お姉ちゃんって呼んで!
ここは501統合戦闘航空団ストライクウィッチーズの基地。何やら台所が賑やかです。中にいるのはバルクホルン大尉、ハルトマン中尉、シャーリー大尉のようです。
ハルトマン「へぇ~トゥルーデ、宮藤に“お姉ちゃん”って言われてそんな反応してたんだ・・・」(ニヤニヤ)
シャーリー「そうなんだよ、そしたらあいつの嬉しそうな顔ときたらさ・・・!プッ・・・ククク・・・」
バルクホルン「お、おい!その話はやめろと何度言ったらわかるんだ!」
ハルトマン「そう言って、本当はすごく嬉しいんでしょ、トゥルーデ?」
バルクホルン「べ、別に嬉しくなどない!ただ宮藤が強引に言ってきただけで・・・」
シャーリー「ふ~ん・・・そう思ってるんだ・・・それを聞いたら、宮藤きっと泣いちゃうかもしれないぞ?」
バルクホルン「なっ・・・!?」
ハルトマン「だよね~せっかくトゥルーデを励ましてあげようと思ってくれてる宮藤の純粋な気持ちを、トゥルーデは踏みにじっちゃうつもりなんだね・・・」
バルクホルン「ち、違うぞ!私は決して宮藤の気持ちをわかっていないわけではない!」
シャーリー「でも今の発言からして、そういう風には聞こえなかったよな?」
ハルトマン「うん、明らかにそういう風には聞こえない」
バルクホルン「くっ・・・貴様ら・・・!」
ガチャッ
芳佳「あの~どうかしたんですか?」
バルクホルン「なっ!み、宮藤!?」
芳佳「へ?バルクホルンさん、何ですか?」
バルクホルン「い、いや!なんでもない!」
ハルトマン「お、宮藤だ!ちょうど良かった!実はさ・・・」
バルクホルン「おい!ハルトマン!言うな!絶対に言うな!」
ハルトマン「え~?何で~?言っても良いじゃ~ん」
バルクホルン「ダメだ!絶対にダメだ!!」
シャーリー「まぁまぁ、かわいい妹の前だからってそうムキになるなよ、お姉ちゃん♪」
バルクホルン「黙れリベリアン!!貴様になど言われたくもないわ!!」
シャーリー「じゃあ宮藤に言われたらどうなのさ?」
バルクホルン「なっ・・・!?」
芳佳「え・・・?あぁ、ひょっとしてバルクホルンさん」
バルクホルン「ま、待て宮藤!言うな!言わないでくれ!!(本当は言われたいがこいつらの前では・・・!!)」
芳佳「お姉ちゃん♪」
バルクホルン「!!!!」
カァ――――・・・
ハルトマン「アハハハハハハハ!!トゥルーデ、顔真っ赤だ~!!」
シャーリー「ダ-ハッハッハッハッハッハッ!!ダ、ダメだ、息が・・・ククククク・・・!」
バルクホルン「くっ・・・貴様ら~~~!!!!」
ハルトマン「わっ!トゥルーデが怒った!」
シャーリー「宮藤!もう一回言ってやれ!」
芳佳「へ?じゃあ・・・お姉ちゃん!怒っちゃやだよ!」
バルクホルン「うぐっ・・・!」
シャーリー「お~、止まった」
ハルトマン「トゥルーデはホントにクリスに弱いな~、あ、宮藤に弱いって言った方が正しいかな?」
シャーリー「アッハハハハハハハハ!!そりゃ言えてるな!アハハハハハハ!!」
バルクホルン「くっ・・・貴様らさっきから調子に乗りおって・・・!」
芳佳「でもバルクホルンさん、そんなに困る事でもないんじゃないですか?」
バルクホルン「お前は困らないかもしれないが、私は困るんだ!!」
芳佳「そう、ですか・・・」
バルクホルン「うっ・・・なんだ宮藤・・・そんな、悲しむ事はないだろう?」
芳佳「だって・・・バルクホルンさんがクリスさんに会えなくて寂しそうだから、私、言ってあげてるのに・・・」
バルクホルン「そ、それは・・・」
芳佳「うっ・・・グスッ・・・」
バルクホルン「なっ!?お、おい!宮藤!?」
ハルトマン「あ~あ~、トゥルーデが宮藤泣かしちゃった」
シャーリー「ハルトマンと同じカールスラントのエースのくせに、妹にそっくりの女の子を泣かせちゃうなんて、やっぱりカタブツはカタブツだな~」
バルクホルン「も、元はと言えば貴様らが調子に乗ったのが悪いのだろうが!」
ハルトマン「でも宮藤泣かしたのはトゥルーデじゃん」
バルクホルン「うっ・・・!」
芳佳「うっ・・・あうぅ・・・」
