無題
夜間懲戒を終えて疲れた私はストライカーユニットを脱ぎ、今夜の報告を済ませて、ふらふらとエイラの部屋に向かった、早くエイラに会いたい、そう思い少し早足で廊下を歩いた、エイラは私がいつも間違えて部屋に来ていると思っているみたいだけど、本当はただエイラと一緒に寝たいだけで、大好きなエイラの部屋を間違えるわけ無いのに、いつもエイラは「今日だけダカンナー」と私の気持ちに気づいてくれない、エイラは本当に鈍感で困っている・・・ん、エイラの部屋についた、着ていた軍服を脱ぎ捨て、気持ちよさそうに寝ているエイラの横に飛び込んだ、すると「サ、サーニャ!?」という大好きなひとの声が聞こえてきたので、眠るのを少し我慢するのだった。
私が部屋で寝ていると、ボフッ!っと横から音がした、びっくりして横を見るとそこには・・・ 「サ、サーニャ!?」 また夜間懲戒の後に間違えて私の部屋に来たみたいだな、やっばり間違いだったとしても自分の好きな人が自分の部屋に来てくれるのは嬉しい、ちょっとご機嫌な私はとりあえずサーニャの制服を畳みに起き上がる。 「今日だけダカンナー」 もちろん今日だけじゃなくって、明日も明後日も一年間365日サーニャには来てほしいが、これはもう口癖なのでどうしようもない、べつに言っても言わなくてもサーニャは寝ているから意味は無いんだけどな。さてサーニャの服も畳んだし、私も寝よう、とサーニャの横に潜り込む、・・・やっぱりサーニャは可愛いなと思い、普段なら絶対恥ずかしくて言えないことを、いつか本人に伝えるための練習として、寝ているサーニャに向かって言ってみることにした。
「サーニャは可愛い」
私は自分の耳を疑った、え?エイラは今なんて言ったの?私の服を畳んでくれたエイラは、戻ってくるなり爆弾発言を落としてきた。
「サーニャはふわふわな髪やエメラルドの瞳がとても可愛らしい」
理解の追いつかない私にさらなる追撃、訳が分からないということもあるが、何より大好きなエイラが私に可愛いと言ってくれたことに戸惑っていた。
「サーニャは恥ずかしがり屋だけど一生懸命頑張ってみんなと仲良くなろうとしているところが可愛い」
もはや小パニックだった、私の日頃の頑張りを見ていてくれたことの感動もあったが、なにより可愛いと言われるのが嬉しすぎて、思わず声が出るかと思った。
「サーニャは歌声がすっごく可愛い」
もうだめ、何が何だかさっばり分からないけど、エイラが私のことを可愛い可愛いと言ってくれてるってことが嬉しすぎて死んでしまいそう、・・・なんでエイラは私に可愛い可愛いって言うのだろう?・・・分かっていることはきっとエイラは私が眠っていると思っているんだということ、多分私が起きていると知ったら気まずい空気になるだろう、よし!今日はなにを言われても動揺せずに、さりげなく明日聞いてみよう、と決意を固めた。
「私はサーニャのことが大好きデス」
「ふ、ふぇ?」
あっ、と口を押さえたが、時すでに遅し、エイラと目が合ってしまった。
「サ、サ、サァ、ニ、ヤ?」
もの凄く顔を赤くして、口をぱくぱくさせているエイラ、きっと私の顔も真っ赤だろう。
「サーニャ、えと、いつからお、起きてタンダ?」
「・・・・・ずっと起きてた、よ」
「最初からジャナイカヨ!」
頭を抱えて悶えるエイラ、涙目になってくねくね動いている、すると今にも泣きそうな顔で私の顔を見た。
「頼むから全部忘れてクレー!」
恥ずかしいのだろう、プルプルと震えている、だけど・・・
「いや、忘れないもん」
「!?な、なんでだよ、サーニャァ・・・」
「だって・・・嬉しかったんだもん」
「ふ、ふぇ?」
エイラが目をぱちくりさせているが構わず続ける。
「か、かたちはちょっと変かもしれないけど、エイラが私に、だ、大好きって、言ってくれて嬉しかった」
「サ、サーニャ・・・」
「私も、そ、その、エ、エイラのことが・・・、大好きだから!!」
「!わ、わたしもサーニャのことが好きだ!大好きだ!!!」
「エイラ・・・」
「サーニャ・・・」
そして私達は唇を重ねた。
後日談、私とエイラは付き合うことになり、みんなに発表したところ、「え!?いままでは違ったの!?」と言われました。
エイラにもっともっと甘えたいけれど、顔をすぐに真っ赤にしちゃって、実はあの時以来キスもさせてもらえない、・・・まぁでも私達は私達のペースで少しずつ、ゆっくりと私達の道を進んでいこう、あなたとならどこにだって行ける気がするからもっと沢山思い出を作ろうね。
「ね、エイラ」
おわり