tomato


クリス! ああ久しぶりだ! 会いたかった! 元気になったか? ……え、声が大きい? ああ、すまない、久々に会うから、ちょっと気持ちが。
繰り返し聞くが、元気になったか? ……そうか、だいぶ良くなってきたか。それは良い事だ。
リハビリも続けて、どんどん元気になるんだぞ。お姉ちゃんとの約束だぞ。私も頑張るからな。
……ん? 後ろのモノは何かって? ああ忘れていた。下ろして良いぞハルトマン。
今日は、クリスの為に、とあるものを持って来たんだ。健康に良いと言われてるもので……え、何だハルトマン。
『私にモノを持たせすぎ』じゃないかって? 何を言う、妹との再会を一秒でも早くと思う私にだな……あー、いや、すまない。
さて、この木箱に入っているモノなんだが……そう、これは、いや違う。トマトジュースだ。
トマトはクリスも知っているだろう? ジュースにして飲むと、身体に良いらしい。
もっとも、何事も食べ過ぎ飲み過ぎはダメだけどな。規則正しい食事、バランスの取れた食事が一番と言う事だ。
で、クリスの食事の中に、このトマトジュースを組み入れてみてはどうかと思ってだな……え、量が多いって?
そ、そうかな? とりあえず手持ちの金で買えるだけ買っただけなんだが……クリスもハルトマンも何故笑ってるんだ!?
まあ、とりあえず飲んでみると良い。早速……看護婦さん、申し訳無いがコップと栓抜きを持ってきてくれませんか?
ああ申し訳無い。

……さて、このトマトジュースはリベリ……いや、同僚のシャーリーがわざわざ故郷の国から取り寄せてくれたものなんだ。
さっきも言ったが、よく分からなかったので、手持ちの金を全部渡して頼んだのだが……ちょっと多かったか? まあいい。
ロマーニャのトマトでジュースにしないのかって? ロマーニャのトマトは調理用が多くてジュースでは飲まないらしい。
私も品種の違いはよく分からないが……色々有るんだろうな。
さて、早速飲んでみるといい。もっともっと健康になれるぞ。
……え? トマトそのまんまの味? そりゃまあ、トマトをジュースにしたものだからな。
塩かコショウで味付けしてみるか?
どれ貸してみろ。私も飲んでみよう。……確かにぬるいと味が微妙だな。冷やすと良いかも知れない。
後で看護婦さんに氷でも……どうしたハルトマン。……え。病院に迷惑をかけ過ぎだって?
そうか? 愛する妹の為に何でもしようと思うのは当たり前じゃないか。
クリスもどうした。何!? あんまり好みじゃなかったか? 身体に良いと聞いて買ったのだが……うーむ。
では、ひとケースだけ置いていこう。あとは基地に持って帰って、皆で飲むとしよう。
気にするなクリス。私もたまには勘違いというか、勢いでやり過ぎることがあ……何を言いたいハルトマン。
いつもの事じゃないかって? やかましい!
とりあえず、一瓶開けてしまったからには私が責任を持って飲むとしよう……こう、一気飲みの感じで飲めば……
ぶわっはははははは!
こーらーハルトマン! 飲んでる時に後ろからくすぐるとは何事だ!? さっきから何を……
はっ!? クリス!? どうしたその姿は!? 何で血だらけに? 一体どうしたって言うんだ!?
……私がトマトジュースを吹いたから? そ、そうか。済まなかった……ってハルトマン! お前のせいでクリスが!
とりあえず着替えだ。そして顔と頭を洗って……看護婦さん! 着替えと入浴を頼む!
え、今は入浴時間じゃないから無理だって? なら仕方ない。ハルトマン、基地にクリスを連れて帰るぞ!
何を言っている? 基地には少佐が作らせた立派な風呂が有るじゃないか。少し借りる位、ミーナだって許してくれる筈だ!
ストライカーはどこだ!? 何だエーリカこんな時に? 落ち着けって? 落ち着いていられるか? クリスがーっ!

……さっきは取り乱してすまなかった。普通にタオルで拭いて着替えれば良かっただけだったな。
クリス、何を笑ってる? ……何? いつも先走り過ぎだって? そんな事は無いぞ。私はいつだって冷静だ。
ハルトマン、何が言いたい? いつも通りだから問題無いって? あのなあハルトマン……、元はと言えばお前が!
まあ……、何だ……。色々と手伝ってくれた事は、感謝している。
こっこら! クリスの前で何を……

ど、どうしたクリス? ……え? やっぱり二人は、お似合いだねって?

ああ、そうだ。私にとってかけがえのない“家族”の一人だ。

end



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