シャーリー「お~、よしよし宮藤、泣くな泣くな、良い子だから笑ってくれよ、な?」
バルクホルン「おいリベリアン!どさくさにまぎれて宮藤に抱きつくな!」
シャーリー「うっさいな~、宮藤を泣かした本人にとやかく言われる筋合いは無いんだよ、カタブツは黙ってろよ」
バルクホルン「くっ・・・さっきからカタブツカタブツと・・・!」
シャーリー「じゃあ、お前から宮藤に謝れよ」
バルクホルン「い、言われなくてもそのつもりだ!」
シャーリー「だってさ、ほら、宮藤」
芳佳「はい・・・」
バルクホルン「み、宮藤・・・その・・・すまない・・・別に私は嬉しくないわけではないんだ」
芳佳「・・・本当ですか?」
バルクホルン「ほ、本当だ、ただ・・・他人の前ではあまりやらないでほしいんだ・・・」
芳佳「・・・はい!」
ハルトマン(お、笑ってくれた)
バルクホルン「・・・!!(ダメだ・・・やはりクリスに似ている・・・!)」
ハルトマン「うんうん、一件落着、だね」
シャーリー「みたいだな」
ハルトマン「それじゃあ・・・宮藤」
芳佳「はい、何ですか?ハルトマンさん」
ハルトマン「トゥルーデが人前で言われるのは恥ずかしいみたいだからさ・・・私の事お姉ちゃんって呼んでよ!」
バルクホルン「なっ!?」
芳佳「え~?何でそうなるんですか?」
ハルトマン「何だよ~?私だって妹いるんだよ~?」
芳佳「それは知ってますけど、ウルスラさんはウィッチだし、大丈夫じゃないですか?」
ハルトマン「心外だな~、私はあの子がウィッチだから心配なんだよ だから宮藤、言ってよ♪私の事お姉ちゃんって♪」
芳佳「でもハルトマンさんってあんまり心配性じゃなさそうですし・・・」
ハルトマン「そんな事無いよ~ これでも誰よりも心配性なんだよ~?ね~言ってよ~宮藤~」
芳佳「い、言えないです・・・」
ハルトマン「え~?何でだよ~?」
芳佳「バルクホルンさんじゃないと言えません・・・」
バルクホルン(み、宮藤・・・!)ジ~ン
ハルトマン「む~、トゥルーデは良くて、何で私じゃダメなんだよ~?」
芳佳「そんな膨れっ面になっても困ります・・・」
ハルトマン「む~・・・宮藤のケチ」
芳佳「ケチって言われても・・・」
シャーリー「アハハハハハ、まぁ、ハルトマンってお姉ちゃんって感じはあんまりしないもんな~」
ハルトマン「む~、シャーリーまでそういう事を・・・」
シャーリー「ならさ宮藤、私に言ってくれよ、お姉ちゃんってさ」
芳佳「え?でもシャーリーさんならルッキーニちゃんに言ってもらえば良いじゃないですか」
シャーリー「今は宮藤に言ってほしいんだよ、な?良いだろ?」
芳佳「う~・・・理由が無いから言えません」
シャーリー「何だよ~?強情だなぁ宮藤は」
芳佳「そ、そう言われても・・・」
バルクホルン「いい加減にしろ、二人とも 宮藤が困ってるだろ」
ハルトマン「邪魔しないでよトゥルーデ、取り込み中なんだからさ~」
シャーリー「そうだぞ、大体、お前だけお姉ちゃん呼ばわりされるのなんてちょっとずるいぞ」
バルクホルン「宮藤が言えないと困ってるんだ いちいちそういう事を気にする理由があるのか?」
ハルトマン「トゥルーデは人前で言われるのが恥ずかしいんでしょ?私達は別に気にしないもん」
バルクホルン「宮藤は言えないと困っているんだ かわいそうだと思わないのか?」
ハルトマン「ふっふ~ん、なら、私達のどっちかに言ってくれるまでやめないもんね~♪」
バルクホルン「あのな・・・」
ガチャッ
ミーナ「あら?どうしたのみんな?」
坂本「ずいぶんと賑やかだな、何かあったのか?」
シャーリー「お、坂本少佐にミーナ中佐」
ハルトマン「ふふふ・・・実はね・・・」
説明中・・・
坂本「ほお・・・そうだったのか、バルクホルンが宮藤に・・・」
シャーリー「そうそう、もうゆでダコみたいに顔真っ赤にしてさ・・・」
ミーナ「でも優しいわね、宮藤さんは いつもクリスを心配しているトゥルーデのためにそんな事をしてくれるなんて」
ナデナデ・・・
芳佳「えへへ、ありがとうございます」
バルクホルン(ミーナ・・・!宮藤の頭を撫でるとは・・・!私なんか一度もやった事ないのに!)
