!前向き前向き!!!」

と急に自分の頬を叩き出すエルマ。

「今回落ちたのはたぶん、私の体調が十分でなかったのかもしれません!」
「うわあ…なんて前向き…」
「次回こそ!」
「なあ、教官になってそもそも何がしたいんだ?」
「何って…もちろん新人のウィッチを指導してこの国を守ってもらいます!」
「うんうん」

ニッカは頷き、エルマは意気揚々と話しかける。

「私が指導したウィッチが活躍して…全世界からネウロイが消滅してほしいですね」
「だな、教官になったらやっぱ実績を上げて欲しいなぁ」
「いつか『美人過ぎる教官』として全世界に知れ渡るようになりたいです!」
「うんうん…え?」
「そして、教官として5年くらい活躍して…自叙伝書きます!ワニブックス辺りで!」
「おーい…飛躍し過ぎだぞ…?」
「教官を引退して、女性誌でセミヌードを披露したいです!」
「え、エル姉脱ぐの?!」
「はい、それなりの覚悟は出来てます!」

若干、呆れるニッカ。
エイラはと言うと、あからさまに「興味ナシ」と言った感じで近くのソファーで雑誌を寝ながら読んでいた。

「いや、エル姉…良い意味で…良い意味でだよ?ほら、癒し系でしょ?」
「え!?グラビアに挑戦しろと??!!」
「違う違う!カウハバ基地の癒し系だからさ…そんなね、アクティブに活躍しなくても良いんじゃ…」
「え…他の部隊で活躍すれば良いって話ですか?」
「だぁーっ!!違う、だからっ!!教官としてではなく、もっと今のまんま他に軍で貢献出来ると言うか…」
「広報ですね?!いつか『さんま御殿』にも出てみたいです!」
「なんでタレントに転身しちゃうんだよ!?」
「一度出てみたかったんですね~」
「そんなの知りたくもないし、興味もない!イッル、お前からも何か言ってやれ!!!!」
「えぇー…私?」

めんどくさそうに、読んでいた本を閉じて顔をこちらに向けると...














「なあエル姉、自分が思ってる以上にそんな『出来る』人間じゃないゾ?」
「………」
「イッル………それ、言い過ぎ…」

それから半日、エルマは自室に籠って泣いていたという…。


【おわれ】


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