ウィッチーズ劇場 シンデレラリーネDX
(語り手:ミーナ)
むか~しむかし…あるところにリネットという胸が大きい、可哀想な女の子がいました。
リネットのお母さんは生まれてすぐに死んでしまい、お父さんはミーナというカールスラント人と再婚しました。
「たっ、隊長がお母さんだなんて…っ」
「リーネちゃん!!もう物語始まってるよ!!;;」
ゴホンッ…ミーナには、トゥルーデとエーリカという2人の連れ子…ちょっと!私まだ18よ?!
「ミーナ、落ち着け」
「でも美緒!」
「愚痴なら後でたくさん聞いてやる」
「…もう…」
連れ子が2人居て、お父さんが生きているうちは仲良くしていました………が!
お父さんが死んだ途端、ミーナは財産を全て自分達の物にしてリネットには襤褸を着せて、まるでメイドの様にこき使っていました…。
「まるで鬼ね…」
「いやあ、ミーナ合ってるかもよ~」
「…エーリカ、後で私の部屋に来なさい…」
「ってエイラが言ってた」
「わっ、私カヨッ??!!」
そして、トゥールデとエーリカはいつもリネットを虐めていました。
「ゴホン…リーネ、スマン…これはセリフなんだ。きっ、貴様…なんてけしからん乳をしているんだ!」
「アハハ…どーしてロクな物を食べていないくせにおっぱいが大きいんだろうね…トゥルーデ姉さん♪…あ、お姉ちゃん」
「その言い方はやめろ!!!」
そしてトゥルーデとエーリカはいつものようにリネットの胸を、まるでパン生地の様にこねくり回して弄んでいました。
「ひひひ…どうだどうだ~っ!」
「やめて下さい…トゥールデ義姉さん、エーリカ義姉さん………ちょっとハルトマンさん、台本では『フリ』だったのに本気で揉むのはやめてくださ~い(泣)」
「あ、ミー…お母さんが帰ってきた!」
ドレスの包みを抱えたミーナが帰ってくると、トゥルーデとエーリカに向かってこう言いました。
「明日、お城で舞踏会があります。ひょっとすると、芳佳王子の目に留まるかもしれません!二人とも、頑張っておめかしして舞踏会に備えましょう!」
「みやふ…芳佳王子が私のモノに!よし…芳佳…よしっ…よしホーッ、ホアーッ、ホアアーッ!!!!」
「トゥルーデ落ち着いて!!;;」
「お義母様…ドレスの包みが3つありますが…」
とリネットはミーナに聞きました。
「これは私の分です。もしかしたら美緒国王の目に留まって側室に…(ジュルリ」
「うわ~、ミーナ半分マジだよ…」
「そうそうリネットさんにはカラス豆を選別して貰います」
リネットはがっかりしました。
「リネット!さぼったら承知しないからな!」
「けっこう毛だらけ~リネット灰だらけ~♪」
「…ぐすっ」
2人の義姉はリネットに追い討ちをかけるような事を言い、包みを抱えて自分達の部屋に向かいましたとさ…。
そして舞踏会の夜…リネットはかわいそうに1人残って泣きながらカラス豆を選別していました。
「残らせたのはミーナじゃ~ん」
「だから黙ってろ、エーリカ!」
「へ~い…」
「ああ、わたしも舞踏会に行きたいわ。芳佳ちゃ…芳佳王子さまに、お会いしたいわ」
でも、シンデレラのボロボロの服では舞踏会どころかお城に入る事も許されません。
その時、どこからか声がしました。
「泣くのはおやめなさい!!!!」
「キャッ!?不法侵入!!??」
「現実的ダナ、このシンデレラ…」
「だっ…誰ですか?」
「私はペリーヌ。誇り高き妖精ですわ!」
「リーネさん、アナタははいつも仕事をがんばる、とても良い子ですね。そのごほうびに、このワタクシが舞踏会へ行かせてあげましょう………あんな38歳に坂本少佐を取られるだなんてたまったモンじゃありませんわっ!!」
「あは…あははは」
…ペリーヌさん、後で私の部屋に来てくださいね。
「ゴホン…ではリネットさん、畑でカボチャを取ってくださいまし」
「はっ、はい!」
魔女に言われた通り、リネットは畑からカボチャを取って来ると魔女はそのカボチャを魔法のつえで叩きました。
「トネール!…ラピエルッ!!!!」
凄まじい雷光とともに、そこには………
「ウジュー…私はシンデレラ役やりたかったよぉ~!」
カボチャがどんどん大きくなり、何と黄金の馬車(正確にはルッキーニさんがカボチャの着ぐるみを)になったではありませんか!
