せなかのうえで
「あの、ごめんなさい…」
「いいっていいって。気にすんなよなー」
私はさっきまでの自分を思い出して自己嫌悪に陥っていた。
登校中に憧れのあの人とたまたま会って、一緒に自分たちの教室へ向かって歩いていた時のこと。
あの人と話すのに夢中になっていた私は階段を踏み外してしまい、足を挫いてしまった。
転び落ちそうになった体は抱き留めてもらったり、挫いた足のことを気遣っておんぶをしてもらったり……。
そう、おんぶだ。
お話だけでも十分嬉しくてドキドキしていたというのに。こんなにくっつい――。
「ほら、ちゃんとつかまって」
「え!? あ……はい…」
はう。心臓がすごくドキドキいってる……。
聞こえてないかな? ううん、きっと聞こえてる。
それでもいい、かな。
あなたを想う私の気持ちが少しでも伝わらないかな、なんて。
いい匂い…。そしてとってもあったかい……。
あなたはいつもあたたかくて。ぽかぽかと私を包み込んでくれる。
あなたが私を気にかけてくれて。私はあなたを目で追うようになって。
ううん。
きっと、初めて会ったあの時から、ずっと
…大好き。
「あっ、あのさっ!」
「は、はい!」
「わた、私も…その……」
「…?」
「す、す……」
「す?」
「す、う、ああああああああああああ!!!」
「ふぇ!?」
「今日も一緒に帰ろうな! な!?」
「は、はい! …えっ!?」
「あー…だめ…?」
「いえ! あの、嬉しいです!」
「へへ…。じゃあ、決まりな!」
「はいっ!」
END