cherry and berry II


 あれから何時間……いや、何日経ったのだろう。芳佳は茫洋と考えを巡らせた。
 でも。
 窓もなく、仄暗い石造りの部屋の中では、日暮れも朝も感じ取る事は出来なかった。
 何より、両手をベッドに縛られ、目隠しがされたまま。このまま何も出来なく、何も見えなくなるのでは、と思うと辛い。
「芳佳ちゃん、おはよう」
 甘い声が耳元から聞こえる。思わず首をすくめると、声の主は優しく芳佳の頭を撫で、頬にキスをした。
「そんなに怯えないで。まるで生まれたての子犬みたい」
「だって……」
「芳佳ちゃん、何処にも行かないから、私安心出来る」
 服が微かに擦れる音。声の主が芳佳の横たわるベッドに腰掛けたのだと推測する。
 今度は何をするの、サーニャちゃん?
 芳佳はぼんやりと、そんな事を考えていた。
「まずは、ちゃんと食事を取らないとね。あーん……」
 言われるままに口を開ける。きゅっと押し込まれたのは……恐らくサンドイッチ。
 ハムとレタスのさっぱり感が、場違いな程新鮮で、あっという間に食べてしまう。
「芳佳ちゃん、食いしん坊なんだから。でも、ちゃんと食べてね」
 頷く前に、また口に押し込まれる。鼻で息をしながら、急いで噛み、ごくりと飲み込む。
 ふふっ、とサーニャの笑う声が聞こえる。とても楽しそう。
「芳佳ちゃん、子犬みたい……可愛い」
 つつーっと、肌をなぞられる。びくりと肩を震わせる芳佳。
 肌を伝ったサーニャのか細い指は、とある所で止まり、肌の弾力を確かめる。
 胸の膨らみを、むにむにとつつく。
「少し、大きくなった?」
「私、分からないよ……」
「じゃあ、分かるまで、頑張ろう?」
「えっ……ひゃうっ!」
 サーニャが芳佳の胸に手を当て、じっくりと、優しく揉みし抱く。
 先端の突起に指をかけ、くりくりと玩ぶ。芳佳は何処かリズミカルなその動きに翻弄され……、
一度は復活した理性が、また飛びそうになる。
 ちゅうっと、サーニャは芳佳の乳首を吸った。舌の上で、転がす。
 段々と先の方が固くなるのを感じる。
「いやぁ……サーニャちゃん」
「恥ずかしくないよ? だって私と芳佳ちゃんだけの秘密だもの」
「でも……んあっ……だめ……だめっ……」
「何がだめなの?」
 悪戯っぽく囁くサーニャ。
「だって……サーニャちゃん……うあっ……私、また……ううっ……」
 堪える芳佳。理性が快楽で消し去られない様に、歯を食いしばって抵抗する。
「そう言う芳佳ちゃんも、可愛い。私、好きよ」
「だからって、どうして縛ったままで……」
「芳佳ちゃんが逃げちゃうから」
「どうして……あっ……いやっ……」
 サーニャは芳佳の身体を撫で、揉んだ。唯一自由に動く足で抵抗するも、まるで蛇の様にするりとかわされ、
そして絡め取られ、動きが取れなくなる。
「芳佳ちゃん、胸だけでイッちゃういやらしい子だもんね」
 サーニャの一言。そして芳佳の敏感な場所へ伸びる手。じっとりと汗ばんだ芳佳の身体は、既に理性を失い
快楽に溺れたまま、サーニャの手中にあった。微かに躍動する身体。
「だめ……だめなの……いやああ……あ。ああっ……あー……」
 よだれを垂らしたまま、芳佳は乳首を硬くしたまま、絶頂のスイッチが入り、がくがくと身体をびくつかせる。
 また、イッちゃった……。
 芳佳はぼんやりと、恥じらいと身体の疼きとが入り交じった感情で、サーニャの声のする方に顔を向ける。
「芳佳ちゃん、可愛いよ」
