virtual rabbit
「あけましておめでとうございます、シャーリーさん」
「おー宮藤か。ハッピーニューイヤーだな。おめでとさん」
「聞いて下さいシャーリーさん、今年はシャーリーさんの年なんですよ」
「なんだいそりゃ。また扶桑の風習か何かかい?」
「卯年なんですよ、今年は」
「はあ……ウサギ、ねえ。確かにあたしの使い魔はウサギだけど」
「だから今年はシャーリーさんの年なんです!」
「そう言われても、いまいちピンと来ないね。なんかあたしに関係あるのかい?」
「さあ……どうでしょう……」
「あっははは、宮藤、私の胸凝視してるな! 素直だなあ宮藤は!」
「えっそんな事ないです! たまたまです」
「そうやってリーネの胸も見てるから……」
「ちっ違います! とにかく、今年はシャーリーさんの年って事で」
「うーん……まあ、良い意味で覚えとくよ。ありがとな宮藤」
「それでですね、シャーリーさん」
「ん?」
「今年はきっと良い事有ると思うんです。例えば、すっごい早くなるとか」
「速くって……またストライカーで音速越え出来るとか、か?」
「もしかしたらジェットストライカーに乗れるかも知れませんよ」
「それは楽しみだね。でもあたしはもうちょっとレシプロで頑張ってみるよ」
「そこで、いつもスピードの為に頑張ってるシャーリーさんの為に、今日はこれをご用意しました!」
「おお、ありがと……って何だい、この布……随分と派手だけど」
「扶桑の晴れ着ですよ」
「晴れ着? ……それがスピードと何か関係あるのかい?」
「袖の形状が飛行機の翼に似てるって、坂本さんが言ってました」
「何、それは本当か?」
「はい。……酔っ払いながら」
「おい、何か急に信憑性が怪しくなってきてるぞ。大丈夫か?」
「大丈夫です、ものは試しで一度着て下さい」
「……まあ暇だし良いけど。なんか下着っぽいの付けたり、面倒だな……この太い布は?」
「それは帯です」
「ベルトじゃないんだ」
「恥ずかしくないですよ」
「なんだそりゃ」
「大丈夫です、私、お母さんから着付けも教わってますから……わあ、シャーリーさんステキです、似合ってます!」
「……なんか胸が苦しくてちょっと重いけど、うん。まあ、思ったよりは動けるかな?」
「さあ、是非飛んでみて下さい!」
「よし、新年最初のフライトと行くか!」
「頑張って下さいね! 私が速度計測しますから!」
「ああ……宮藤。やっぱりダメだったよ」
「あうぅ、残念です」
「どうも服全体が重くて……デッドウエイトになってる感じがしてね」
「そうですか……」
「ちなみに扶桑で、これを着て飛ぶウィッチとか居るのかい?」
「お正月には居るんじゃないでしょうかねぇ」
「何、そのアバウトな答え」
「とりあえず、色々貪欲にチャレンジすると良いと思います!」
「ポジティブなのは良いんだけど、年始早々あたしで遊んでないか?」
「気のせいです」
end