Magic Waltz


基地にはピアノが設置されている。ミーナ隊長の趣味で用意されたピアノだ。
暇があるとサーニャは、このピアノに張り付いて延々と曲を弾き続ける。
有名なクラシックからジャズ、ポップスに至るまで何でもこなす。気分のままに即興で曲を作る事も多い。
エイラはサーニャのピアノを聴くのが好きだった。

気だるい日曜の午後、エイラはピアノの音に誘われて音楽室のドアを開けた。
「ここにいるのかサーニャ?」
部屋の中を覗き込んだエイラが絶句した。
サーニャのピアノに合わせて、無数の花びらが部屋の中を渦を巻いて舞っている。
「な、なんだコレ?」
そよ風に舞う無数の花びらを目で追いながら、エイラはサーニャの隣に腰を下ろした。
「どう? 素敵でしょ?」
ピアノを弾きながらサーニャが尋ねた。
「うん…でもコレは?」
「Magic Waltzという曲よ。1900という名前の人の曲」
「いや、曲名じゃなくて…」
言いかけたエイラが部屋の片隅に目を留めた。
「ハルトマン…?」
部屋の隅でハルトマンがクスクスと笑っている。
「気づくのが遅いよエイラ」
「何やってんだ、こんなとこで?」
「演出。Magic Waltzって曲にピッタリでしょ?」
「うぐぐ…確かに悪くはない」悔しそうにエイラが言う。
「村の人達に招待されて、次の日曜日に公民館で演奏することになったの。その練習よ」
サーニャが慌てて説明した。
「地域貢献の一環ってやつ。ミーナ隊長の命令でもあるんだよ」ハルトマンが補足する。
「そうか、それなら私も協力するぞ!」
「いいけど、エイラは何か楽器が弾けるの?」ハルトマンが意地悪そうに言う。

「私はDJ兼MCパーソナリティをやる! スターライトストリームで慣れてるから安心していいぞ」
「えっ?」


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