ヘルマの出張 inアフリカ


「寒いとこと暑いとこ…どっちが良い?」
「へ???」

訓練途中にハルトマン中尉からこんな事を言われたであります。

「えっと…?」
「良いから。どっちが良い?」
「あ…暑いところであります」
「わかった」

その時、何がわかったのかよく知らなかったのでありますが………その結果、


***


【3日後】


「あ…暑いであります…」

飛行機がアフリカの空港に着き、タラップを使って降りた瞬間…ヨーロッパの気候と全く違う事にまず驚いた事であります!
汗を拭いても拭いても流れてくるであります、こんな事なら事前に半袖を着ておくべきだったでありますね…。

あ、この間盗まれたので新しい自転車を買いました!ヘルマ・レンナルツであります!(ビシッ













「あづい…」

どんな気候条件でも耐久出来るかどうか…という研究のため、今私はここに居るであります。
と言うか、立ってるだけで暑いとは何事でありますか!?なんかムカムカしてきた~!!

「おつかれ様ぁ」
「あ、シャーロット軍曹!お疲れ様です」

いつの間にか私の後ろにカースルラントのシャーロット軍曹が居て、

「いやあ…ホンット、暑いねえ…」
「やはり、ここに長く居ても暑く感じるくらいですか?」
「ヘルマちゃん…めっちゃ運悪いね」
「へ???」
「だって今年一番アフリカで暑い日だと思うよ?」
「………」
「しっかも世の中は節電ムードだし…ああ!もう暑い!!!!」
「落ち着いてください;;」
「じゃっ、これから私は戦車の試験だから」
「はい!…であります」

と会話をして、シャーロット軍曹は訓練へ行ったであります。
…でもまあ、知らない寒い場所よりは良かったです。だって…だってここには…っ!!!

「マルセイユ大尉が!」

そう…マルセイユ大尉が居るであります!


***


「あ…あそこでありますね…」

カメラを片手に、テントの横でコソコソしてる私…であります。
アフリカへ来る直前、ブリタニア経由でこっちへ来たのでありますが…クリスからのお願いで、マルセイユ大尉の生写真が欲しいと。

「IXY持っていくし~…何ちゃって」

軍部からこっそりと許可をもらって、借りてきたこのライカ!
カールスラントが誇る技術で、マルセイユ大尉を激写しようかと!

「つっ、使い方よくわからないであります;;えと…まずピントを合わせないと…」

そんな作業を、テント横でコソコソしていると…

「…あ、あのぅ」
「ひいぃぃっ??!!」
「きゃっ!」

そこには、

「あの…何をなされてるんでしょうか…?」

以前、何かの文献で読んだ『扶桑人形』のような顔立ち・格好の人が後ろから声を掛けてきたであります!」

「何もしてません!何もしてません、だから何もしてませんからっ!!!!」
「あの…まだ何も;;;」
「へっ??!!」
「あのぅ…どちら様ですか??」
「はっ?!」
「受付はなされましたか?」
「うっ、受付?;;」
「不審者…じゃなさそうですが…あ、もちろんマルセイユ大尉のファンの方で…?」
「まあ一応…そんなとこになりますかね;;;」
「じゃあこちらへ」
「へ??」

…と、その『扶桑人形』のようなお方に何処かへ連れて行かれるであります。
もしかして…拷問部屋?!

「あ、あの…別に、本当に悪気はなかったんです!!」
「???」
「なんで、本国に連絡だとかそうゆうのは勘弁してください;;;」
「いや…別に連絡などはしませんが…」

そしたらですね…とあるテントの前に連れて来られたであります!