 キスをされる。舌が絡む。芳佳は“あの日”以来、サーニャを肌で感じ耳で聞くしかなかったが、
それでも全てをありのままに受け容れる。
 逃げられないから。
 それとも、逃げたくないと言う邪念にも似た気持ちが、少しでも有るのだろうか?
 だが答えを出す前に、サーニャは次の行動に移った。
「じゃあ、次は……」
 サーニャはだらしなく伸ばされた芳佳の足を取り、太腿を舌で舐めた。火照った身体、うっすらと汗ばむ肌に、
まるで吸い付くかの様に、芳佳を味わい、舐め取っていく。
 サーニャは芳佳のヴァギナに手を伸ばし、軽やかなタッチで玩ぶ。
 すすん、とサーニャは匂いを嗅いだ。
 僅かな音を聞き、芳佳は声を上げた。
「や……。やめて。匂い嗅がないで……お風呂入ってないし、臭うし」
「芳佳ちゃんの身体。少し酸っぱいね。でもチーズにも似た感じで……何のチーズだろうね」
「そ、そんなの良いから……」
「今度のサンドイッチにはチーズ入りだね」
「どうして……ひゃっ!」
 芳佳は腰を浮かせた。サーニャが突然芳佳の敏感な場所にキスして、そのまま舌を入れてきたから。
「やめ……やめて……だめえっ!」
 サーニャの舌はまるで魔術の様に魅惑的で……腰の力が抜け、そして気付くと腰を僅かに振っている自分に気付く芳佳。
「だめなの……そこだけは……やめて……」
「芳佳ちゃん、そこだけって本当?」
 サーニャはふふっと悪戯っぽく笑うと、芳佳のお尻に手を回し、撫で回した。その指は芳佳の尻穴へと向かう。
 それを触覚で察知した芳佳は逃げようとするも、間も無くサーニャに掴まり、なすがままになる。
「芳佳ちゃんのお尻……小さいけど柔らかくて……それでいて引き締まってて好き」
「サーニャちゃん」
「私のもの。芳佳ちゃんは全部私のもの」
「そんな……」
「だから……」
 サーニャは芳佳を、前も後ろもきゅうきゅうに責め立てた。まるで演奏するかの様な指使い、舌使い、リズム。
 芳佳は、やめて、と繰り返したが、身体は快感に浸り、リズミカルに腰が浮き、前と後ろの秘所をぐいぐいと、サーニャに押しつける。
 サーニャは舌で芳佳のクリトリスをちょっと持ち上げ、唇でふにゅっと噛んだ。同時に、アナルに入れた指をぐいと奥に挿し込む。
 たまらず芳佳は悲鳴に近い嬌声を上げた。
 またも全身が痙攣し、前からはぽたぽたと愛液が垂れる。足先がつった様に固まり、びく、びくと震える。
 びくつく身体。止まらない。止めてくれない。
 でも、もっと……。もっとして欲しい。
 理性は既に薄れ、気持ち良さだけを追い求めるケダモノへと変化していた。
 縛られたままの腕もそのまま、足もだらしなく投げ出し、大事な部分も解放したまま。
「もっとぉ……」
 芳佳は、小さな声で、震えながら言った。
「芳佳ちゃん、もう一度。良く聞かせて」
「サーニャちゃん……私……」
「はっきり言ってくれたら、もっと気持ち良くしてあげる」
「サーニャちゃん……お願い。もっと、もっとして」
「何をして欲しい?」
 サーニャは芳佳を抱くと、涙とよだれを垂らし、だらしなく喘ぐ芳佳にキスをした。
 はうっと芳佳が声を出し、だらしなくサーニャへの懇願を繰り返すと、サーニャはくすっと笑い、芳佳の身体へ覆い被さった。
 間も無く、芳佳は声を出した。サーニャの名を呼び、そして激しい快楽の悲鳴。
 繰り返される情事。サーニャの楽しみは、芳佳の悦びにシフトする。

end


I:1474
III:1491

コメントを書く・見る

戻る

ストライクウィッチーズ 百合SSまとめ