go my way


 食堂で二人並んで座り、朝食を取るリベリアンコンビ。
「ねえ大将」
「なんだ、ジェーン」
 ドミニカは気怠そうにパンをもぐもぐと噛み、飲み込む。スープを一口飲んだところで、
横でマグカップを持っていたジェーンがかっと前を見、まくし立てた。
「どうしてあの三変人だけ出て、私達出てないんですか? 酷い事に、他誰も出てないんですよ?」
「ん? 何の話だ」
「何の話って……大将」
 はあ、と大きく溜め息をついたジェーンは、マグカップをだんとテーブルに置き、ドミニカの顔をじっと見た。
「私達、もしかしたら銀幕デビューかも、とか思ったじゃないですか。そうしたらこの扱いですよ! 
パティさんもアンジーさんも、おかしいと思いませんか?」
「いや、私は別に……」
「わりとどうでもいい」
 話を振られたパティとアンジーは、少々戸惑いつつも割と素っ気なく返した。
「他人に気を遣わせるな」
 ジェーンの脇をつつくドミニカ。
「でも、大将」
 ドミニカは一足先に食事を終えると、薄めに淹れたコーヒーで一息つきつつ、ジェーンに言葉を投げかける。
「ジェーン、501が羨ましいか?」
「えっ?」
「他のウィッチ達が羨ましいか?」
「えっ、いえ、そんな、事は……」
 答えに困るジェーンを見て、微かに笑みを見せるドミニカ。
「501には、いつぞやの借りがある。それに、奴らは奴らで頑張っている。ブリタニア、ロマーニャ、そして……」
「ええ」
「数ある統合戦闘航空団の中でも、彼女達は戦歴もトップクラスだ。そりゃ色々有るだろうさ。やむを得まい」
「だけど」
「まだ何か有るのか?」
「違うんです。羨むとか、そう言うんじゃないんです、大将」
「じゃあ何だ」
「せっかく、出られると思ったのに……」
 ぽつりと言葉を絞り出すジェーン。
 目に涙が溜まる。
「せっかく、504のみんなで出られると思ったのに……思ったのに……」
 目をごしごしこすり、ぐすっとなりかけたジェーンを見る。意図を察したドミニカは、彼女の肩をそっと抱いた。
「言いたい事は分かる。……そうだな、そのうち、私達も何か機会が有ると良いな」
「はい」
「実を言うとな、ジェーン。本当は出ても出なくても、私としてはどうでも良かったんだ」
「えっ!? 何で?」
「決まってるじゃないか。お前と一緒に居られれば、それが何処であろうと構わない。ただ、それだけだ」
 ドミニカはそう言うと、ジェーンの頬に軽くキスをした。
「や、やだ大将! そうやって話はぐらかさないで下さい!」
「慰めだ。さ、行くぞ」
 ジェーンは少々の食べ残しも構わず、席を立つとドミニカと一緒に食堂を出て行った。
ミーティングルームではなく何故か寝室に向かったのが気になるが……。
 そんな二人の熱々っぷりをたっぷり見せつけられ、言葉と食欲を失うウィッチがふたり。
「ねえ、アンジー」
 パティがアンジーの顔を見る。振り向くアンジー。
「ん?」
「どう思う?」
「ジェーンが言ってた、例の銀幕がどうこうとか?」
「違くて。さっきのおしどり夫婦っぷり……」
「わりとどうでもいい」
 本日二回目の投げやりな言葉を聞いたパティは、はふうと悲しげに肩を落とした。
「ん? どうした?」
「アンジーのバカ。私も、しちゃうよ?」
「えっ? ちょっ、それっとどういう……」
 パティにずいと迫られ、どきりとした拍子にスプーンを手から落としてしまう。
 からん、とスプーンの音がするのと、パティの唇が触れたのはほぼ同時。

「ん~、ウチは皆元気でいいわね~」
 フェデリカは気付かれない様に、そっと食堂を後にして、ふふ~ん、と鼻歌交じりに呟いた。

end


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