「こちらで氏名や住所をお書きください」
「は…???」
「『マルセイユ合衆国』です」
「は…はぁ??!!」

…テントの上にはデカデカと、『マルセイユ合衆国』という文字が;;;
何でありますか?!これって…;;;

「これって…?」
「マルセイユ大尉って全世界に人気があるんですよね」
「ええ、知ってます…;;」
「私の上官である加東圭子少佐がファンが大勢来るのならこうゆうのを作ろうって」
「…;;;」

うわあ…こんな事、私が言うのもアレですが…軍人は公務員ですよ?;;
色々と法律に引っ掛かる気が…;;;

「おケイさんが『細けえ事はいいんだ』って言ってました」
「あのAAみたいに?」
「はい」

「…;;」
「あ、こちらに氏名と住所をお書きください」
「え、ああ…わかりました;;」

色々とツッコむべき所はありますが、言われた通り申込用紙に名前と住所を…

「むっ!?」

なんで収入を書く欄が…?;;

「あの…書きました…」
「確かに受け取りました。入場料が75エジプトポンドです」
「えっ?!入場料…取るんでありますかぁ??!!」
「ええ、まあ…」
「え~…っ;;;」
「あ、ドルでもマルクでも大丈夫ですよ?」

ちょちょちょ!扶桑円にして1000円って…高くないでありますかぁ??!!
…でもまあせっかく来たし。クリスへのお土産にも…まっ、しょうがないでありますねぇ…;;;

「わかりました、じゃあエジプトポンドで」
「かしこまりました」
「あ、一応領収書ください。『ウルスラ・ハルトマン』宛てで」
「はい」
「でも運良かったですね」
「はい?」

おつりを受け取ると、先ほどからガイド役になってる『扶桑人形』のようなお方がニッコリと。

「今の時間ならマルセイユ大尉、テントに居るかもしれないですよ!」
「えええ…マルセイユ大尉のプライベートを公開してるんでありますかぁ??!!」
「はい。機嫌が良ければ一緒に記念撮影も」
「うわあ…;;ディズニーランドのミッキーの家じゃあるまいし…」
「では、お楽しみください」
「今軽くスルーしたでありますよね?!」


***


入るとすぐに、豪華なテントが。

「…『マルセイユの部屋』って…そのまんま;;」

でもまあさすが、『アフリカの星』!
やはり優遇されてますねえ!

「ごっ、ごめんくださ~い…」
「ん?」
「あ…!」

ちょちょちょちょちょ!!!!
めっ、目の前に…マルセイユ大尉が!!!!

ほら、よくディズニーのミッキーの家へ入る前は
『はあ?なんでそんなのでテンション上がんの?』
って言うけれど、実際にミッキーと会ったら真っ先に
『ミッキー!!!!』
って叫んだり抱きつく人が居るじゃないですかぁ?それと同じ原理です!

「マルセイユ大尉ぃ~!!!!」
「おおっ、今日もまた濃いのが来たなあ」
「会いたかったでありますぅ~、ぜひ一緒に写真を!」
「おー、良いぞ!こっちへ来い!」
「はい!…でありますっ!!!」

先ほどの『扶桑人形』のようなガイドの方にライカを渡して、

「それじゃあ行きますよ~、はいチーズ!」

カシャッ!!

「あ、ありがとうございます!」

「こんなので良いのか?」
「はい!あと、サインを…っ!!」
「それは無理だ」
「…へ?」
「無理だ」
「…そこを何とか;;」
「無理」
「…何とかゴリ押しで;;」
「無理」
「………」

「マルセイユ大尉!」
「お、どうした?」

すると、さっきまで中にいて一旦外に出たと思った『扶桑人形』のお方が急いでテントの中へ入ってきたであります!
緊急事態でありますかね?!

「ネウロイです!小型ネウロイが3機確認されました」
「よし、わかった。ケイは?」
「既に無線などの調整をしています」
「急いで準備するぞ!…そこの子猫ちゃん!」
「わっ、私でありますか?!」
「ああ。ちょっと…厄介な客人が来た、ちょっとだけ席を外すぞ!」

走ってテントから出て行く大尉であります…

「あの…私も一応、ウィッチであります…;;;」

…でもこうやって地上から戦いを見てる場合じゃありません!


