過保護エイラさん


ここは部屋中、占いグッズなどが溢れているエイラとサーニャの部屋。
ネウロイの奇襲もなく、急きょ全員非番となり暇を持て余した隊員たち。
そんな中、エイラはベッドで寝ながらタロットカードで遊んでいた最中であった
急にサーニャがこんなことを聞いたのだ...

「何ダヨ、このタロットカード破れかけてるじゃんかヨー」
「ねえエイラ…」
「ん?どうしたサーニャ?」
「子供ってどうやって出来るの?」
「ハ…?」
「『愛の結晶』って何?」
「…ダッ、誰から聞いたンダ??!!」
「ハルトマンさん…」


***


「ハールートーマーン!!!!」
「ん~?何~?」

エイラは急いで、居間でダラっとしていたエーリカを呼びとめる

「オッお前、サーニャになんてコトを!!!!」
「え、何?なんか私、変なこと吹き込んじゃった?」
「吹き込むも何も…サーニャがあんな突拍子にもない事を言うはずネエダロー!!」
「ん~…思いつかない!じゃっ!」
「待てハルトマン、何処に行くんだ?!」
「え~と、ミーナに頼まれてた領収書の整理?みたいな」
「オイオイオイオイ!!!!」
「はあ…」

エーリカは急に手を額にのせ、ため息をつく...

「エイラって、将来は良いパパになると思うよ」
「ハア?」
「んじゃ。わ~たしに~でっきること~♪」
「待て、何処行くンダ!?」

意味深な言葉を残し、何処かへと行ってしまったエーリカであった...






























そして、また夕飯後に事件は起こる。

「ナア宮藤ぃ、サーニャ知らないカー?」
「サーニャちゃんならさっき、ルッキーニちゃんとハルトマンさんと一緒に居間に居たような…」
「ゲッ…」

薄々、嫌な予感を感じながらもエイラは居間へ向かう。
やはり予想通り………、

「ウジュー!おっきい!」
「これって…すごい」
「うん、大きいねえ!私もこんなんになりたいねぇ!!」
「…ッ!!ハルトマン!!!!」
「あ、エイラだ」

エーリカを囲むように、ルッキーニとサーニャは本を読んでいた

「エイラ」
「エイラ、どうしたの?顔真っ赤にしてさあ」
「どうしたも何も…お前、サーニャに何てモノを見せてるンダッ??!!」
「エッチな本」
「見りゃ分かるヨ!!」
「バッカだなあ、エイラ。このサーニャんの性教育はこのエーリカ先生に任せておきなさい!」
「アホらし。サーニャ、戻るゾ」

無理やりサーニャの腕を引っ張ろうとすると、

「…嫌」
「へ???」
「サーニャはねー、今日はあたしと一緒に寝るのぉー」
「じゃあエーリカちゃんも~!」
「おいおい、待て待てルッキーニとハルトマン…どうゆう事ダ?」
「どうゆう事って…こうゆう事。おやすみ、エイラ」
「サーニャ…サーニャぁぁぁぁ…」

その場で立ちつくしてしまったエイラであった...


***


「ううっ…うううっ…」
「泣くなってエイラ…」

何故かエイラはシャーリーに慰められていた...

「だって…だって私なんかもう必要ないンダ…ううっ」
「あぁもう面倒臭いヤツだなあー」
「何か言ったカ?」
「ううん、別に」
「ぐすっ…サーニャに捨てられたら私、私はどうやって…」
「極論過ぎんだろ!?」
「まだわからないの?エイラ」
「えっ…」

いつの間にか、エイラの背後にはエーリカが居た

「旦那、何かコイツに言ってやってくださいよ」
「おうおうおう…おうエイラ」
「何だよ、その打ち合わせしたようなやり取りはサ」
「今までサーニャの意見って聞いたことある?」
「そりゃあもう…いつもサーニャの頼みごとなら何でも聞いてたサ」
「ウッソだ~!じゃあ本当はサーニャはツナのサンドイッチが食べたかったのに、エイラが勝手にハムのサンドイッチを持って行って食べさせてたってことは無かったと言い切れるの?」
「うっ…」
「もちろん、エイラは好意で持ってきてるから断れないよなあ」
「他にも、まだまだ。1人で落ち着いてサウナ入りたいのに下心アリアリなエイラが勝手に入ってくるんだよ?」
「まっ、まさか!サーニャに限ッテ!!」
「言い切れるのぉ~?」
「うっ…」
「他にもサーニャはEXILEかCHEMISTRYは選択しきれなかったかもしれない。けどエイラは勝手にコブクロを…」
「もう良いよ!しつこい!!つまり何が言いたいんだ、ハルトマンは」
「はあ…だから、たまにはサーニャもエイラも、一人になる時間が大切だって話。そして最近のエイラは『お節介』や『押し売り』の度が過ぎてるかな~って」
「…お前らにサーニャの何が分かるンダ!」

