鋼の魔女はかく語りき


最初に言っておくよ。
私はあんた達が大嫌いだ。
戦う力も無いくせに口先ばかり達者で、私達ウィッチがどんな気持ちで、その青春時代を仲間の血と硝煙と自ら流した涙に染めたかなんて理解しようともしない。
繰り返すけど私は偉そうにふんぞり返って指示を出す事しか出来ない上層部も、それに媚びへつらう政治家も大嫌いだ。
でも、私は戦わなければいけないんだ。
でも、私は戦わなければいけないんだ。
人質にされている家族の為、死んでいった仲間の為、これから産まれてくる少女がウィッチとして戦わなくても良いように、私は飛べなくなっても戦い続けるんだ。
後の歴史に名を残すで有ろう彼女はこの様に前置きし、私に一冊の手帳を差し出し語り始めた。
彼女の許可を得てまずはその手帳の内容を記す。

美緒の表情が暗い。過日赤城が沈みその乗員が皆行方不明とし処理されたからだろうか?
一人ストライカーで帰還した彼女は何時もの豪放磊落な彼女ではなく、暗い影を帯びていた。
宮藤博士の墓所で泣きながら何か呟いていたそうだし心配だわ。
私は指揮官として最低だ。
副官の不調に気を取られていて新兵の不安に気付かなかった。
今も、彼女がブリタニア有数の資産家でありウィッチの家系の生まれで、その彼女を戦死させてしまった事によってブリタニア軍との折り合いが悪くなる事を打算的に考えてしまう。
此処まで読んだ時にふと彼女が話しかけてきたので、その言葉を挿入する。
なに青い顔をしかめてるのさ?
あんた達が興味津々な乙女の日記だよ。
もっと楽しそうに読みなよ。
おどけてみせるが彼女の瞳は全く笑っておらず、深い闇がのぞいていた。


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