「あつい~あ~つ~い~」
「ゴメンね、ルッキーニちゃん…後で冷たい飲み物作ってあげるね…」
「なんでぺったんこが継母役じゃないの~?」
「なっ!!しょうがないでしょう!!それに何です?!そのあだ名!!」
「ぺったんこはぺったんこじゃ~ん」
「2人とも!!今は…ケンカはよした方が…」
ゴホンッ…ペリーヌさん、続けて。
「ごめんなさいわ、えと…まだまだ、魔法はこれからですわ!さてと、馬車を引くには馬が必要ですわ。その馬は、どこにいるのかしら?」
すると魔女はポケットからウサギを取り出しました。そして先ほどと同じように、
「トネール!…ラピエルッ!!!!」
凄まじい雷光とともに、そこには………
「えと…この扱いは流石に酷いと思うんだけどなあ…」
ウサギは立派な白馬(正確にはシャーリーさんが馬の着ぐるみを)になりました。
「これって特別手当出るんだよな?隊長」
え、ええ…まあ…シャーリーさん!今はこれに集中して!
「おっといけね、ヒッ…ヒヒ~ン!!」
「さあリーネさん!これで舞踏会に行く仕度が出来ましたわよ」
「うれしいです!ありがとうございます!…でも、こんなドレスじゃ」
「あぁ、もう!一度で仰いなさい!もう!」
「す…すいません…」
魔女がまた杖を叩くと、みすぼらしい服はたちまち輝く様な純白の美しいドレスに変わりました。
同時に、小さくて素敵なガラスのクツもくれました(ここ、重要!)。
「さあ、楽しんでおいでませリーネさん。でもワタクシの魔法は12時までしか続かないから、それを忘れないこと」
「わかりました~!ペリーヌさ~ん、ありがとうございま~す!」
そうして、リネットは馬車に乗り芳佳王子の居るお城へ向かいました…。
その頃、お城ではダンスパーティーが催されていました。
「ウジュー…私たちは一人何役なの~?」
「がーまんだ、ルッキーニ」
「と言うか私もダゾ…それにしてもサーニャ、ドレス似合ってるゾ!」
「エイラも…タキシード服似合ってる…」
「…お2人さん、イチャつくのはロビーでやってくんないかなあ?」
「ねえシャーリー!あそこにあるオードブル食べようよ~」
「そうだなあ………って、ペリーヌ!お前いつの間に魔女役からウェイター役に変わったんだ?!」
「うるさいですわねえ…人手が足りないですの!」
「ほえ~っ…ペリーヌ、胸が小いさいから男の服が似合うね~!」
「なななな何ですの??!!」
ゴホンッ…
さて、お城の大広間にシンデレラが現れるとそのあまりの美しさにあたりはシーンと静まりました。
それに気づいた芳佳王子が、シンデレラの前に進み出ました。
「うわあ…リーネちゃん、綺麗~っ!!」
「あ、ありがとう芳佳ちゃ…王子さま…」
「えと…ミーナ隊長、セリフなんでしたっけ??」
「おいミヤフジー、ちゃんと台本読んどけヨー」
「あ、思い出しました思い出しました!!ぼくと、踊っていただけませんか?」
「宮藤宮藤宮藤宮藤宮藤…」
「トゥルーデ、セットの柱が壊れちゃうよ…そんなしがみついたら…」
リネットはとてもダンスが上手でした。
王子はひとときも、シンデレラの手を離しません。
楽しい時間は、あっという間に過ぎてハッと気がつくと12時になる15分前です。
「あっ、いけないわっ!…おやすみなさい、王子さま」
「えっ、リーネちゃん??!!」
リネットは丁寧にお辞儀をすると、急いで大広間を出て行きました。
ですが、慌てた拍子にガラスのクツが階段にひっかかってガラスのクツが脱げてしまいました。
「あっ!!」
12時まで、あと5分です。