***


「すいません、ネウロイが確認されたって本当ですか?」
「ええ、まあ」

私はすぐさま実験場所へ戻り、

「じゃあ今すぐ私のジェットストライカーを」
「でもしかし!」
「私はウィッチであります!…このまま見過ごすわけにもいけません!」

きっ…決まったぁ!いやあ、カッコ良いなあ私ってば…。

「…わかりました。総員に告ぐ、今から出撃準備!」

部隊のリーダーがみんなを呼び、出撃準備をし出したであります。

10分もかからないうちに…、

「お気をつけて」

「はい!………シュバルツェカッツェ2番、発進するであります!!」

相変わらず暑いですが、出撃し…すぐさま大尉たちの戦っている場所へ!



「っ…!!クソッ!!」

どうやら苦戦していたようで…あ!大尉!後ろ後ろ!!
ネウロイの流れ弾が…!!

「わ、私の出番でありますよ~!!!!」

手に持っていた銃で………っ!


ターンッ!!!


命中!

「お、お前は…?」
「あ…先ほどはどうも」
「お前、ウィッチだったのか…?」

どうやらマルセイユ大尉は鳩が豆鉄砲を喰らった様子であります…

「なっ、なかなかの腕前だな…お前」
「はいっ!」
「名前」
「へ?」
「名前!教えろ!」
「はいっ!!第131先行実験隊『ハルプ』第三中隊所属のヘルマ・レンナルツ曹長であります!」


***


「れぇんなるつそうちょうでぇ…ありますぅ…」
「お客様…お客様?」
「からあげにはぁ…れもんをかけるたいぷでぇ…ありますぅ…」
「お客様!あの…」
「…っ!」

え…!?ここどこでありますか…!?

「え…ここ、どこでありますか?!」
「当機は無事アフリカへ着陸しました」
「ひっ…飛行機…?」
「はい。ぐっすりとお休みになられたようで」

周りを見渡すと、すっかり乗客の居なくなった機内。
えぇぇ…まさかの、このシリーズ作品始まって以来の夢オチぃ!?
だったらミーナ中佐との出来事も…夢オチに…;;;

「…申し訳ないであります。今すぐ降りる準備を」
「この度はご搭乗ありがとうございました」

CAさんを尻目に、急いでタラップを駆け下りると…

「ゲッ!?なんでありますか…!!」

『歓迎!ヘルマ・レンナルツ曹長』と書いた垂れ幕を持っている2人組が…;;
その垂れ幕の方へ行くと、右側の人が話しかけてきたであります。

「ヘルマ・レンナルツ曹長ですか?」
「いかにも私が…そうであります」
「私、カールスラント陸軍のシャーロット軍曹です。お迎えにあがりました」
「どっ、どうもであります!!!」

と、出迎えてくれたシャーロット軍曹と握手をしたであります。
むっ!?ニコニコと見ている左の人…どっかで見たような…

「あ…あっ!!」
「っ?!ど、どうかなさいましたか?!」
「アナタ!『マルセイユ合衆国』の!?」
「『マルセイユ合衆国』?えと…扶桑の稲垣真美ですがぁ…」

思い出した!『マルセイユ合衆国』のガイド役だった、あの『扶桑人形』のお方であります!!

「知り合い…ですか?」
「いえ…初対面です;;」
「…もしかして…あれは、予知夢?!」




そしてその後無事に7日間の、砂漠での実験を終了した私。
残念ながらもちろん『マルセイユ合衆国』はなく、そもそもマルセイユ大尉とは会えませんでしたが…

「えと…大尉の写真付きポストカード、プロマイド写真、缶バッチ、タオル、Tシャツ、クッキー、大尉プロデュースのCDに漬物…」

基地周辺のお土産屋で、クリスへのお土産に最適なグッズを購入。
やはり、お土産になるくらい有名なお方だから…私はまだまだ会えないのでありますかねえ…?

「ふう…」

そんな、ため息をついて本国へ帰った私であります…。




【おわれ】



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