…怒り気味で部屋を出て行くエイラ。

「おい、待てって」

急いでシャーリーが追いかける

「落ち着けってエイラ」
「落ち着いてられるカ!!」
「あー…これ、ハルトマンには秘密な」
「秘密?」
「まあハルトマンとサーニャって最近仲が良いじゃん?」
「あぁ…」
「サーニャから相談を受けてたらしいんだ」
「ハルトマンに?」
「あぁ。もちろんエイラも大事に想ってるけど、最近私に付きっきりでエイラは他の人とあまり交流が少なくなってきてるってな」
「サーニャ…がか?」
「ああ。だからハルトマンは一念発起!…あえて引き離そうとしたらしいんだ」
「ご、誤解シテタ…」
「お前がサーニャが好きなのはわかる、けど…自分や相手を『思いやる』ってのも大事だぞ」
「…ありがとう、シャーリー。なんかムカムカしてたからサ」
「いんや、礼を言うのはハルトマンにな」
「サルミアッキでも贈るか、お菓子好きだって言ってたしナー」


***


翌日

「ねえエイラ…」
「どうした?サーニャ」
「私、欲しい物があるの」
「そうかそうか!じゃあ私が………ううん、何でもナイッテ」
「だから今日もお休みをもらって買い物に行って来ようと思うの」
「ソウカソウカ…私は行かなくても大丈夫カ?」
「大丈夫。エイラはゆっくりしてて」

やはり少し心配したエイラは玄関までサーニャを送り出すことにしたが…

「………」
「おー、リーネ。どうしたンダ?」
「これ…何なんでしょう…?」

入口付近でただ呆然と立っていたリーネ。リーネの視線の先には…

「………」
「………」

この間送られてきたジャガイモの入っていた空き箱を何個か利用して工作され、それが積み上げられている物体があった

「…なんだこれ、『無人契約機 ナンボちゃん』?ナンダコレ?」
「コノ度ハ、『無人契約機ナンボちゃん』ヲゴ利用頂キマシテ誠ニグラシアス」
「わっ、喋ったゾ!?この箱!!」
「この無人契約機、なんか訛ってる…」
「そこをツッコむのカ?!…と言うかサーニャ!こんなの無視して早く行くんだ!!」
「うん…じゃあ行ってくるね、エイラ」
「おっ…おう!」

そうしてサーニャは走って外へ出かけて行ったのであった...

「ゴ利用ハ、計画的ヌ」
「…もう良いぞ、ハルトマン」
「あ、バレてた?」

箱の山から出てくるエーリカ

「これさあ、昨日ルッキーニとシャーリーの3人で徹夜して作ったんだよね~!危うくトゥルーデに壊されそうになったけどさ」
「ったく…」
「たまにはさ、サーニャサーニャだとサーニャんの何処が好きなのか忘れちゃうよ?」
「余計なお世話だっての!」
「素直じゃないんだからさあ~、トゥルーデじゃあるまいしぃ」
「けど…」
「けど?」
「あ…ありがと…ナンダナ」
「はは…あはは!ムリダナ~!!」
「ぐぬぬっ!!ハルトマン!!!!」
「サーニャん、何買ってくるか楽しみだね~♪」
「そうダナ」



そうして、サーニャは昼過ぎには帰ってきた。

「あれ、無人契約機ナンボちゃんは…?」
「あれはどうでも良いンダ!!で、サーニャ!ケガとか無かったか?!」
「うん、無事」
「良かったぁ…」
「はい、これ」
「…ん??」

サーニャは買ってきたと思われる、ギフトを渡したのであった。

「私にカ??!!」
「うん…開けてみて」

若干手が震えながら、エイラはギフトの包みを開ける。そこには…

「新しいタロット…?」
「うん、今使ってるのずいぶん使い古してたみたいだから…やっぱりいつも使ってるのじゃないと、ダメ?」
「いやいや!全然!全然これでOKダヨ!!うわあ…素直に嬉しいナア」
「…ハルトマンさんに相談したら、タロットが良いんじゃないかって」
「へ???」
「いつも、エイラに面倒を見てもらってるって感覚だったから今度は私がって…」
「面倒を見るって…介護じゃあるまいし…」
「でも気に入ってくれたなら、嬉しい…」
「ホンットに嬉しいサ!ありがとナ、サーニャ!」
「エイラ…」


「ニシシシシ…」

柱の影から2人の様子を見ていたエーリカ
そしてその後ろにはルッキーニとシャーリーも居る。

「ウジュー、ハルトマンもっとイタズラしないのー?」
「おいおい、今一番良い所なのにイタズラってまあタライがエイラの上に落ちてきたら『笑い』的には美味しいな」
「エイラのリアクション芸が見たーい!!」
「そうゆうのはペリーヌで我慢しとけ、ルッキーニ。…なあハルトマン」
「ん~?」
「お前って…一体何なんだ?」
「私?天使だよ!」

これぞ、まさに『EMT』である…。


【おわれ】


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