rhythm red beat black
二段ベッドの上段で、並んで寝転び微睡む二人。一緒の毛布にくるまりながら、肌でお互いを感じ合う。
「ねえ芳佳ちゃん。私達、結婚はいつするの?」
「結婚……そもそも出来るのかな?」
少し眠たげ、でも、そんなたわいもない話をひそひそと続ける。
「出来るってシャーリーさん言ってたし。出来なくても、私達二人っきりで。ね?」
「う、うん」
リーネから妙に圧されて困惑気味の芳佳。
「だから、芳佳ちゃんは私のお嫁さんなの。それとも私が芳佳ちゃんのお嫁さん?」
「わ、私どっちでも」
「そう言えば言ってたよね、芳佳ちゃん。私の事お嫁さんだって」
くすっと笑うリーネ。胸に視線が行き、そしてしっとりとして艶やかな唇に釘付けになる。
はっ、と我に返る芳佳。慌てて顔をふるふると振り、誤解だとアピールする。
「あ、あれは寝言で」
「どんな夢見てたの?」
「それは」
「ねえ、どんな? 聞かせて、芳佳ちゃん」
リーネは天然かそれとも故意か、ぐいっと芳佳に胸を当ててきた。
501でも一、二を争う熟れた果実。芳佳の大好物。びくりと手が動きかけるも、必死に押し留める。
これは邪念。だから、絶対に手を出しちゃ駄目。芳佳は心の中で反芻する。
しかし、僅かに残った理性も、リーネの潤んだ瞳を見るうちに、融解した。
欲しい。
リーネちゃんのすべてを。
「あ、あのね、リーネちゃん」
うわずる声で、目の前のブリタニア娘を呼ぶ。
「なぁに、芳佳ちゃん?」
「その……欲しい」
「え?」
「リーネちゃんが、欲しい」
「良いよ」
「本当? 全部、欲しい」
「うん。良いけど」
「けど?」
「ちゃんとお嫁さんに貰ってね?」
「貰う。貰うから」
子犬の様に、浅く粗い吐息で、リーネに向かう芳佳。いつしか耳と尻尾も生えて……
我を忘れて、リーネの唇を舐りながら、同時に片手でパジャマを脱がす。
「んっ……芳佳ちゃん……」
「リーネちゃん……リーネちゃん……」
囁き合いながら、お互いの身体を感じ、味わう。じんわりと汗で湿った肌に、舌を這わせ、柔らかな乳房を指先で感じ、
乳首を玩び、ちゅっと吸う。ひゃん、とリーネが恥じらうも芳佳は理性ここにあらずと言った表情で、まさにケダモノの如く、
リーネの身体に絡み付く。
リーネも負けじと芳佳のパジャマを剥ぎ、ズボンの上からそっと手を入れ、熱く湿り気を帯びた敏感な場所に指先を入れる。
びくりと身体を震わせる芳佳。
「ずるい、ずるいよ、リーネちゃん」
「やあっ、だって、芳佳ちゃんだって、私の胸」
「リーネちゃん、私のもの。全部」
既に言語もあやふやになりかけていた。芳佳は目の前にあるリーネの全てを貰い受けようと、身体の至る所に舌を這わせ、
乳房を絞る様に、時に優しく褒める様に撫でる。芳佳の執拗な攻撃に、リーネは大きな胸をぶるっと震わせ、ううっ、と呻く。
そしてしばし身体を痙攣させる。何かを必死にこらえる表情を見て、芳佳はますますリーネを虐めたくなった。
もっと。もっと。
乳房のあちこちに吸い口を付け、舐り、揉み、快楽の恍惚を共感へと換算する。もう一度、リーネと顔を合わせて、
ゆっくりと深くキスを交わす。
リーネも負けず嫌い。芳佳の弱い所を知っている。芳佳と同じ様に身体を身体で押さえ込むと、芳佳の前から、そして背後から、
敏感な部分に指を入れ、そっとかき混ぜ、弄り、芳佳に甚大な興奮を与える。
さながら空戦で言う巴戦の如く、もしくは蛇の受胎の如く、二人はベッドの上で絡み合い、平等に刺激を与え合い、昇華させる。
心の鼓動は早まり、息もより熱く荒くなり、お互いの吐息と汗の匂いを感じ取ると、更に高みへと昇る。
次第に早まるペース。
「あっ……んあっ、芳佳ちゃん、芳佳ちゃん」
「んうっ、リーネちゃん、リーネちゃん、私、もうっ」
二人の絶頂スイッチは同時に入った。絡み合ったまま、二人は秘めたる部分をお互い合わせ、がくがくと全身を震わせた。
ズボンはじっとりと濡れ、微かに雫が糸を引く。
荒い息のまま、芳佳とリーネはお互いの名を虚ろに呼び合いながら、抱き合ったまま、眠りへと落ちていく。
芳佳のパジャマははだけ、リーネのおさげは解け……素肌を合わせたまま、二人は束の間の快楽から休息へと向かう。
その先に見る夢は二人だけの秘密。
リーネの解けた髪が、汗ばむ芳佳の腕に絡む。まるで得物を逃がさない魔法の糸の如く。
薄目を開けて、浅い眠りに落ちた芳佳をそっと撫で、口吻する。
「私だけの、芳佳ちゃん」
もう一箇所、はっきりと分かる場所にきつく吸い口を付ける。
「そう、私だけの、芳佳ちゃん。誰にも渡さない……」
リーネは澱んだ瞳で微笑み、そのまま微睡んでいった。
「五月蠅くって眠れませんわ……」
ベッドの下で、ぐぬぬと毛布の端を噛んで堪えるペリーヌ。
いい加減一人で寝たいと思うも、リーネの事を考えると言い出しにくい事だった。
end