カラスのクツを、取りに戻る時間がありません。シンデレラは待っていた馬車に飛び乗ると、急いで家へ帰りました。
シンデレラの後を追ってきた王子さまは、落ちていたガラスのクツを拾うと王さまに言いました。
「ぼくは、このガラスのクツの持ち主の娘と結婚します」
「わっはっは…そうか宮藤ぃ!なら結婚する前に訓練だぁ!」
「えぇぇっ??!!さっ、坂本さん…」
次の日から、お城の使い(エイラさんとサーニャさん)が国中を駆け回り、
手がかりのガラスのクツが足にぴったり合う女の人を探しました。
「ムリダナ」
「エイラ…」
「だって王子もムチャ振りダゾ?こんな何千軒もあるのに…」
「私も手伝うから…」
「キョ、今日ダケダカンナー」
そしてお城の使いはリネットの家にもやって来ました。
「さあ2人とも!このクツが足に入れば、あなたたちは王子さまのお嫁さんよ」
「うわあ…ミーナ、お母さん役が染みついてるね」
「………っ」
「おおおいエーリカ!!どれどれ!私から履いてみよう!!」
「…お願いだからトゥルーデ、履く『フリ』をしてよ?魔力解放とかして壊さないでね」
「…;;」
二人のお姉さんたちは小さなガラスのクツに足をギュウギュウと押し込みましたが、
どう頑張ってもガラスのクツは入りません。
「わ~無理だ~(棒読み)」
「残念ながら、この家には昨日の娘はいないようダナ」
そう言ってお城の使いが帰ろうとした時、リネットが現れて言いました。
「リーネさん、どうぞ…」
「何をバカな事を言っているんだ!!」
「えと…そうよ、あたしたちにも入らないのにあんたなんかに(棒読み)」
「もっと力を入れて演技しろ!」
「え~…だってだんだん面倒くさくなってきたんだも~ん」
「あ…」
すると1人の使いが小さな声をあげました…
「当たり…ダナ」
リネットが履いてみると、ガラスのクツはピッタリです。
みんなは驚きのあまり、口も聞けません。
するとそこに、ペリーヌさん扮する魔女が現れます。
「あらあら、わたしの出番ですわ」
魔法の杖を一振りすると、リネットはたちまち眩しいほど美しいお姫さまになっていました。
「「「あっ、あのリネットが??!!」」」
「………バルクホルン大尉、今ちょっとタイミングがズレたロ?」
お母さんと二人のお姉さんたちは、ヘナヘナと腰を抜かしてしまいました。
それからシンデレラは王子さまと結婚して、いつまでも幸せに暮らしました。
めでたしめでたし………。
***
「…やはりやめましょう」
「えぇっ??!!」
「うん、そもそも主役がリーネって時点で地味なんだよね~。やっぱ主役はこのエーリカちゃんじゃなきゃ」
「酷いです、ハルトマン中尉」
「じゃあ私やる~っ!!!!」
「ルッキーニはカボチャの馬車役でじゅうぶ~ん」
「はああ…」
リハーサルの終えたステージにて、ミーナはその場で座りこむ。
「地域貢献の一環として、近隣の村の子供に見せようと思ったけど…こんな劇は見せられないわ!」
「わっはっは、ならば私が能を舞おう」
「え?!坂本さん、舞えるんですか??!!」
「舞えん!」
「と言うか、おっぱい揉む童話なんて聞いたことないわ!!」
「しかし、ミーナ…予算かけてセットや小道具を作ったんだぞ?」
「中止よ、中止!」
「私とエイラが協力して台本書いたのに~」
「そうダゾ!本来はもっとリーネがあんな目やこんな目に遭うシナリオだったんダゾ?!」
「エイラ…」
「………頭痛いわ、私は横になってます。それと、エーリカとペリーヌさんは後で私の部屋に来なさい」
【おわれ】