無題
1937年スオムス 義勇独立飛行中隊隊舎、今日もまた、名物となった怒声とからかいの声が鳴り響く
「ハァールゥーカァー!待ちなさあああいい!!今日こそは刀の錆にいい!!」
「口ではいやいや言ってても~体はイエスと言っている~♪」
「いい加減にするね―もうそろめいわくねー、ウルスラもそう思うね―?」
するとおもむろに耳から耳栓が…
「ほんっと器用ね―」
「…おちついで1服すらできない…」
エルマに至っては…「ウェッ…グスッ…あのぉ、そろそろぉ…会議がぁ…フェェ」
カウハバは平和であった、その時までは…
スオムスにしては珍しく快晴の某日、要らん子中隊こと義勇独立中隊官舎に或る海軍士官が着任するこちになった。
「ハルカ、あんた誰来るか知ってる?」
と智子はハルカに尋ねると
「知りません!」と即答された。
「あ、あんたねぇ…」
眉を寄せながら智子は
「じゃエルマ中尉は知ってますか?」と聞くと
「えと…あの…その…すいません」
又しても即答された。
ハッキネン少佐に訊きに行くと「…リバウ3羽烏の1人だ。今はそこまでしか答えられない。」
と返された。
「リバウの3羽烏…?」
この呟きに反応したのは以外にもビューリングであった
「ジュンコ・タケイ ミオ・サカモト ヨシコ・ニシザワ の3人か…」
「竹井中尉と坂本大尉は知ってますよ!私の上官の上官ぐらいの方です!西沢兵曹長は…ううっ」
ハルカはどうやら苦すぎる思い出でも有るらしく半泣きになってしまった。
「その3人ってかなりの撃墜戦果上げてるんでしょ?何でこんな処に…」
智子が疑問を口にする前に
「それは私が答えよう」
とハッキネン少佐が出てきた。
「実は近々ラドガ湖根拠地に攻勢に出ることになった、その為にエースが1人2人では足りないので1名招請したのだ。」
と答えた。
「では誰g…
と智子が訊こうとしたその時外が騒がしくなった。
「どうやら無事到着したようだ。出迎えに行くぞ」
と言い残して行ってしまった
独立中隊も出迎えに向かうと既にその人は地上に降り立って少佐と喋っていた。
「義勇独立中隊、集合!」
とハッキネンが呼び、智子らは1列に整列した。
「紹介しよう、今度配属になった」
「坂本美緒大尉だ、よろしくな」
瞬間的に智子と目が合った。
すると何故か美緒が少々頬を赤くした。
智子も少し胸が抑え付けられる感触を感じた。
波乱は続く、どこまでも