ロマーニャ19XX 秘密


 なだらかな曲線の白い素肌へと、深い色のどろりとした液体を、垂らす。

「ッ!」
「熱い?」

 硬いベッドの上に横たわって、苦悶の表情を浮かべる、目隠しをされた金髪ショートカットの少女。

「んんっ……へ、へいき……だか、らっ……続けて、いいよ……さーにゃん」
「返事が、違う」

 あっという間に上気してほんのりと赤みを帯びた丘陵へと、さっきよりも多めに溶けたチョコを垂らす。

「あっ! ああああっ!!!」

 耐え切れずに少女が叫ぶ。
 手足が自由なままにもかかわらず、私のその苦悶の施しから逃げるようなことはしない。
 うん、たまに返事の仕方を間違えるけれど、これは良くしつけられたワンちゃんだと思う。

「ワンちゃんの返事はそうじゃないわ」
「……わんっ、わんわんっ」
「うん、いいお返事にはご褒美」

 ご褒美に、このワンちゃんの大好きなお菓子、チョコを上げる。
 ベッドの横に置かれた台。
 その上の携帯型コンロにくべられた鍋。
 はられたお湯。
 そこに浮かぶもう一つの鍋。
 二重の鍋の中で溶けた熱々のチョコレートを大きめのスプーンですくって、わたしより浅い胸の谷間からおヘソにかけて、垂らした。

「ひっ! うああっ!!」

 目の前の子犬は大きな声をあげながらも肌を茶色で彩られるという行為にシーツを強く掴むことで耐える。

「いっぱい食べていいのよ、ワンちゃん」

 更に断続的に垂らす。
 私よりも控えめな胸も、おヘソのくぼみも、みんなチョコの茶色に染め上げる。

「うぁっ! あっ、つぅ……うあああああああああ!!!」

 熱いチョコを大量にかけられた私のワンちゃんが悲鳴をあげる。
 こういう声を聞くと、とても胸の奥、体の芯の方が熱くなってくる。
 すごく、心地良い。
 目の前であられもない姿を晒す年上の中尉の姿に劣情を煽られながらも、心の何処か冷静な部分が、いつから二人の関係はこうなってしまったんだろうと自問自答する。

 どちらからともなく――ううん、きっと話しかけてくるのはいつもハルトマン中尉だから、彼女の方からだったと思う――お互いの愛する人の話から性癖の話になって、何度かその話題を経る内にお互いに自分の中にある異常な部分に気づいた。
 わたしにはどうやら嗜虐癖があって、ハルトマンさんには被虐癖がある。
 でも、お互い愛する人にそんな事を求める事なんて出来ない。
 わたしは自分が満足するためにエイラにひどいことなんて出来ないし、ハルトマン中尉も自分を大切にしてくれているバルクホルン大尉に自分を傷つけるような事はさせたくない、と。
 そして、ハルトマン中尉が放った言葉「ねぇ、二人で試してみない?」それが発端だった。
 はじめはおしりを叩いたりすることから始まって、ハルトマン中尉の苦悶の表情、痛みと周知のないまぜになった喘ぎに心のそこから興奮を憶えて、今日という日にはこうしてエイラとバルクホルンに贈るために用意したはずのチョコで、こんな事をしてる。

「おっぱいもおヘソも、茶色く染まっちゃった。まるで天使のチョコレート掛け」
「わんっ」

 その甘くて香ばしい色をまとった小さなふくらみの頂点へと、前触れもなく口をつけた。

「ふあっ!? んっ……あぁん」

 ワンちゃんが驚く。
 目隠しをしているのだから当たり前かもしれない。
 わたしはその反応に僅かな満足感を得ながら、あとに続いて響いてくる喘ぎ声と、舌先に広がる甘さをゆっくりと味わう。
 そして、じっくりと舌先と唇を使って優しく甘噛みと愛撫を繰り返した。
 痛みではなく、ただひたすら気持いと思える行為を刻んでいくうち、わたしの唇と口元への汚れと引換に乳房全体のチョコが取り払われ、綺麗になる。

「くぅん」

 舌を離した事によって寂しくなったのか、ワンちゃんが鼻にかかったような声を上げた。
 大丈夫。
 寂しくないよ。
 もっと、よくしてあげるから。
 左手で優しく頭を撫でた。

「んんっ」

 安心した様に小さく喉が鳴らされた。
 そのタイミングを見計らって、チョコの取り払われた胸へと熱いチョコをぼたぼたと落とした。

「ひぎっ!!!! あつっ! あついよぉっ! あああああっ!!!!!」

 一度火傷して過敏になった場所へのチョコはさすがのワンちゃんでも耐えられずに胸を庇って背を向ける。

「だめよ。いいって言うまで胸をかばっちゃダメって約束だったでしょ」
「で、でもっ……」
「ワンちゃんは人の言葉を話さない」
「う、ううっ……わん」

 少し強い口調で注意するとちゃんとワンちゃんの返事をしてくれる。

「いい子……。いい子にはいっぱいチョコをあげるけれど、約束を守れない子にはお仕置きが必要だよね」
「わんっ」

 頭を撫でながらの言葉には一番素直な返事が返ってくる気がする。
 わたしは暫くそうしてからワンちゃんの脚を持ち上げて開かせた体勢で拘束した。
 拘束する間、ワンちゃんは不安そうにしていたけれど、今のわたしにとってはその気配すら心地良いものでしか無い。
 割開かれた股間に指で触れてツルツルのそこを数度なぞる。

「んっ……ぅう……」
「ご褒美とお仕置き、両方いっぺんにしてあげる」
「え……」

 股が開いているにもかかわらずいまだにふっくらとした肉の壁に包まれて開ききっていない幼さの残るソコを、指で開く。

「ココに」
「ま、まって……」
「犬は喋らないよ」

 粘膜にチョコを垂らした。

「ひああああああああっ!!!!!!!」

 想像通りの悲鳴に全身が熱くなる。

「ワンちゃんらしくしていられたらご褒美。出来なかったらお仕置き。その自由な手で、わたしのする事を邪魔してもお仕置き。出来るでしょ。お互いが望んだ事なんだから」
「ああっ……はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……わ、わんっ」

 従順なその態度に満足して、更に興奮。

「いい子。その調子。ほら、これはご褒美」

 再び、粘膜にチョコを垂らす。

「きゃうううううううううっ!!!!!!!」

 嗜虐壁を満たす叫び、匂い、空気。
 それらの隙間、ふとした瞬間に蘇る僅かな後悔。
 でも、ワンちゃんが心のそこから悦んでいる事を理解できてしまう身としては、ここで中途半端なことは出来ない。
 だから、決めたところまでは突き進む。
 胸と同じように舐めて、きれいにして、また不意打ちでたらして粗相をさせて、もっときついお仕置きをして……。
 お互いの本当のパートナーで満たせない心を満たそう。
 唇を合わせるキスだけはNGで、でもそれ以外のいろんなコトをして、身体の奥に点った官能の火を燃え尽きるまで燃やし続けよう。

 そうすれば、余分なものがなくなった二人は再び炎が燃え広がるまでは、本当に好きな人の隣に居られるのだから。


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