Double Angels
「トゥルーデ! 誕生日おめでとー」
3月20日、私は今日が誕生日のその人の背中めがけて思いっきりハグをする。
トゥルーデは最初ビックリしていたけど、抱きついてきたのが私だと分かると振り向き、優しく微笑んでくれた。
「ああ、ありがとうエーリカ……って、何だその格好は!」
「天使だよ。見て分からない?」
今私が身に付けているのは白と水色をベースにした露出度の高いトップスとベルト、それに輪っかと羽の装飾。
そう、早い話が天使の格好をしているというわけだ。
「いや、だから何でそんな格好をしているのか聞いたんだ」
と、腕を組み困ったような表情で訊ねてくるトゥルーデ。
「えへへ、可愛いでしょ? この前の休日に買ってきたんだ。もちろんトゥルーデの分もあるよ。はい、これ」
私は自分が今着てるのと同じ衣装をプレゼントとしてトゥルーデに渡す。
「一緒に着よ」
「こ、断る! 何で私がそんな格好を……」
う~ん、やっぱりそんな簡単に着てくれないか。
いいもんね、それなら無理矢理着せちゃうから。
「へへ、ちょっとじっとしててねトゥルーデ」
「お、おいエーリカ! いきなり何するんだ!」
私はトゥルーデの軍服を脱がして天使の衣装を着せていく。
トゥルーデも抵抗しようと思えば出来たはずなのにそれをしないって事は、私と密着してるのがまんざらでもなかったのかな。
「後は輪っかを付けてと……よし、これでOK!」
「エーリカ、やっぱり私にはこんな格好似合わないと思うが……」
天使の衣装を纏ったトゥルーデが恥ずかしそうに頬を染めながら俯く。
ねぇトゥルーデ、その表情はちょっと卑怯じゃないかな?
「もう……トゥルーデ可愛すぎ」
「エ、エーリカ!?」
気が付けば私はトゥルーデの事をぎゅっと抱きしめていた。
着替えさせた時よりも一層お互いの肌と肌が密着する。
トゥルーデの胸に耳を当ててみると、激しい胸の鼓動が聞こえてきた。
「トゥルーデ、すごくドキドキしてるね……」
「あ、当たり前だ、大好きなエーリカにいきなり抱きしめられたんだから……」
「え?」
不意にトゥルーデに大好きと言われ、私も思わず顔が真っ赤になってしまう。
「どうした、顔が真っ赤だぞ?」
「うぅ、トゥルーデの意地悪……」
私がそう呟くと、トゥルーデは悪戯っぽく頬笑みながら私にキスをしてきた。
「トゥルーデ……あぅ」
「ふ、可愛い奴め」
そう言いながらトゥルーデは、右手を私の肩に回して左手で私の太ももの辺りを撫でてくる。
「トゥルーデ……あぁっ……んっ」
トゥルーデに撫でれるのがあまりにも気持ちよくて、私はつい普段出さないような声を洩らしてしまう。
それを聞いたトゥルーデは一層激しく私の太ももを撫でてきた。
「エーリカ、すごく綺麗だ」
「ひゃっ……んっ」
トゥルーデはそれからしばらくの間私の太ももを撫でた後、今度は私のベルトの中に自分の左手を侵入させてくる。
ちょ、ちょっと待って! 今私ズボン穿いてないからそんなところ撫でられたらやばいって!
「ひゃっ……トゥルーデ、そ、そこっ、ダメ……あぁん」
「な!? 何でお前はズボンを穿いていないんだ!?」
「な、何でって、いつも通り見つからなかったから……ぁんっ」
私がそう応えるとトゥルーデはぴょこんと使い魔の耳と尻尾を出して、私をベッドに押し倒した。
「へ? トゥ、トゥルーデ?」
私がトゥルーデの顔を覗き込むと、彼女は顔を真っ赤に紅潮させていた。
「全く……お前は私をどれだけドキドキさせれば気が済むんだ」
それはこっちの台詞だよ、私だってトゥルーデの傍にいるとドキドキが止まらないんだから。
それにしても、今日は随分積極的だねトゥルーデ。
ひょっとして、誕生日だから気持ちが舞い上がってるのかな?
「いいよ、今日はトゥルーデの好きにして」
私のその言葉を聞いて、トゥルーデは顔を更に真っ赤にさせる。
「……どうなっても知らないぞ」
そう呟きながら、トゥルーデは左手を再び私のベルトの中に侵入させてきた。
「んっ……トゥルーデ……ひゃぁん」
「エーリカ、愛してる」
そう耳元で囁かれ、もう一度私の唇に自分の唇を重ねてくるトゥルーデ。
ありゃりゃ、どうやら私、トゥルーデの中で眠ってたワンちゃんを起こしちゃったみたい。
でも、こんなに元気ならまだまだ一緒に飛べるかもね。
ねぇトゥルーデ、来年の今日はどんな服を一緒に着よっか?
~Fin~