ハルトマン「でもさ~、トゥルーデだけ良いなんてずるいよ~」
バルクホルン「どうでもいいだろう、そんな事ぐらい」
ハルトマン「どうでもよくないよ~!」
シャーリー「とにかく、宮藤が私達の内の誰かに言ってくれるまではやめるつもりはない!あ、カタブツは抜きな」
バルクホルン「何故私は抜きなんだ!?」
シャーリー「だってお前さっき言われてたじゃん」
ハルトマン「だからトゥルーデは抜きだよ~♪」
バルクホルン「ふ、ふざけるな!」
坂本「まぁ落ち着けバルクホルン、とにかく宮藤が言ってくれればそれで済むのだろう?」
ハルトマン「うん、そうだよ」
芳佳(なんだか疲れてきちゃったな~・・・それにさっきから私、振り回されっぱなしだよ・・・)
ミーナ「宮藤さん、大丈夫?何だか疲れているみたいだけど・・・」
芳佳「あ、いえ、大丈夫です、気にしないでください」
坂本「宮藤、ハルトマンとシャーリーには言えないのだろう?なら、私はどうだ?」
芳佳「え?坂本さんですか?」
坂本「あぁ」
芳佳「う~ん・・・」
ハルトマン(ねえねえ、坂本少佐ならどうなんだろうね?宮藤は)
シャーリー(う~ん・・・あの宮藤の様子からして・・・)
芳佳「・・・ごめんなさい坂本さん、無理です・・・」
坂本「む・・・そうか・・・」
シャーリー(やっぱり・・・)
ハルトマン(ダメか・・・)
ミーナ「この際、宮藤さんにお姉さんって呼んでいいのはトゥルーデ限定でも良いんじゃないかしら?その方が・・・」
ハルトマン「ちょっと待った!」
ミーナ「どうかしたの?エーリカ」
ハルトマン「まだミーナが終わってないよ」
ミーナ「え?私は・・・」
シャーリー「確かに、少佐もやったんだし、中佐だけやらずに終わるのは納得いかないね」
坂本「うむ、そこは私も同感だな」
ミーナ「み、美緒まで・・・」
ハルトマン「とにかく!ほら、ミーナ!宮藤の前に立って!」
ミーナ「きゃっ!ちょ、ちょっとエーリカ!」
芳佳(あぁ・・・ミーナ中佐まで・・・どうしようかな・・・)
ハルトマン「さ、宮藤!言えるか言えないか、はっきり答えて!」
シャーリー「さすがに宮藤も疲れてきてるだろうし、中佐で最後にしてもらおうか」
芳佳(・・・もういいや)
ミーナ「あの、宮藤さん・・・」
芳佳「・・・お・・・」
バルクホルン(!!)
ハルトマン(おっ!?)
シャーリー(宮藤が初めて・・・!)
坂本(む・・・)
芳佳「お・・・お・・・」
ミーナ「・・・」
芳佳「お、おね・・・」
バルクホルン(み、宮藤!言うな!言ったらダメだ!!)
シャーリー(言うのか!?言うのか!?)
ハルトマン(言え!言っちゃえ宮藤!)
坂本(・・・)
芳佳「お・・・お・・・お・・・」
ミーナ(宮藤さん、顔が真っ赤に・・・無理して言う必要は・・・)
芳佳「・・・お・・・ん」
バルクホルン(!?)
ハルトマン(今言った!)
シャーリー(宮藤!聞こえるように!聞こえるように言ってくれ!)
坂本(・・・まさか・・・)
芳佳「・・・・・・お母・・・・・・さん」
ミーナ「!」
ハルトマン&シャーリー「・・・え?」
坂本(やはりな・・・)
バルクホルン(なん・・・だと?)
芳佳「お、お母・・・さん」
ハルトマン&シャーリー(また言った!)
ミーナ「宮藤さん・・・」
芳佳「あ・・・あ、あの、ミーナ中佐・・・」
ミーナ「何?」
芳佳「ご・・・ご、ごめんなさい!」
ガチャッ!タッタッタッタッタッタ・・・
ハルトマン「あ!宮藤!待ってよ!」
シャーリー「お~い!宮藤~!!」
バルクホルン「あ、こら!待て!二人とも!」
ガチャッ!ダダダダダダダダダダダ・・・
坂本「行ってしまったな・・・」
ミーナ「・・・」
坂本「・・・ミーナ?」
ミーナ「お母さん、かぁ・・・ウフフ」
坂本(宮藤・・・私ではダメだったのか?)
台所に残ったのは、芳佳ちゃんにお姉ちゃんと言われず残念そうに思う坂本少佐と、お母さんと言われて嬉しそうに笑顔を浮かべるミーナ中佐でありました。
終わり